ミラクルさんのレビュー一覧
投稿者:ミラクル
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2001/02/18 01:42
男が男を撮った写真集!
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いまはもう、すっかり「女性誌」になってしまった、朝日新聞社発行の『AERA』が、『ジャーナル』と並ぶ朝日のオピニオン誌であった創刊時に、特集されたのが、ソ連のアフガニスタン侵攻だったと記憶している(違ってたらすみません)。
ゴリゴリの週刊誌ということで、気合を入れて読んだりしていたのだけれど、その時、記事になっているアフガニスタンで一体、誰がどんな風に戦っているかなんて、全く気にしたことがなかった。僕には、それはただ遠い・悲惨な国の話としか思えなかった。
飽食の日本(バブルの頃ですね)からぼんやりと思いを馳せていたそのアフガニスタンで、血を流しながら戦っていた人は、いまもまだ戦いつづけている。それが、この写真集の主人公、「マスード」だ。
戦地などの写真を撮りつづけている長倉洋海は、アフガニスタンでイスラムの理想の国を建設しようとして戦いつづけるマスードに会うために、戦地を一人で訪ねていった。巨大なソ連という国家から“パンシールのライオン”と恐れられていた、自分と同じ年頃の司令官に会うために幾多の危機を乗り越えて。
こんな風に紹介するだけで、“男の意気”を感じてしまうのだけど、それが、現在まで続いているということには驚嘆を禁じえない。
この写真集は、マスードと長倉洋海との17年間の記録である。まだ若いマスードの顔に、長い年月を経て皺が刻まれていく。個人的には酒ブトリしていく自分と比べて少し落ち込んだりしてしまう。これからこんなに男らしい顔を、作っていけるだろうか?
戦地の記録というと、映画「プラトーン」(最低映画)や「プライベート・ライアン」などの腕が飛んだり、血が流れたりというシーンばかり思い浮かべてしまうかもしれない。でも、ここには、いつ自分の住んでいる町や村が戦場となってしまうかわからない中で暮らしている少年や少女たちの活き活きとした姿も収められている。自転車で走る少年、果実を齧る少女、ふざけて組み合う男たち、すべての姿が美しい。でも、その躍動が不安定な社会の上での姿であるということが悲しい。
なにはともあれ、写真がきれいだ。
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