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トリフィドさんのレビュー一覧

投稿者:トリフィド

312 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

紙の本ラヴクラフト全集 1

2002/07/22 04:15

忌まわしきインスマウス

14人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

クトゥルー神話の始祖として知られる、20世紀の怪奇小説作家の大
御所H.P.ラヴクラフトの全集。これはその第1巻。ちなみに、第1巻
と第2巻は、当初『ラヴクラフト傑作選』として出されていたもの。
ゆえに粒揃いの作品が収められている。収録作品は以下の通り:

「インスマウスの影」
「壁の中の鼠」
「死体安置所にて」
「闇に囁くもの」

「インスマウスの影」—— 忌まわしき町インスマウスとそのおぞ
ましい住人たちを巡るこの物語は、クトゥルー神話体系の原点のひ
とつ。まぎれもない傑作であり、知っていないと仲間との会話にも
困る重要な作品である。

「闇に囁くもの」—— 洪水の際に発見された謎の生物の死体を巡
る論争から始まるこの物語は、枠組みだけを見ると完全にSFである。
しかしそれがラヴクラフトの手に掛かると、こんな恐怖譚になって
しまうのだ。曖昧に提示される間接的な情報や、登場人物たちの
もどかしい行動。それらは読者を苛立たせながら、いつのまにか読
者を完全に物語の中へと引きずりこむ。

ラヴクラフトに入門したいと思ったら、まずはこの全集に着手する
ことをおすすめしたい。そして、青心社の『クトゥルー』のシリー
ズに手を拡げるのだ。

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紙の本

紙の本2001年宇宙の旅 決定版

2001/07/27 05:06

クラーク版『2001年宇宙の旅』

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 知らぬもののいないSF映画の最高峰、スタンリー・キューブリック監督作品『2001年宇宙の旅』の小説版である。

 SF者は必読であるのはもちろんのこと、映画を見て少しでも心に残るものがあった人も、ぜひ本書を手に取って戴きたい。

 しかしこの本にあの不可解な映画の真相が記されているとは期待しない方がよい。映画がこの本に書かれていることに縛られていると考えるべきではないのだ。これはキューブリックの映画版『2001年宇宙の旅』の解説書ではない。あくまでもアーサー・C・クラーク版『2001年宇宙の旅』なのである。

 オールドファンの中には、1977年に出された旧版(ハヤカワSF文庫の243番だ)を読んでしまったので、この「決定版」はチェックしていないという人もいるのではないだろうか。そういう人にもぜひこの本をおすすめする。

 訳者の伊藤典夫氏は多大な思い入れを持ってこの本に取り組んでいるようで、まさに「決定版」、大変丁寧に作られた本である。

 新たにつけられたクラークの新版序文 —15ページある— は、けっこう読みごたえがある。そして本文、時代に合わせて訳語をアップデートし、全面的に訳を見直したとのこと(新訳同然だそうだ)。さらに、「映画と小説のあいだで」と題する訳者あとがき —20ページある— も、大変に読みごたえがある。伊藤氏による映画版に関する考察が綴られており、いろいろと気づかされ、また考えさせられた。

 というわけで、まだの人は早く読みましょう。

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紙の本

紙の本ラヴクラフト全集 2

2002/07/22 04:17

クトゥルフの出現

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

クトゥルー神話の始祖として知られる、20世紀の怪奇小説作家の大
御所H.P.ラヴクラフトの全集の第2巻。収録作品は次の通り:

「クトゥルフの呼び声」
「エーリッヒ・ツァンの音楽」
「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」

