朔太郎さんのレビュー一覧
投稿者:朔太郎
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紙の本おどります
2005/09/22 13:15
こどももおどります
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しずかな朝の図書館で、ふと手に取ったこの「おどります」のせいで、しゃがみこんでクツクツ笑いをこらえるへんなヒトになってしまった。いやあ苦しかった。
借り出しての帰り道、もうすでにわたしの頭の中には、この絵本の動物たちといっしょにメケメケおどって笑いこける、我が家の娘と息子の姿があった。
そして想像どおり、彼らはおどった。メケメケのフラフラであった。
「買うしかないね」と娘が言った。で、いまから注文するのである。
紙の本雨の鎮魂歌
2000/11/10 01:49
水びたし青春小説
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雨は降り続く、町にはたんぼが広がっている、主人公は親友を追って川に飛び込み、夏には海辺でキャンプする。全編これ水びたし。それも、読み手のこころの中にまで染み込んでくるようなきれいな水だ。少なくとも、この作者はそういう良質の水であろうとすることに一番気を使ったのではないだろうか。
物語全体が、しっとりした皮膚感覚で被われている。いちめんにちりばめられた水という装置のせいだけではない。主人公の中学生、徹也少年が、仲間たちと繰り広げる他愛のないバカ騒ぎに、子供特有の親和力の強さを見ることができるためだと思う。まるで同じプールに浸かって遊ぶ子供たちのように、登場人物たちはこの湿度の高い舞台で、互いに一部つながり合い、連動しあって生きている。
そこに一石が投じられ、波立ち、おさまるまでの物語なのだが、語り手の心理描写は緻密を極めていて、読み手は丹念に読めば読むほど、その波に翻弄されやすくなる。 15才の少年の感情というものは、かくも上下左右にせわしなく動き回るものだろうか。
必死でしがみついて行きさえすれば、読後の満足感は高い。
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