T.Satohさんのレビュー一覧
投稿者:T.Satoh
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消費資本主義のゆくえ コンビニから見た日本経済
2000/12/30 11:06
宇多田ヒカルのメガヒットの理由がわかる
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著者は、戦後日本の消費の歴史を、欧米社会に見る消費の五つの類型をなぞるものとして解き明かしていくと同時に、戦後日本の消費に関して「まことしやかに」語られる通説を痛烈に批判している。これらの通説の周辺には、「規制緩和」や「多様性と個性を獲得した消費者の出現」や「電子ネットワークの発展」などが不況を克服するという主張がある。
しかし、著者は、反証をあげ、さらに貨幣経済や消費の根本から論じることでこのような通説の誤謬を指摘している。私は、岩井克人の『二十一世紀の資本主義論』と通ずるものを感じた。
後半の「消費資本主義」論では、経済学が「均衡モデルにおいては、生産のみを語れば、わざわざ消費を語る必要はない」として、マーケティングや社会心理学にまかせてしまった消費の側から資本主義を考えるという、経済学に縁遠く、消費に身近な者にとって見れば当たり前とも思える視点を提供している。
ここでは、ジンメルの「我々は、商品に接しそれとの距離を感じた時に欲求を形成する」とか、ハイエクの「商品種についての分類は時と所によって異なる仕方で行われる」など社会学・経済学の示唆的な研究を引用しつつ、宇多田ヒカルやGLAYのメガヒットの原因や、インターネット上のフォーラムやメーリング・リストがしばしば「仲間ほめ」、「バトル」に陥る理由までを分析している。理論として読んでも、また戦後消費史として読んでも面白く、さらに視点の新鮮さは、マーケッターやネット業界の人間に有用なヒントをもたれしてくれそうである。
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