「クトゥルフの呼び声」—— この作品は、クトゥルー神話の最大
の原点といってよい大傑作。世界各地で起きた様々な奇怪な出来事
や数々の事実がひとつに結び付き、そして、恐るべきヴィジョンが
読者に提示される。良くできたストーリーであり、クトゥルー神話
大系の世界観が一挙に明らかにされる点で重要でもある。みごとな
作品だ。
「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」—— 本書の大半を占める
長さで、これは事実上長篇である。自分の祖先である謎めいた魔術
師の探求から始まるこの物語は、精緻な構成の、読み応えのある作
品だ。歴史ロマンの雰囲気も色濃く、わたしが最も好きなラヴクラ
フト作品のひとつでもある。

「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」は、しばらく前に『ヘルハ
ザード』というタイトルで映画化された。少々翻案されていたが、
なかなか良くできていたと思う。

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紙の本

「ひみつの階段」の続篇

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

先頃新版が出た『ひみつの階段』の続篇である。「ひみつの階段」
ものが、コミックFantasyに掲載のシリーズ作の最後の3篇「乙女は
祈る」「GIFT」「わかれ道」に、書き下ろし「華胥の国に遊び」の
4篇。それに、読み切りの3篇「森を抜ける道」「Exile」「夢売り」
が掲載されている。

この巻が出たのちに、ポプラ社は『ひみつの階段』の新版に着手し
たわけなので、この巻の扱いがどうなるのか、いまひとつ不透明で
ある。とは云っても、ファンはぜひ購入しておきたいものだ。

また、読み切り作品の方のダークでセクシャルな雰囲気は、シリー
ズ作品にはないものだ。こちらもファンなら見逃せないだろう。と
いうか、「森を抜ける道」の方が気に入るという人もいそうである
(^◇^;)。

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紙の本

紙の本銀河パトロール隊

2002/07/31 21:48

壮大なスケール!圧倒的パワー!

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この稀有なシリーズを、どのように表現したらいいものか——時間
と空間と次元を越えた壮大なスケール。力と力の激烈なぶつかり合
い。知力の限りを尽くした心理戦。謎また謎——

今日でも、このシリーズを越えるパワー、スケール、迫力、勢いの
スペースオペラは存在しない。どれもこれもパワー不足か、あるい
は行き過ぎてバカSFになっているかだ。このシリーズはまことにもっ
て、稀有なバランスの上にある。

古い作品だが、回顧的な理由からではなく、まさにいま楽しむため
に読む価値が十分にある——いや、それどころか、読む *必要* が
あると断言させてもらおう。これを読まずしてスペースオペラを語
るなかれ!

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紙の本

紙の本ひみつの階段 1

2002/07/05 23:42

完全版『ひみつの階段』

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

少女期のロマンに感度のある人々の間で、静かながら熱心に支持さ
れている『ひみつの階段』の新版の第1巻である。旧版を出してい
た偕成社がコミックスから撤退とのことで行く末が心配されていた
が、すでに『ひみつの階段』第3巻とでもいうべき『乙女は祈る ひ
みつのドミトリー』を出しているポプラ社から、今回新版が出たわ
けである。帯の記述によると、シリーズ作品のみを集めた完全版
『ひみつの階段』を刊行するとのこと、続きが楽しみである。

さて、新版はシリーズ作品のみを集めるとのことで、収められてい
る作品も旧版とは変化している。収録作品は以下の通りである。

「ひみつの階段」 旧版第1巻
「印度の花嫁」 旧版第1巻
「春の珍客」 旧版第1巻
「物語をきかせて」 旧版第2巻
「日曜日」 旧版第1巻
「Diary 〜ダイアリー〜」書き下ろし
「See You」同人誌発表

50ページの書き下ろし「Diary」が、かなり良い。旧版を揃えてい
て、ほとんどこれだけが新作ということになる人にとっても満足で
あろう。同人誌発表の「See You」は、一昔前の祥華女学院を舞台
にした、お馴染みのある登場人物をめぐる驚くべき短篇である(^◇^;)

