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  3. 麒麟さんのレビュー一覧

麒麟さんのレビュー一覧

投稿者:麒麟

593 件中 31 件~ 45 件を表示

紙の本

紙の本バスがきた

2002/07/08 15:19

五味ワールドを堪能できる一冊

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

バスがきた 
絵をかきにきたひとが おりた
バスがきた 
お墓まいりのひとが おりた

と、バスがいろんな停留所にとまり、いろんな人が降りてゆく姿が描かれている物語。

バスがきた
みんなが 待ちくたびれたひとが すみません と おりた

と降りる人も、周りの風景もいろいろです。
ここでは時代劇の撮影現場にみんなを待たせている人が、ちょんまげ姿で慌てて降りてゆくシーンが描かれています。
なんだか、おかしい。
そんな小さな笑いを生むのが、五味さんはとても上手です。
ほのぼのとして、ほほえましい、そんな小さな小さな笑い。

五味さん独特の色使いも、すてきです。
黄や紫の丘、ピンクやブルーのビル。
それらが違和感なく、街の風景として存在しているのが、五味ワールド。

五味さんの描く世界の魅力がつまりにつまった作品です。

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紙の本

人の命は平等か……

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

天才外科医テンマは、重傷を負った双子の一人、ヨハンという少年の命を救う。
ここからテンマの苦悩の旅は始まる……。

私が、臓器提供意思表示カードの家族署名欄に、主人のサインをもらおうとしたときの話です。
私の臓器が誰かの役にたつならと、すべての臓器に丸をしたカードを差しだす私に、主人はサインを拒否。
「私が臓器提供することで、誰かの命が助かるかもしれないんだよ」という私に、彼は「助ける相手が善人とわかっていればいいけど、そいつはすごい悪人かもしれないんだぞ」と。
そんなばかな意見があるものかとあれこれ説得してみても、拒否しつづける主人に腹を立て、その話を姉にぐちっていたところ、姉からこの作品を教えてもらいました(※主人によくよく話を聞いてみると、結局のところは身内の体が切り刻まれるのがいやだというのが本音のようで、上記の意見に強い思いはそんなになさそうですが……)。

人の命は平等か、そんな難しいテーマを抱えながら、ヨハンとその命を救ったテンマとの間にくりひろげられていくストーリーに興味はつきません。

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紙の本

紙の本占星術殺人事件

2002/05/08 17:23

読者に挑戦する本

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

島田ファンにはお馴染みの、御手洗探偵シリーズの第一作(時間経過的には、御手洗と石岡が知り合うきっかけになった話『異邦の騎士』の方が先ですが、最初に世に出たのはこの作品)。
シリーズ第一作というよりも、島田荘司のデビュー作ですね。
初めて読んだときは、実に衝撃的でした。
この本が出た当初は、まだ本格推理という読み物が少なく、読んでいてすっきりしない推理小説が多かったのですが、この作品に出会ってとてもうれしかったのを今でも覚えています。

<私は読者に挑戦する>

読者への挑戦状のページがちゃんとあるのです。
そのページまでに、推理するための情報は隠さず、すべて提供していますよ、とフェアに読者と戦おうとする姿勢がうれしいです。

トリックはもちろん、文章の巧さ、キャラクタの魅力、何をとってもすばらしい作品です。
本格推理の名作は?の答えとして、はずせない一作ではないかと思います。

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紙の本

紙の本笑わない数学者

2001/08/08 11:57

謎解きが楽しめる作品

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 犀川助教授と萌絵のシリーズ第三弾。二作目で、少し肩透かし気分であったが、この作品は個人的には「すべてがFになる」よりも好きな作品。
 伝説の数学者の住む館で開かれたクリスマスパーティー。忽然と姿を消す、庭の大きなブロンズ像。そして、殺人。
 殺人事件の謎解きは、言うまでもなく面白いが、この作品ではそれ以外の楽しさもある。数学者の天王寺博士がみんなに出す、いくつかの数学問題、そしてブロンズ像が一瞬にして消えるという謎。大きな殺人事件という問題のほかに、クイズを解くような楽しさがちりばめられている。
 もともと、数学や謎解きが好きな私には最初から最後まで、夢中になれる一冊だった。もちろん、数学嫌いの人にも十分に楽しめる、本格ミステリであるのは言うまでもない。

