Vivianさんのレビュー一覧
投稿者:Vivian
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光抱く友よ
2001/02/16 00:47
ノスタルジックな気分に浸りたい夜の一冊
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女子高校生2人のぎこちなさと純粋さが入り混じった「友情」が綴られたこの小説のテーマは、一方では「恋愛」と重なる部分も大いにあるとも思った。思ったことを率直に表現できない、どちらかというとぼんやりした性格の相馬涼子が、まさに自分とは正反対で、自分の感性に従って行動する真っ直ぐで、しかし早熟でアンニュイな雰囲気をかもし出す松尾勝美との出会いによって自分が変わっていくことを実感する。とまどいながらも彼女の新鮮さに刺激を受けるのだ。何の共通点もない2人が初めて接点を持つところから次第に互いに心を開いていく様が深々と描かれている。
「松尾さんは、これまでの17年間、うちの心がきちんと片付いとったところをひっくり返したんよ。何が上等で、何が下らないか、何が正しくて何が間違ってるかわからんようにしてしまった」という涼子の台詞があるが、「これだ!」と思った。これはまさに、自分を変えるほどの恋人と出会ったときの感情だ。これまでずっと自分の中で積み上げてきた価値観をがらりと覆す存在は恋人である場合が多いのではないかな、と(個人的には)思ったからだ。
読み進めていくうちに、涼子に感情移入し、松尾勝美をかつて自分の価値観をがらりとひっくり返した恋人に置き換えて読んでいる自分がいた。人間の表情から読み取れる感情の移り変わりや悲しさや苦悩といった負の感情も繊細かつ丁寧に綴られた純文学で、ノスタルジックな気分に浸りたい夜長にふさわしい一冊だと思う。
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