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典子さんのレビュー一覧

投稿者:典子

11 件中 1 件~ 11 件を表示

刑務所の中

2001/06/15 04:33

いかにして隔離生活を楽しむか

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 これは面白い。反省をしている方が損をする!と人生観が変わってしまうかもしれない。後悔ばかりして前に進めないという人にお薦めしたい。
 獄中記の類はたくさん出ているのだが、獄中の批判や横暴を告発したものは、当たり前のことで面白くない。本書はそういうことは一切書かれておらず、どうでもいいことが綿々と描かれている。だから面白いのだ。
 本書を読むと、「いかにして隔離生活を楽しむか」ということに集中していたのかがわかる。
 私は精神病院に入院をしたことがあるのだが、まずい食事の不満と、拘束の恐ろしさと、いつ退院できるかわからない不安にしか頭が働かなかった。余裕がなかったのだ。入院する前に本書と出会っていればよかった。もっと人間観察ができて、入院生活を楽しめただろう。私の母にそんなことを言うと「不謹慎な!」と怒るのだが、平凡を絵に描いたような人に本書を読ませたらどう思うのかも知りたい。私は本当に面白くて笑いながら読んだ。

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ナイフ

2001/07/12 15:19

弱いものは強いものが好きなのだ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 いじめをあつかった物語。現実の苦しみは残したまま、死ではなく生を、否定よりも肯定を志向して書かれているからか、そこはかとなく懐かしさが漂ってくる。
 『エビスくん』のエビスくんは身体のデカイいじめっ子。病気の妹がいるひろしはエビスくんにいじめられているのだが、エビスくんは神さまのエベッさんみたいな人だと妹に嘘をついてしまう。エビスくんに会わせて欲しいと妹にせがまれる。しかし、実際のエビスくんは暴力的で偽善的に群れることを馬鹿にする人なのでひろしは困ってしまう。
 「一度でいいからエビスに文句をつけてみろ、自分が情けなくならないのか」と親友浜ちゃんに言われる。それでもひろしはエビスくんにいじめられ続ける。いじめられていても不思議と恨みや憎しみが湧いてこないからだ。
 弱いものは強いものが好きなのだ。でもエビスくんのような孤独で強い人は、浜ちゃんのような集団じゃないと生きていけない弱い人に負けてしまうかもしれない。強い弱い勝ち負けってなんだろう?長く生きていくのが強くて勝ちなら、浜ちゃんたちの方が強いと思う。孤独な人の方が早く死んじゃっているからね。
 ラストも実によかった。物語からはみ出した作者の声が聞こえてくる。弱いと思っている人も強くなれるお話である。

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囚人狂時代

2001/09/05 17:43

有名人の獄中での日常

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「イギリス大使館火炎ビンゲリラ」や「スパイ粛清事件」で逮捕され、懲役12年の判決で千葉刑務所に入る。
 金属バットの一柳くんや連合赤軍の吉野雅邦、ホテル・ニュージャパンの横井英樹など有名人の獄中での日常が描かれていて面白い。狭山事件の石川さんは、私が中学生の頃道徳で習ってきたのだけど、イメージしていたものとは全然違って明るくて驚いた。騙されて傷心しきったおじさんを想像していたのになあ……。獄中で無罪を訴えるのは並大抵のことではなく、明るく振る舞ってないと闘ってられないからなんだろう。

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精神科がおかしい 「医者」も「患者」も大混乱ありのまま!

2001/06/09 03:54

精神病院か刑務所か

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本書には、司法精神鑑定のトンデモな現実、抗うつ剤の大量処方、精神病院の医療過誤など、あらゆる視点で精神科のことが面白く書かれている。
 重い病理によって犯罪を行った精神病者は、通常、精神病院よりも刑務所に入ることを望むことが普通である。病院のほうが処遇がゆるく、食事はうまく、煙草も吸えるわけで、精神病院を望む者もいるようだが、措置入院(都道府県知事の命令で行われる強制入院)で入っているわけだから、いつ出られるかわらなくて怖ろしいはずだ。こんなときに利用するのが人権擁護の人たちなのだ。
 自分の意志ではなく、措置入院や医療保護入院(家族・保護者の同意に基づく半強制的入院)という強制入院で精神病院にぶち込まれる恐れのある人は、是非読んでおくべき1冊といえよう。

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摂食障害 食べない、食べられない、食べたら止まらない

2001/05/25 17:13

退屈な治療の意味がわかる

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 著者は私の主治医でもあったのだが、通院していた頃は正直なところ不信感で一杯だった。食べた物を用紙に書いてきなさい、体重計に乗りなさい、と医者が上で患者が下という関係性が拭いきれなかったからだ。結局私は著者の治療を途中でやめてしまったわけだが、本書を読むと、あの退屈な治療にはどのような意味があるのか明確になる。
 どんなときに過食嘔吐をしたくなり、どう乗り越えたかということを記述していくのは、心の問題を体重の問題にすり替えない、痩せていなければ存在意義がないという間違った認識を改めるのである。医療従事者向けに書かれた本書だが、摂食障害の患者、サポートしている家族に是非とも読んで欲しい1冊である。

