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坊や武さんのレビュー一覧

投稿者:坊や武

4 件中 1 件~ 4 件を表示

10 1/2章で書かれた世界の歴史

2001/02/15 23:13

繰り返されるもの

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 10と1/2章は、すべてが完結し、独自の手法で書かれており、その手法での面白さが追求されている。ノアの箱舟の密航者が語る第一章から始まり、(以下順不同)教会に住み着いた虫を訴える話、ノアの箱舟を探す旅に出る話、愛について、(以下略)しかしながら、それらをバラバラにすることは出来ない。テキストという形式の中にある面白さを改めて実感出来る。
 繰り返される歴史は、形を変え、あるときは分かりやすく、あるときは分かりづらく、デジャヴのように現れる。しかし、繰り返されているのは歴史なのか、それとも我々が行う物語化行為の中の物語なのか?
この書評に関して何かありましたらここ迄。

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離婚

2001/02/16 01:50

芥川賞のほうが良かったんじゃないでしょうか。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 念の為に書いておくと、著者は『麻雀放浪記』の阿佐田哲也です。
 しかし、坊や哲だと思って読み進んではいけません。ただ、どうしても脳裏には坊や哲の勇姿が映りますので、別人なんだ、と強く念じて読むぐらいがちょうどいいかも知れませんね。
 直木賞受賞の表題作を含む四つの短編が収録されています。その内、始めの三つは全く同じ語り手による短編の連作で、四つ目は舞台は同じものの、多少毛色が違っています。
 小説は語り手である主人公が、その妻と離婚するところから始まります。しかし、この小説を貫くのは(元?)妻に対する暖かい眼差しです。たとえば、妻について“日常の買い物でも、魚を買って、肉が眼につくとそれを買い、それから別の魚をぼくに喰わせてやりたくなって買ってしまうという具合に、計画、或いは規則ということができません(P21)”などと表面上は非難がましくは書いているものの、これはある種ののろけですね。妻をかばっている口調です。
 全体を通して、このような口調で書かれてはいるのですが、例えば、三つ目の短編のタイトル“妻の嫁入り”といったようになんだかほのぼのとしているのですが、読み進めていくうちに、この語り手の口調は全くウソではないが、何かを告げていないな、と感じる瞬間がありました。冒頭にあるとおり実はとてつもなく“大きな問題(P9)”だったんだ、と感じさせる凄みがあります。
 あえて語らない事によって増した凄みとでもいうんでしょうか。
 少しばかり戦慄しました。

この書評に何かございましたらここ迄、お願いいたします。

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木のぼり男爵

2001/02/16 00:48

世界を眺める視点。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 人間はどのようにして、世界を捉えているのか?残念ながら、自分の主観を超えた捉え方は出来ない。人類の大多数は恒常的に日本の足で地面と結びついた形で生活している。人間の想像力は常に地面に結びついているのだ。
 木のぼり男爵は、その滑稽なきっかけはともかく、自分の意志でまだ子供だった頃、地面から離れ、その生涯を木の上で過ごした男爵の話である。普通の人々が地上で行うことを木の上で行う。帯にあるとおり“恋も革命”もである。人々が決して知ることのない、木の上の人の生活が明らかになるのだ。
 しかし、カルヴィーノは用心深く、小説を木のぼり男爵の弟に語らせている。そのため、木のぼり男爵の行動はすべて、我々同様地面の人である弟の視点から描かれる。この好意的なフィルターを通して、読者は男爵を知る事になる。この弟の存在は隠れたファインプレーで、彼のお陰で読者は男爵に対する、木の上の人間に対する違和感が幾らか減少されている。
 木のぼり男爵を何かのメタファーだというのは簡単である。
 カルヴィーノ本人であるとか、または理解者の少ない少数派であるとか、多少飛躍するがある種の障害者であるとか。
 こういった読み方を否定はしないが、まずはこの物語をそのまま味わってもらいたい。
 この物語はもちろん作り話ではあるが、重要なのは、ありえない話ではない、ということである。この可能性を追求した小説は、言うまでもなく傑作である。

この書評に何かありましたらここ迄。

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裸のランチ 完全版

2001/02/15 23:46

映画とはずいぶん違うと思います。念の為。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 麻薬に浸かった状態の作者が書き、その状態で書き散らしたものを編集者に送ったため、各章の結びつきは作者の書いた順番どおりではないらしいです。僕は麻薬などしたことがないので、想像も出来ませんが、これを読めば多少はその状態を掴むことが出来るような気がします。
 序文はちゃんとした文章なので、麻薬を始めようとしている人にとって分かりやすく、ためになるものに仕上がっています。内容は夢をそのまま文章にしたものよりは、はるかに荒唐無稽です。それがさらに、バラバラにされた章立てから成り立っているので、この小説の存在はいろいろな意味で奇跡だと思って間違いありません。
 同じ著者による、『ソフトマシーン』、『おかま』、などを既読の方は、比較的内容が理解しやすいかと思われますが、本書だけでも十分楽しむことは可能だと思います。
 作者の肉声が聴きたければ、故カートコバーンのCDで聴くことが出来るので、興味のある方は試してみるといいでしょう。
 なにかありましたらここ迄。

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