と云うわけで、偕成社版を持っていてあまり食指をそそられていな
かった諸氏も、迷わず本書を手に取られたい。

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紙の本

紙の本ハッカーズ大辞典 改訂新版

2002/07/04 01:38

ハッカーたちの足跡

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

コンピュータ関係の文化圏はいくつか系統があるが、この本は、い
わば、研究系、インターネット系、UNIX系、AI系とでもいうべき系
統の世界で使われてきた、用語、スラング、ジョークの類をアルファ
ベット順にならべて集大成したファイル、いわゆるjargon fileを
まとめた本の翻訳である。jargon file自体はインターネット上に
置かれ、様々なメソッドでアクセス可能であるが、日本語で読みた
いと思ったら、この本を読むしかあるまい。

古くから存在するファイルであるため、その内容はcutting-edgeな
ものとは云えない。いにしえのテクノロジーや環境において(テー
プドライブ! VAX!!)用いられていたものも多く、どちらかというと
歴史的文書と云って良いだろう。しかし、いまでもおなじみの語の
思わぬ語源や、抱腹絶倒の悪ふざけや歴史に残る事件などのハッカー
たちの心意気や生活スタイルに関わる話など、貴重な情報が満載で
ある。

このインターネット世界の歴史に触れるためにはぜひ読んでおきた
い本であるし、また、さまざまなドキュメントなどを読み解く際に
も、辞典として役に立つこともあるだろう。コンピュータを愛する
人みな親しんでほしい本である。

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紙の本

紙の本80年代SF傑作選 上

2001/12/17 05:24

80年代SFの粋

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 80年代の欧米SFの粋を集めた日本オリジナル編集のアンソロジー。SF者でまだ読んでいない人はいますぐ読むように……と言い切るだけでも良いのではないかと思えるほどの、傑作ぞろいのすばらしいアンソロジーである。

 このアンソロジーは、80年代の中短篇の中から、編者らの心になんらかの深い印象を残している作品を選りすぐったものだとのこと。80年代というと、即座にサイバーパンクと連想してしまうものだが、特にサイバーパンク関係ばかり収録されているわけでははない。バラエティに富んだ傑作群が29篇、ぜいたくに収められた上下二巻である。

 中でも、下巻に収められたグレッグ・ベアの「鏖戦」が出色の出来。これを収めるがゆえに、このアンソロジーが取り沙汰されることがあるくらいの作品である。

「鏖戦」は、いつとも知れぬ遥か未来、全滅戦争を戦う人類と異種属〈施禰倶支/セネクシ〉の戦いの物語だ。特に日本人にはお馴染みの(!)シチュエーションの戦闘が繰り広げられるこの物語は、しかし単純な戦争SFではない。異様な変貌を遂げた人類、人類化した〈施禰倶支〉の一個体、そして人類の歴史を収める記憶装置〈マンデイト〉が織りなす物語が、SFならではのめくるめくヴィジョンを繰り広げる。読み終わってからしばし茫然としてしまうような、異様な迫力を持った力作である。

 この物語はまた、翻訳者の妙技によって、翻訳の段階で何倍も輝きを増している作品だ。こういう翻訳はどんどんやってもらいたいと思うのだが。

 さて、もう一作、上巻に収められた「みっともないニワトリ」も心に残った作品である。

 ある日、バスの中で絶滅鳥の本を見ていた主人公。彼が開いていたページの絵を見て、たまたま居合わせた銀髪のご婦人がいわく、「長いこと、そのみっともないニワトリは見てないわ」。だがそれは18世紀に絶滅したはずのドードー鳥。かくして生物学者の卵である主人公は、「〈ネイチャー〉の表紙だ!」「6時のニュースだ!」とわめきながら、国中を、そして地球の反対側へと飛び回ることになる。