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紙の本

リアルなピアノと人間模様

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この作品が描かれたのは、もう随分と前のことですが、キャラクターの魅力、ストーリーのドラマ性ともに、今読んでもとてもおもしろく感じます。
 何より、ピアノを弾くものにとっては、ピアノのシーンも嘘臭くなくていい。私も、過去ピアノを習っていましたが、この話の中で、主人公の麻子や、きしんちゃんが弾いていた曲を、ついつい弾きたくなってしまいます。漫画なのに、それだけリアルだということなのかもしれません。
 この話では、ピアノが中心となり、いろいろな人たちが、さまざまな音色(人生)を奏でていきます。もちろん、軸は、麻子ときしんちゃんの物語なのですが、周りの人たちのドラマにも手抜きはなく、隅々までしっかりと読むことができる話です。
 くらもちさんの漫画は、漫画でありながら、軽くなく、嘘っぽさがなく、一つのリアルなドラマを見ているような気持ちになります。特にこの作品は、私にピアノの大切さを教えてくれた思い出の話。いつまでも手元に置いておきたい一冊です。

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紙の本

紙の本外科室・海城発電 他五篇

2001/02/13 19:43

お手軽な恋愛に物足りなさを感じている人に……

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 泉鏡花の文体は今の若い子にとっては難しくて、1P目を見ただけで本を閉じてしまうかもしれませんが、『外科室』だけは是非とも読んでほしい作品。
 ほんの一瞬目があっただけで互いに恋に落ち、お付き合いするわけでもなく、ただそっと相手を想い続けた外科医師と貴婦人のone and onlyの愛を描いた物語です。
 簡単に人を好きになり、出会いと別れを繰り返す人が、多くなった今だからこそ、この作品をお薦めしたいです。

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紙の本

紙の本えんの松原

2003/01/18 16:32

怨霊のいない現代は、怨の松原よりも恐ろしい

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児童文学ファンタジー大賞を『鬼の橋』で大賞受賞した、伊藤遊さんの二作目です。
ファンタジーといえば、剣や魔法が出てきたり、魔物や妖精が出てくるような、どこか西洋風なイメージがありますが、伊藤さんの作品は純和風。
人々がまだ物の怪の存在に怯えて暮らしていたころの、古くの日本が舞台です。

華やかな大内裏のど真ん中に、ひっそりと存在する松の林——えんの松原
この世に恨みを残したままさまよい続ける物の怪の棲む、怨の松原

この作品は、怨霊に両親を殺された主人公と、怨霊に祟られている少年が、ともに怨霊に立ち向かい、成長してゆく物語ですが、ただ敵と戦い、敵に勝つだけの冒険ものではありません。
怨霊はもともとは同じ人。怨霊になるには怨霊にならざるをえなかった理由が、悲しみがそこにはある。光あれば闇がある……。
怨霊がいなくなる日がくればいい、最初はそう思っていた主人公ですが、怨霊に向かい合っているうちに考えが変わってゆきます。

「うまくやるやつがいて、そのあおりを食う者がいる。そのしくみが変わらない限り、この世から怨霊がいなくなるとは思えない。それなのに、怨霊がいなくなったとしたら……、それはいないのではなくて、だれにも見えなくなっただけじゃないか、という気がするんだ。だれも怨霊のことなんか思い出しもしないし、いるとさえ思わない……。忘れてしまうんだ、悲しい思いをしたまま死んでしまった人間のことなんか。それはもしかすると、今よりもずっと恐ろしい世の中なのかもしれないぞ」。

