根拠探求者さんのレビュー一覧
投稿者:根拠探求者
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究極の探究 神と死の言語機構分析
2003/03/15 23:08
ことばはどこに向かって
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ことばを使わないで過ごす日があるだろうか。ことばを使わずに、過ごせといわれれば、生活は大変難しくなる。それは、ことばが誰かに何かを伝えるためにあるからだ。では、何を伝えるためにことばは語られるのだろうか。物の受け渡しだけに使うなら、それは明確だ。それ以上の意味を誰かに伝えようとするとそれは厄介になる。「これは本です」、「これは鉛筆です」とは、語れない。誰もが分かっていることは語られない。ことばは何を語るのだろうか。そして、ことばは、何を根拠に語れるのだろうか。真剣に考えると分からなくなってくる。ソクラテスの問いが、多くの人々に不快感を持たれたのは、この分からない問いへ人を導いたからだ。ギリシア哲学の研究家でもある井上忠は、この問いを真剣に問う。それも、今生きるぼくらの現場で。究極を語れる言葉を求めて、井上忠の探求は続けられ、終わらない。この本はその途中経過報告であろうが、彼の最新報告である。井上のこの本を読みと、わたしたちは、究極へと向かう「強い言葉」を意識する。自分の語る言葉の意味を再度問うことになる。いままで、自分が使っていた言葉の意味が曖昧になり、しかし、その言葉から本当の思考が始まる可能性が見えてくる。自分が置かれている現場から、哲学が始める。誰からの思想を繰り返しではなく、誰かの用語を使うのではなくて、根拠を愛し、それを求める思考が、この本とともに始まる。それは、他人の借り物の思想を獲得するのではなく、真に思考する、哲学することを獲得することになる。哲学の醍醐味を教えてくれる本だ。井上忠を、あなたが生きている現場に連れて行って、あなたの探求へのコンパスにすればいい。コンパスよって示された道を歩くのはあなた自身だが、歩き甲斐はあるにちがいない。
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