 ユーモラスでどことなく哀しい、しかし心にあたたかいものが残る作品である。

 他の作品も粒揃い。SFを読むものみんなに手に取ってみてほしい本である。

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紙の本

紙の本BLAME! 9

2002/12/25 23:46

真っ黒な本

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

最近ますます凄味を増して目が離せない、SFコミックの傑作の最新
巻だ。

まずは前巻につづき、主人公霧亥が怖い! ますます怖い(^◇^;)。
そして霧亥の歩みと共にさまざまな顔を見せる都市構造体の姿は、
ますます磨きがかかってすばらしい。じっくり眺めてしまおう。

奇妙な相棒を得たものの、霧亥はふたたび1人に戻り(?)、物語は1
巻の雰囲気に戻った感じだ。そして出会う、さまざまな存在たち、
さまざまな思い……

また、暗闇の使い方や空間の描き方もすばらしいのだ。闇また闇、
そこをわずかに照らし出す光。闇の中にポツンと輝くディスプレイ。
暗闇の中に霧亥の顔だけがボウッと浮かぶ。あるいは、途方もなく
巨大な施設の中を孤独に歩む霧亥の小さな姿。息詰まるような狭い
空間から途轍もない大空洞へと息を呑むような大転換。SF的風景を、
これでもかと見せてくれる。

中でも、この巻の最終話「LOG.57 観測者」は、一種詩情さえ漂わ
せる凄味のある物語であり絵である。

次巻にますます期待がかかる、目が離せないシリーズだ。

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紙の本

紙の本ソラリスの陽のもとに

2002/06/25 00:00

ソラリス——尽きせぬ謎……

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

数多いSF作品の中でも、何度もその世界に立ち戻ってみたいと思わ
せる作品は、決して多くはない。

この作品は、いつまで経っても忘れることのできない、そして折に
ふれて思い出し、時には手に取って読み返したりしてしまう作品の
ひとつ。SF作品群の頂点に立つ傑作のひとつである。

レムが披露して見せた、この大宇宙に浮かぶ巨大な疑問符——惑星
ソラリスという存在は、読者を魅了し、もどかしい思いに囚われせ
しめることだろう。ある方向へのSFの究極の形がここにある。

SFを読む者がこの作品を読まずにいるというのは、グルメな人がト
リュフを口にしないようなもの、ハッカーがインターネットを使わ
ないようなものである。理解することも共感することも反発するこ
ともできないものに真正面からぶちあたり、こっぱみじんに砕け散
る快感を、ぜひ味わってみてほしい。必読なり。

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紙の本

紙の本BLAME! 1

2002/01/06 03:51

廃墟を独りさまよう

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 第1巻では、後にパートナーとなるシボはまだ登場しない。霧亥は空漠とした廃墟世界をひとりさまよう。

 延々と連なる異様な廃墟の風景、動くもののない空疎な空間、そこここで互いに孤立して暮らす人々。そして突如として爆発する問答無用のバイオレンス。霧亥の銃、重力子放射線射出装置のほとんどナンセンスなまでの桁違いの破壊力。

 霧亥の最小限の目的は示されるものの、なにがどうなっているのかほとんど不明。人間的なところがまるで感じられない主人公は極めて異様。外見こそ普通の人間のように見えるが、じつはかなり異質な存在であることが端々に描かれる。これらの謎が気になり出したら、それはもうこの作品に魅了されているということだ。

 ちなみに、LOG2において、霧亥がどこからか見つけてきた本を開いて一節を読み上げるところがあるが、あれはジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの短篇「雪はとけた、雪は消えた」の冒頭である。そしてその読み上げを聞いている両腕のない女性と妙に知的な犬(?)は、その当の「雪はとけた、雪は消えた」に登場するキャラクターに由来する。不思議なメタ構造である。ところどころにあるこういう遊びが楽しい。

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紙の本

アルゴリズムの集大成

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 コンピュータ関係の書籍は、とかくすぐに古びてしまうような印象があるが、数学の定理が古びないのと同様、アルゴリズムは10年や20年で古びてしまうものではない。本書は、数多くのアルゴリズムを集大成した本として定評を得ているものである。発行後10年ほど経つが、いまだに本書を凌駕する書籍は、同じような価格帯では出ていないのではないだろうか。