災厄に立ち向かう力を持たず、疫病も水害も、みな怨霊の祟りのせいだと信じていた当時の人々の深い嘆き。それと同時に、無念を抱いて死んでいった人間を思いやる、他人の悲しみに敏感だった人々の姿が浮かんでくるのだと、伊藤さんはあとがきで述べています。
物の怪、怨霊、幽霊さえも信じない現代は、この物語の主人公がいうように、怨霊の影に怯える人々が暮らすこの作中世界よりも、ずっと恐ろしい世の中なのかもしれません。
今の時代に生きる私たちは、自分の傷みにばかり敏感で、人の傷み、悲しみには鈍感な生き物になってはいないだろうかと、考えさせてくれます。

伊藤さんの作品は、前作、今作品ともに、時代が古い設定であるために、学生時代古文を毛嫌いしていたような読者には、難しそうだからと、読まずして本を閉じられてしまうこともあるようです。
蔀(しとみ)や内裏(だいり)など、聞きなれない言葉が出てくるだけで拒否反応を起こしてしまうのかもしれませんが、ものの名称以外は現代が舞台の物語とさほど変わりのない、とてもやさしい文章で書かれた読みやすい物語です。
読まずに本を閉じてしまうには、あまりにももったいのない一冊。
苦手意識のある人も、ぜひ読みすすめてほしい作品です。

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紙の本

外伝は本編がおもしろいからこそ、おもしろい

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聖と那智のその後&二人が知り合ったころのお話
浅葱のその後&幼少のころの思い出のお話
更紗と朱理の時代より100年前の、4本の宝刀をめぐる「ばさらもの」の戦いの物語
の、三本の外伝が載っています。

聖と那智、浅葱(&群竹さん)のお話は、それぞれ幼い日々の思い出が話の中心にはなっていますが、本編のその後のみんなが、過去を回想する形で語られているため、その後の聖や那智、浅葱の姿もちらりと見ることができます。
戦いを終えた後も、みんな少しずつ成長してゆくのですね。

4本の宝刀をめぐるお話は、更紗やハヤトのひいおじいちゃんたちのお話です。みんながどんな思いで刀を持ち、どんな戦いをしていたのか。何を思って生き、何を誓って四方へと散っていったのか。そして、白虎、青龍、玄武、朱雀の4つのつながりだけでなく、王族とのつながりも、過去からの流れにあったのだということもわかります。
短編ではありますが、本編というベースがあるので、大作のように深く大きく感じられるお話です。

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紙の本

本編、いよいよ最終回

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浅葱を追って王城へやってきた更紗と朱理は、その場は浅葱に任せ、国王の元へと向う。そして国王をも追い出し、これで王家も終わりと思われたそのとき、地下通路での仕掛けが作動し、城が崩れ始める。地下でひとり、それを食い止める揚羽だったが……。

いよいよ、クライマックスです。
揚羽はどこまでも美しく舞うように戦いぬき、浅葱はようやく光を見出し、更紗と朱理はどこまでも熱くかけ抜けてゆきます。
朱理が、更紗が、浅葱が、角じいが、千手姫が、揚羽が、みんなそれぞれの思いを胸に、この戦いを終わらせるのです。
物理的にだけではなく、心の部分でもちゃんと決着をつけなければ、本当の平和はやってきません。みんなの心の戦いも、終わらさなければ——。それこそが、更紗と朱理という、二人の愛し合う運命の子供の役目だったのでしょうか。

本編の他に、外伝が2編載っています。
白の王の悲しい過去のお話と、揚羽の若かりしころのお話です。
みんないろいろな過去を背負って生きている、その過去があったからこその、その人であるのだと感じます。

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紙の本

浅葱の居場所

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タタラ軍対朱理率いる国王軍の戦いも大詰めになったころ、朱理はこの戦いの本当の意味を明かした。腐りきった世の中を変えるために、自分が最後の王として国を国民に明け渡すために、そしてタタラのために、ここにいると。
朱理は、最大の敵、柊に戦いを挑み、片腕を無くしてしまう。
そして戦は終わり、京都へとともに向かうことになった朱理とタタラ軍。
ところが、浅葱が忽然と姿を消してしまう。

