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政宗九さんのレビュー一覧

投稿者:政宗九

7 件中 1 件~ 7 件を表示

紙の本フラッシュフォワード

2001/05/09 01:06

言い触らしたくなる物語

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 読後、そのストーリーをどうしても誰かに言い触らしたくなる作品・作家が存在する。ソウヤーはまさにそんなタイプの作家の一人だ。どの作品でも常に読者の想像を遥かに越える奇想を提供してくれる。そして本作もまた、あっと驚く奇想とガチガチなハードSF、そしてミステリ的要素まで兼ね備えた大傑作であった。どんな話かって? では言い触らそう。
 西暦2009年、物理学者のロイド・シムコーと共同研究者のテオ、他「素粒子研究所」のメンバーたちは、存在を予想されていた粒子を発見すべく大規模な高速素粒子衝突実験を行なった。しかし実験は失敗、それどころか、その衝突の瞬間、地球上の全人類が21年後の未来——正確に言えば西暦2030年10月21日の二分間——の自分達を体験してしまったのだ。意識は二分後に現在に戻ってきたが、その間全てが麻痺していたので全世界で大混乱が発生、飛行機は墜落し、車は衝突、各地で死者が大量発生した。ロイドのフィアンセのミチコ・コムラ——ただし2030年にはロイドの妻は別人だったが——が前夫との間にもうけていた娘も死んでしまった。罪悪感にさいなまれるロイド。そしてテオの場合は少し事情が違っていた、彼には未来は見えなかったのだ。それはすなわち「2030年には死んでいる」ことを意味していた。その前日に何者かによって殺されていたことが他人の証言(新聞記事を読んだとか、ニュースで観たとか)によって明らかにされる。みんなが見た「未来」は確定されたものなのか、変えることは出来ないのか、そしてテオを殺すことになる人物は何者なのか、その動機は……。時は経った。西暦2030年、再び人類が未来を見ることが出来る日が来た、それは奇しくも10月21日、かつてみんなが体験したまさにその瞬間だったのだ。果たして今度はどうなるのか……。
 とにかく冒頭の奇想だけでもう「つかみはOK」だ。しかしただ突飛なだけではなく、未来は変えられるのか不変なものなのか、といった真面目な考証が繰り広げられていく。テオの「未来殺人」に関してもミステリ的なトリックが登場したりして、思わずハッとしてしまう。2030年のユニークな未来像(イギリスではエリザベス2世の死後、チャールズは発狂、ウィリアム王子が王位継承を拒否して王国制が崩壊したとか、ビル・ゲイツが無一文になったとか、ルーカスはまだ《スター・ウォーズ》9部作を完成させていなかったとか)の小ネタを挟みながら、怒涛のラストへ突き進む。天文学の世界では有名なある「超新星」がフラッシュフォワードの鍵を握るなど、もうネタの宝庫。そしてラストでは深遠なテーマまで顔をのぞかせるのだ。いやはや凄い小説である。ミステリ、SFといったジャンルの枠を越えて、広く読んでいただきたい作品だ。

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紙の本ドミノ

2001/08/11 01:05

誰もこの連鎖を止められない

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 その日、東京駅周辺では、あらゆる運命が収束しようとしていた。
 保険会社の部長は1億円の契約書を手に東京へ向かう電車に乗っていたが、その電車が事故でストップ。今月の締めまであと一時間しかなかった。
 その会社の女子社員は、大好きなお菓子を買うために八重洲口にやって来ていた。彼女は熱血柔道少女であった。
 女優志望の少女はミュージカルの端役オーディションに挑んでいた。まさかあの常連ライバルも同じオーディションを受けるとは思ってもみなかった。
 俳句が趣味の老人はネットで知り合った仲間とのオフ会のため東京駅にやってきたが、初めての東京に右往左往し、待ち合わせ場所を勘違いしていた。
 その俳句仲間たちはみんな警察OBだった。彼らは老人「捜索」のために動き出した。
 大学ミステリ連合の学生達は、幹事長を決めるために推理勝負をしていた。映画の結末当てで決着がつかず、ホテルの喫茶店での「人間観察」勝負にもつれ込んでいた。
 若い男は彼女と別れるための口実として、美人のいとこを連れて待ち合わせ場所であるその喫茶店に入ろうとしていた。
 学生達が観た映画の監督は日本を舞台にした次回作のプロモーションのために東京にいた。同行していた配給会社の女は巫女さんでもあった。
 ……そして、過激派グループの男は自作の時限爆弾の試作品を持ってバスを降りようとしていた。と、ふとしたことからその爆弾を入れた袋が俳句老人の持つ紙袋と入れ替わってしまった……

