あざみさんのレビュー一覧
投稿者:あざみ
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天と地の守り人 第1部
2007/02/03 02:02
長い旅路の果てにやっと出会う『守り人』と『旅人』の物語
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
『守り人』シリーズの主人公は三十代、女だてらに短槍使いの用心棒バルサ。この主人公の設定だけでも、「おや?」と思わされる。
シリーズの中で展開される彼女の活躍ぶりは、そこら近所の男の太刀打ちできるものではない。同性である女も惚れる強さだ。私も惚れた。
そのバルサが幼い皇子チャグムを助けた物語が『精霊の守り人』。
チャグムは、女ならだれでもが守ってやりたくなるようなひたむき努力少年だ。
バルサとチャグムはその後住む世界を隔てて、バルサの物語は『守り人』シリーズとして語られるし、チャグムの物語は『旅人』シリーズとしてつむがれる。
それぞれに読み応えのある世界だが、まあ、それは各々の作品で評するとして。
二人がまた再会するのが、今回のこの作品、『天と地の守り人』三部作というわけだ。
お互いに気遣い合いながらも、出会わず、それぞれの道を必死に歩んでいた二人。バルサもチャグムもしっかり自分の足で立って、決してだれかに寄りかかるようなまねはしない。
けれど、全然別の道を歩いていても、強さ、潔ささえ持っている二人は、どこか似ている。
離れていても響きあう、そんな感じだ。
そして。
新ヨゴ、タルシュ、ロタ、サンガルなど、さまざまな国の思惑が時として残忍に襲い掛かる中、二人は、協力して戦う者同士が背中を合わせて剣を握るように、背中合わせで戦いの中に自らの身を投じていく・・・。
母と子のように、同士のように、恋人のように、思い合い支えあう二人のゆくすえが気にかかる。
児童向けのファンタジーでありながら、大人にも読めてしまうのは、上橋さんの描く世界に、土と血の匂いさえ感じるほどの色濃さがあるからだろう。
おさる日記
2007/02/03 01:19
なにげなく家族になれる幸せ
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
お父さんが船旅から連れ帰った小さなおさるのもんきち。
ぼくはもんきちと暮らし始める。
小さなもんきちが家族の中にとけ込んでいく様子が、ぼくの目を通して日記風に語られていくのだけど、とにかくもんきちがかわいい。
村上さんのえがくキャラクターは、ひとみがつぶらでスゴク素直だ。
学校から帰ったぼくをふりかえるもんきちの自然な表情など、つい自分ちの子どもの表情とダブって見えた。
特に抑揚もなく、淡々とぼくの日記は綴られていくけれど、もんきちの成長するようすが微笑ましくて、ぼくの目線が優しくて、ほんわりと読み進められる。
そうして最後まで読むと、おまけにたのしい驚きが待っている。
小さい子ども向けの本と決めず、小学校高学年あたりに読み聞かせするのもきっと楽しい反応が返ってくるだろう。
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