浅葱はわがまま放題のように見えて、実はちっともわがままではありません。
軽いわがままをたくさんいう人ほど、ほんとうに望むものは口に出さないものです。
浅葱も、自分がどう生きたいかを、もっとすなおに考えて、生きたいように生きればいいのですが。不器用な生き方しかできない浅葱が、かわいそうでしかたがなくなります。
また、朱理は更紗といっしょに戦うことになりますが、角じいをはじめとする、赤の王に恨みを持つメンバーは、なかなか受け入れることができません。
若いメンバーは比較的、順応しているように見えますが、年を取って頭が固くなっている者、赤の王への恨みが大きいものは、タタラと赤の王が手を組むなどとは許せないようです。それでは、いつまでたっても争いは、憎しみは、終わらないのに……。
更紗と朱理が、ともに戦う姿を見られたのはうれしいのですが、みんなの態度に不安のような、気持ち悪さのようなものを感じます。

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紙の本

戦っているのに、心を確かめ合うかのような二人

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タタラ軍と朱理率いる国王軍の戦いが続く中、萩原大老は、その戦場で国王軍もタタラ軍もまとめてつぶしてしまおうと計画していた。けれど、瓦版屋の太郎ちゃんが、命がけで手にしたその計画の全貌を書いた瓦版が、間一髪のところで戦場へと届く。
タタラ軍対朱理軍の戦いのはずが、萩原大老と朱理の戦いになるが、朱理はその場で意外なことをいう……。

朱理は、やはり昔の赤の王ではなかったのです。すでに、更紗とともに、未来の日本の姿を見ていたのです。新しい時代を導くために、やるべきことを一人で抱え込んでいた朱理。心許した相手にも、その計画を語らないのが朱理なんですね。仲間としては少し寂しいですが。
浅葱の心も、どんどんと氷が溶けてゆくように、素直な気持ちがあらわれてきます。
柊に、心・技・体の技のみといわれた浅葱でしたが、その柊にも負けないほどに、力も、心の落ち着きも得たのです。
朱理も、浅葱も、みんな高みへと上ってゆくような、そんな気持ちになります。

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紙の本

不吉な影

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タタラ軍のもとに全国から援軍が集結。
朱理は京都の民衆の前ではったりをかまし、一気にみんなの心をつかむ。そして、国王軍を率いて、とうとうタタラ軍との対決を迎える。
朱理率いる国王軍とは別に、萩原大老の企てるタタラ壊滅計画や、白の王の罠までもが、更紗を待ち構えていた。
いよいよ、タタラ軍対国王軍との最後の戦いがはじまる。

朱理は国王軍を率いて、更紗と対決する覚悟を決めたように見えますが、どこかまだ隠された企みがあるような気配を残しています。
更紗もまた、朱理の戦いかたに何か意味があるように感じます。
更紗も朱理も、敵同士として戦ってはいますが、その顔には憎しみや怒りの表情はかけらも見えません。どこか、お互いがお互いを待っているような、戦いの意味を見極めようとまっすぐ前を見ているような、すがすがしい戦いのような気がします。
ハヤトもまた、四道を討ったときのような憎しみからの矢ではなく、新しい国のためという思いから矢を放ちます。
みんなが前を向いている戦いならば、奪うだけではない、何かを残す戦いかたができるのではないかと思えてきます。
それよりも、暗い影を落としているのは、萩原大老の計画。
京都の中には、どす黒い空気が漂っていて、何か不吉なものを感じずにはいられません。

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紙の本

順調なのはここまで?

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揚羽はタタラ軍とは離れ、一人京都に。
京の都はどんどん物騒になっていく。タタラ軍壊滅計画も企てられる。
揚羽は京都で暗殺をこなしてゆく。タタラ軍には気のいい連中しかいない。悪党になって汚い仕事をする人材がいない。それを揚羽は一人で引き受ける。
そのころ、タタラ軍は、砂漠で快進撃をくりひろげていた。先陣に立っていたのは浅葱。柊に心・技・体の技のみといわれた浅葱だか、今まで技のある者がいなかったから、技を持っている浅葱は強みになると、更紗はプラス思考。
けれど、浅葱は、白の王から託された一通の手紙を更紗に渡す。