 昔観たアニメ「トムとジェリー」に、連鎖反応を利用したギャグが時々あった。目覚ましが鳴ると部屋中に仕掛けられた仕掛けが順々に動いては次の仕掛けのスイッチを入れ、最終的にトースターのスイッチが付いてパンが焼きあがる、という具合のやつである。この手のギャグは大好きだった。そして、本作はまさに「連鎖反応」そのものである。個性的な多数の登場人物の描き分けも完璧で、みんなの動きが次のスイッチを押すたびに笑いがこみ上げてくる。読み出したら止まらないノンストップ・エンタテインメント、細かいことは抜きにして、映画のようなジェットコースターストーリーを楽しめばよい。こういうのも書けるのか恩田陸。映画化すれば面白いだろう。監督か脚本は三谷幸喜希望。

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紙の本歪んだ朝

2001/05/31 00:58

これが西村京太郎の出発点だ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 あなたは西村京太郎のファンだろうか? 今の「トラベルミステリー」作品群を暇つぶしがわりに読んでいる方がこの短篇集を手にとって読むと、少し違和感を感じられるだろう。そこには十津川警部もいないし、列車も登場しない。しかし、ここは騙されたと思って読んで欲しい。「お、これもなかなかいいじゃないか」と思われるはずだからである。
 もしあなたがミステリマニアを自認しているなら、この作品には目もくれないかも知れない。しかしこれは、西村京太郎の初期短篇集である。と書けば、真のマニアならば読みたくなるだろう。かつて西村は傑作を数多くものにしていたことを、あなたは知っているはずだからである。そう、これは初期のハイレベルな作品を集めた短篇集だ。
 よく知られているように、西村のデビュー当時は『四つの終止符』『天使の傷痕』などに代表されるような「社会派ミステリ」が割と多く、この表題作はそんな作品の一つだ。絞殺された少女には、真っ赤な口紅が塗られていた。刑事はそこに一体何を見出すのか……、事件も痛々しいが、その少女の心理がもっと胸に来る、秀作と言えるだろう。「蘇える過去」も重い作品だ。「黒の記憶」は乱歩の心理試験を思わせる。「夜の密戯」は尻切れトンボっぽい作品だが、実際の事件をモデルにした「実録推理小説」らしい。最後の「優しい脅迫者」はある種西村らしくないウィットに富んだ作品で、もしかするとベストはこれかも知れない。以前EQ編の『日本傑作推理12選』で読んだ記憶もある。海外でも好評だったらしく、フランスではこれがきっかけで西村作品の翻訳が始まったらしいが、いかにも海外受けしそうな話である。ただ、実際にはこんな筋書き通りにはならないような気がするのだが。
 というわけなので、これは読んで損のない作品である。ほら、騙されたと思って……。

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紙の本謀殺の弾丸特急

2001/08/11 01:10

列車よ、止まるな!最新武器に立ち向かえ!

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 カンボジアをモデルにしたと思われる架空の国・アンダカム。大塚はその国の軍事基地の写真をスクープし、その写真を雑誌に売り込んで自分の名前を世界中に轟かせようと企んでいた。しかし、その時に写ってしまったものが軍当局の逆鱗に触れてしまったらしい。彼らは「アンダカム縦断SLの旅」という名のパッケージツアーに参加していた大塚を殺すために刺客を送ってきた。日本人ツアー客と添乗員は、自らで機関車を運転しながら、追手から逃れなければならなかった……。
 肝心の大塚は序盤で割とあっけなく殺されてしまうのに、軍の攻撃はまだ続いてしまう。ただ逃げなくても何か対話の方法を模索しないのだろうか、とか、いくらなんでもそれでは敵は倒せないだろう、とか、いろいろ突っ込みポイントはあるのだが、それを気にしないで一気読みすれば実に楽しい小説である。映画「インディ・ジョーンズ」を思い起こさせるようなもので、戦争のノウハウを全く知らない素人集団が最新鋭の武器を原始的な対抗手段で次々に撃破していく過程は痛快ですらある。逃げることに必死だった彼らが後半では完全に戦士のオーラを放っているのだ。小道具の使い方も面白い。完全に冒険ゲームだ。楽しむべし。