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完全自殺マニュアル

2001/06/03 03:37

生きるのが苦しくて汚くて怖ろしいなら、死ぬのもそれぐらいの覚悟がいる

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「若者たちはなぜ死に走るのか?」なんてゴタクはもう聞き飽きた。本書には、クスリ、首吊り、飛び降り、手首・頸動脈切り、飛び込み、など11の自殺の方法だけが細かく書かれている。
 ただ、楽に綺麗に確実に死ぬために本書を参考にしても、死ねないかもしれない。楽に綺麗に確実に死ねる方法なんてありゃしないのだ。生きるのが苦しくて汚くて怖ろしいなら、死ぬのもそれぐらいの覚悟がいるのだ。
 「イザとなったら死んでしまえばいい」という選択肢を作って生きるのも、自ら命を絶ってもいいのかと疑問に思って生きるのも、致死量のクスリを飲んでも死ねずに文句を垂れて生きるのも、人それぞれである。

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ああ言えばこう食う

2001/07/10 17:18

女同士の友情は成立するのか

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 女同士の友情は成立するのだろうか。幾度となく挑戦してきたが全て失敗に終わった。ハッキリ言って女の友達なんて一人もいやしない。寂しいものだ。
 これじゃあいかんとフェミニズムをかじってみた。「せめて女同士の闘いはやめましょう」と上辺では理解するものの、嫉妬めらめら、足の引っ張り合いは一向に変わりがない。そもそも女はなんとなく息苦しくて嫌だから、フェミニズムというのが浅はかだった。
 女なんて面倒だしもういいや……と諦めてかけていた頃に本書と出会った。「口から生まれた双子座」の檀ふみと「天然の饒舌」阿川佐和子の才女が繰り広げる赤裸々でユーモア溢れる往復エッセイである。友情に満ちた罵倒のなんと心地良いことか。が、なにかが足りないのだ。そう、友情にヒビが入る「男」の匂いが全くないのである。これを避けていればそりゃ成立するだろうなあ……。
 やはり女同士の友情は難しいと思った。

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エイジ

2001/09/05 15:26

友情というもの

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 身体中あちこちをチューブでつながれた病人みたいだ。「キレる」って言葉は我慢とか辛抱とか感情を抑えるとか、そういうものがキレるんじゃない。自分と相手とのつながりがわずらわしくなって断ち切ってしまうことが、「キレる」なんじゃないか。学校からキレる。家からキレる。親からキレる。友だちからキレる。わずらわしいことが消えてなくなるわけじゃないけど、チューブが「好き」で結ばれていれば奥に引っ込んでくれる。
 カッコ悪いことは許せなくて、親友や友情というのは言葉に出してしまうと駄目なんだよね。「ゆーじょう」になってしまう。でも本書を読んでいると友情というものが懐かしく伝わってくると思う。

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火宅の人 上

2001/06/09 08:08

煩悩の極み

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 死の床にありながら、20年がかりの大作の最終章を、口述筆記してもらって書き上げたとい本書。まさしく煩悩の極み「火宅」であった。
 愛人と情事にふけり、ニューヨークのホテルで自殺の真似事をする。これは小説にも出てくる太宰治のことが羨ましかったのではないかという、檀ふみの談話があった。
 檀一雄は引っ越した先で食料を買い漁るのが好きで、「食べるのが好きなのではなく、料理するのが好きなのである」というのが何度かでてきて愉快に思った。
 本書に登場している愛人「恵子」が書いた「檀一雄の光と影」という本もある。

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片づけられない女たち

2001/06/01 06:17

病名をつけてもらうことで安心

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 部屋も、頭の中の考えも片付けられないADD(注意欠陥障害)という病気。
 私の部屋は足の踏み場もないぐらいに散らかっていた。しんどいから、他のことで忙しいからと、いつも言い訳を考えて片付けなかったことは否定できないのだが、本書を読むと、時間にルーズなのも、忘れ物が多いのも、落ちつきがないのも、病気だから仕方がない……、と安心できてしまう。
 結局私は「迷うなら捨てる」という単純な方法で部屋を片付けた。部屋が片付くと、頭の中の考えも片付くようになった。書いてみると簡単なことなのだが、ここまでくるのに数年は掛かってしまったのだ。
 ADDは「心の問題」だけではなくて、「神経伝達物質の不足」という脳の活動レベルが低いと書かれている。脳の異常?!と恐れるよりも、精神的な病は怠けている、だらしがないとしか思われないことが多く、周囲の人たちに理解を得るのが難しい場合だと、飛び付きたくなる異常なのかもしれない。

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自殺−−生き残りの証言

2001/08/30 09:28

死んだらラクになる

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 救急救命センターに運ばれてくる自殺者を取材する。
 本当に死にたくて自殺を図るわけではなくて、死んだらラクになると思ってするのだという。リストカットや少量のクスリを飲むのは、恋人などの気を引きたいというのがほとんどで、死ぬつもりなどない。ネットでもリストカットをわざわざ公開して注目を浴びたがる人がいる。馬鹿は死んでも治らないというように、リストカットも指が不自由になるとかしないと治らないのだろう。
 しかし、本気で死ぬつもりだった人が致死率の高い首吊りなどをしているのかというと、そうでもないという。たまたま近くのビルの2階から飛び降りたとか、たまたま近くにあった換気扇用の洗剤を飲んだとか、たまたま近くにあったノコギリで首をガリガリと切ったとか、手段にまでは手が回らないという。クスリをコツコツとためるのは面倒臭いし、衝動的なエネルギーがいるからなんだろう。ノコギリで首をガリガリなんて……普通ではできない。
 自殺を薦めるわけではないが、死ぬとラクになるのは間違いないと思う。死んでしまうんだからね(笑)。助かったとしても自殺以前の狂っていた自分は死ぬのでラクになるというものだ。

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