 ソートや検索などのような実用的なアルゴリズムから、さまざまなパズルの類に至るまで、数多くのアルゴリズムが、C言語のコードを使って説明されている。難解なアルゴリズムの詳細な説明や、メモリ効率やスピードなどに関する記述に関しては、他の教科書的な(そして高価な)本にかなわないが、Cのコードを読み解ける力を持っている者にとってはさほどの難点ではないだろう。
 手元に1冊あると安心の本である。

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紙の本

紙の本はてしない物語

2001/11/30 04:40

映画を観た人はぜひ原作も

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この物語は、『ネバーエンディング・ストーリー』というタイトルで映画化された。しかし、小説を読んでから映画を観た人の多くは、映画には怒っているのである。それはあの映画が、原作の物語を台無しにしているから、原作のメッセージを蔑ろにしているから、原作を原作たらしめている部分をみごとに削ぎとっているからである。
 映画は、原作小説の前半分、起承転結の起承の部分に、適当に座りのよい結末をくっつけただけのものだ。そこまででは、この物語は凡庸な成長ものファンタジー物語でしかない。『はてしない物語』が凄いのはこれからなのだ。エンデがこの物語に込めたメッセージは、この物語をこの物語たらしめている命の部分は、この後半部分で現れてくるのである。
 映画だけ観た人には、本書を手に取って、この物語をありきたりの少年成長ファンタジー以上のものにしている物語の後半を、ぜひ知っていただきたいと思う。

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紙の本

紙の本エッシャーの宇宙

2001/11/19 03:26

エッシャーが好きな人はぜひ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この本は、エッシャーに関する本の決定版であり、基本資料であると言ってしまってよいだろう。エッシャーが好きな人は絶対本棚に置いておきたい本だ。

 エッシャーと親交の深かった著者による、エッシャーの全作品についての、その制作の動機やアイデアの成長過程をまとめた本である。

 エッシャーの作品は、大きくスペースをとって高品質に掲載されており、充分に画集として観賞に耐える作りになっている。エッシャーの作品を観賞するための画集であり、同時にエッシャーについてもっと知るための評伝でもあるわけだ。

 広く知られている完成品の作品群だけではなく、それらの下絵やスケッチ、あるいは絵の構造の図解なども数多く掲載されており、ファンには興味がつきない一冊である。

 銀色の装幀に、エッシャーの遺作となった作品「蛇」がいっぱいに描かれた表紙。所有することがうれしくなってしまう本である。

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紙の本

紙の本宇宙船ビーグル号の冒険

2001/03/06 03:57

SF基本図書の1冊

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 マスターピースの一冊。SF基本図書。この作品はSF小説群の中でそういう位置を占めています。この作品をSF体験の原点として持っている人も多いのではないでしょうか。

 科学者たちを満載し、宇宙の闇を突き進む巨大な調査宇宙船《ビーグル号》。そして次々と襲いかかる恐るべきモンスターたち。超絶的な能力を持つ怪物たちと人類の科学の粋が暗黒の宇宙に火花を散らします。

 モンスターとは言っても、彼らはそれぞれに出自と意図を持つ知性体です。人類の尺度から見ると恐るべき外見、悪魔的な能力を持ってはいますが、それぞれに彼らなりの理由で《ビーグル号》を狙うのです。それゆえ、こ
の本はSF映画などでよくある怪物撃退アクションものとは一線を画しています。知力と知力の対決なのです。

 一方、船内に目を移して見ると、この物語はあらゆる科学分野を総合した総合科学という新しい学問の徒であるエリオット・グローヴナーの出世物語でもあります。自分と総合科学を、他の伝統的な分野の科学者たちに認めさせるため、彼の孤独な戦いが続きます。

 まだ読んでいないSF者はチェックされたし!

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