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紙の本加田伶太郎全集

2001/05/25 01:36

優等生の答案

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 純文学作家・福永武彦が“余技”として書いたミステリとSFを全て収録した決定版である。前々から読みたかったのだが、「純文学作家」ということが障壁となって読むのをためらっていた。今回読んでみて、予想以上にすんなり読み進められることに驚かされた。ミステリに造詣が深かったのが幸いしたのだろう。さて作品だが、それまでのミステリのパターンを踏襲した作品が多いように見受けられる。しかしそんな中にも独創性を取り入れようとしている跡が感じられて楽しい。「幽霊事件」の謎の面白さ、「温室事件」の密室トリックなどがその白眉である。色々なタイプの作品に挑もうとしているところもあり、「眠りの誘惑」「赤い靴」などは構成の巧みさが光っている。謎解きそのものは全体的に「可もなく不可もなく」といった感じで、「優等生が書いた答案」みたいな印象があるのが欠点ではなかろうか。後半のリドルストーリー「女か西瓜か」、クリスマスに強盗をはたらいた男がサンタの格好で逃げたために起こった珍事件「サンタクロースの贈物」は単純に楽しめる。

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紙の本比翼

2001/05/25 01:33

こういうのを「職人芸」と呼ぶ

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 私がまだ古今東西のミステリをむさぼるように読み始めた頃、泡坂妻夫の「亜愛一郎シリーズ」に代表される初期作品に魅了されたものだ。が、そのうち普通小説に近い作品を中心に書くようになって「泡坂もつまらなくなったなあ」と思ったものである。しかしそれは、読者である私が「若い」だけだったのかも知れないな、と思えてきた。この短篇集を読んでの第一印象だ。
 ミステリ的にはそんなに驚くものでもない。のだが、例え単純なトリックであっても「見せ方」というか、レトリックが巧いので、つい引き込まれてしまうのだ。この人の文章の巧さ、ということに(恥ずかしながら)今頃ようやく気付いたのである。特に「胡蝶の舞」、これは、もう職人芸の領域である。感動した。
 かといってミステリ的に全然駄目かというと、そうでもなくて、例えば「凶器の消失」トリックが面白い「赤いロープ」、動機が初期作品を思わせる「比翼」「記念日」「好敵手」はお薦めである。「比翼」「思いのまま」には、思わずハッとするラストも待ち受けている。ハッとすると言えば「風神雷神」、さり気なくも衝撃的なことが二つ待ち受けている。
 2000年の『曾我佳城全集』が話題になりすぎたのでこの短篇集にスポットが当りにくいだろうが、読んで損はない作品であった。

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紙の本耳すます部屋

2001/05/25 01:41

折原は「短編型作家」になりつつあるのか

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 作品の出来にかなりむらがあるものの、かなり良く出来た作品もあって、注目するべき短篇集である。ベストは「目撃者」、確かこれは雑誌掲載当時「懸賞小説」の形をとっていて、「冒頭シーンにおける殺人者と目撃者は誰か?」というような問題だったと思う。一見ストレートに見せておきながら、あっと驚くドンデンがあって折原らしい作品である。次は「眠れない夜のために」か。最後に次々明かされる真相で事件の様相が一気に晴れ渡る傑作である。他もなかなか面白い。ただ一つ気になるのは「現実の事件」をかなり大胆に取り入れていることだ。これは以前からの折原の傾向でもあるのだが、こうも露骨にパクっているのも、却って不快感を与えてしまいかねないと思う(特に「五重像」「Mの犯罪」)。叙述トリックは折原のトレードマークだが、最近の長編では明らかに無理が見えているものの、短編ならまだまだいけそうだと思わせてくれる作品集でもある。これからは短編中心にやってみてはいかがだろうか?

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