東雅夫さんのレビュー一覧
投稿者:東雅夫
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あやしうらめしあなかなし
2006/06/27 16:56
本書推薦文
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巻頭の哀切な名品「赤い絆」と、巻末に据えられた鬼気せまる「お狐様の話」に、なにはさておき瞠目させられた。山家の夜半、老女が語る遠い日の不思議話に、布団にくるまり怖ごわ耳かたむける子供たち……これこそは怪談の、いや、あらゆる物語の原点ではあるまいか。
人の世の妖しさと哀しみが、あえかに明滅する七篇の優霊物語(ジェントル・ゴースト・ストーリー)。
読むほどに、じんわり、ほろりと心が満たされ、忘れかけていた懐かしい記憶が、はらりと蘇る。
文学の極意は怪談にあり、という言葉を、本書ほど美事に体現した書物を、私は他に知らない。
——東雅夫(『幽』編集長/文芸評論家)
てのひら怪談 ビーケーワン怪談大賞傑作選 1
2007/01/11 01:04
「はじめに」より
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「てのひら怪談」とは、怖い話、不思議な話、奇妙な話をテーマに、上限が八〇〇字=原稿用紙で二枚以内というルールにもとづいて書き綴られた、世にも小さな物語の愛称です。
てのひら怪談は、二〇〇三年の夏に、インターネット上で誕生しました。母胎となったのは、オンライン書店ビーケーワンが、この年から公募を開始した「ビーケーワン怪談大賞」——参加者たちが自分の言葉で書き綴った怪談をネット上に発表し、共有し、愉しみを分かち合うことを目的に創設されたユニークな文学賞です。回を重ねるごとに参加者は増加し、それとともに応募作の水準も、飛躍的に向上していきました。怪異の素朴な聞き書きの域を超えて、八〇〇字という「てのひらサイズ」の制約を逆手に取り、独創的な世界観を個性あふれる文体で描いた作品が、数多く寄せられるようになったのです。
本書には最新の第四回を中心に、過去四年間に寄せられた応募作の中から、選りすぐりの名作佳品、全一〇〇篇が収録されています。
すべての作品が、単行本の見開き二ページに収まってしまうコンパクトさであるにもかかわらず、どの一篇をとっても、退屈な日常に亀裂をはしらせ、異界の光景を垣間見させるようなパワーと妖気を秘めた作品ばかりだと、編者一同、確信しております。
思えば我が国には、日々の暮らしの折節に去来する感興を、十七文字や三十一文字の定型に託して賞美する俳諧や短歌、あるいは一座に参集した人々が、句作歌作を次々に披露する連句や連歌の文学的伝統が、今日にいたるまで脈々と受け継がれてきました。
八〇〇字の怪談という本書の試みが、怪異に親しみ怪異を共有する、新たなる文学的伝統となる日を夢見ながら、私たちは今ここに、その最初の精華を掌上に差しだす次第です。
→東雅夫×斉藤尚美(ポプラ社)対談<『てのひら怪談』ができるまで>
→ビーケーワン怪談大賞ブログ
→東雅夫の幻妖ブックブログ
→週刊 てのひら怪談
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