泉 泰休さんのレビュー一覧
投稿者:泉 泰休
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神聖喜劇 第1巻
2002/10/01 00:18
待望の復刊・戦後最大の小説が再びこの手に
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大西巨人の「神聖喜劇」復刊された。戦時小説の枠を越えたというより、軍隊という組織を舞台としたまさに神聖なほどこっけいな喜劇・喜劇的ありさまを、膨大な引用をもちいて描いていく。書評子は、九州の生まれで対馬にも何度かいったことがあるが、博多弁を中心とした九州弁がまた、たまらないリズムを与えている。
軍隊という、高度に組織化された集団のなかで一つ一つの慣習的規律に追従するのではなく、常に論理的正当性をもとめ、超人的記憶力で立ち向かう藤堂二等兵に拍手喝采。長いこと絶版状態にあったがネットを通じての復刊リクエストに答えて新版での復刊となった。7月から毎月1冊11月まで5ヶ月も楽しめるのである。
第一巻は導入と、新兵生活、ヤマとなる論争は軍隊における「知りません」と「忘れました」論争。どんなことでも「忘れました」と常に責任を自己にむける言語的習慣の矛盾から、藤堂は統帥権のもたらす日本軍のおそるべき弱点にまでさかのぼるぞ。博覧強記、藤堂二等兵の活躍に期待すべし。
プレーンソング
2001/09/02 03:12
日常描写の中に秘められた哲学的示唆
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「この人の閾(いき)」で芥川賞をとった保坂和志の初期の作品。帯や他の書評の文章からなにげない日常をイイ感じの文体で書いた叙情的な作品と思う人も多いだろう。しかし保坂の最近の評論・エッセーを読めば、彼の哲学的思考が巧妙に仕込まれた作品であることが理解できる。それを理解して読めば「なるほど」とひざを打つことも多い。しかし、ある意味ではそういう読み方はネタバレした推理小説を読むのに似ており、通俗的な「なんとなくイイ感じの本だなあ」的な読み方のほうが作者の本質に近づけるような気がする。保坂自身がどちらの読まれ方をのぞんでいるのかはわからないが。
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