国王軍相手に順調に快進撃をつづけていた更紗と朱理。
ここにきて、白の王の企みや、朱理が現国王の後を継ぐという知らせ。またこれから、更紗のもとにつらい日々がやってくるのでは、と心配になる展開です。
でも、朱理はそんな中、更紗の母親にあいます。更紗の母は朱理にいいます。運命の子は二人だと。一人では滅ぼしてゆくだけだと。後に禍根を残さぬようにすべてを終わらせることは、一人ではできないと。
その言葉を聞いた朱理。その言葉を受けとめて、どのようにこの戦いを終わらせるのでしょうか。
浅葱は浅葱で悩んでいます。朱理は朱理の、揚羽は揚羽の、更紗は更紗の思いを胸に、物語は最後の戦いへと進んでゆきます。

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紙の本

一点の暗い影を残しつつ……

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四国の水軍とともに、国王軍と戦うタタラ軍。戦いの最中、柊の手下が次々とあらわれ、更紗を襲う。仲間の助けもあり、すべての刺客は姿を消すが、更紗は淡路島に浅葱と二人で流れ着き、そこで柊にあってしまう。柊と戦っても勝ち目のない更紗。浅葱が間にわって入り助けようとする。
また、浅葱が真の蒼の王だと、更紗は知ることとなる。

淡路島で、ほんのつかの間、更紗と二人きりになる浅葱。
浅葱の本当の心が少し見えてきます。
出あったころの浅葱は、か弱くてひょろひょろしていましたが、ずいぶんたくましくなりました。
性格も少しずつ、変わってきたようです。
浅葱だけでなく、朱理も。
みんな、更紗に出あい、更紗の仲間に出あい、少しずつ少しずつ変わってゆきます。更紗もまた、みんなといることで、成長してゆきます。
人が人を作り、人の輪が、人の思いが、国をも動かしてゆきます。
今まさに、すべての流れが良いほうへ良いほうへと動いていっている、そんなふうに感じるストーリーです。
ただ、国王軍にその流れに抵抗する者がいるのは当然として、更紗の仲間にも新しい風を受け入れないものがいるのも事実。角じいは、みんなの心から憎しみという負の心が薄れてゆく中、赤の王への恨みを根強く残し、更紗が赤の王にあうことを頑なに拒みます。
そこに一筋の暗い影を残し、物語は続いてゆきます。

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紙の本

離れていも通じあう二人

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京都から蘇芳の都へ戻った更紗。国王から柊という刺客が送られてくると知らされる。
また、四道の治めていた大宰府の町から、タタラ軍に救援要請が届く。蘇芳の都にも、大宰府にも溶けこんでゆくタタラ軍。そんな中、町中で千手姫の陣痛が始まり、更紗が四道の子を取りあげることに。千手姫の憎しみの心にも、ほんの少しずつ変化が。
一方、赤の王も仲間といっしょに、この世の中を変えるため、動き回っていた。更紗と手を組むことはしていないが、更紗が曲を書き、朱理が指揮棒をふるかのごとく、同じ目的に向かって進んでゆくのだった。

離れてはいても、どこかでつながっている更紗と朱理。連絡は取りあっていなくても、示しあわせたように、力をあわせて国王軍に立ち向かう二人です。
蒼の王、浅葱は、しばらくタタラ軍を離れていましたが、更紗が柊に狙われていると聞き、更紗のもとへと戻ってきます。
柊は、朱理や浅葱の剣の師匠。二人でさえ勝ち目のない相手。更紗危うしです。

更紗も朱理も、目的に向かって一直線。朱理も信じあえる仲間を見つけ、更紗も、蘇芳の人や大宰府の人たちと力を合わせて町を建て直し、戦いの中に身をおいてはいても、どこか明るく前向きです。
戦いの中、やはり人は死んでゆくのですが、それでも、敵討ちの戦いをしていたころとは違う、明るい光がそこにはあるように思います。
憎しみは何も生み出しはしませんが、今、更紗や朱理がやろうとしていることは、明るい未来へと続くものだからでしょう。
一時はどこまで暗く落ちてゆくのかと思われましたが、このまま上昇してハッピーエンドへと向かえるのでしょうか。楽しみです。

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