サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. レビュー
  3. mamin13さんのレビュー一覧

mamin13さんのレビュー一覧

投稿者:mamin13

31 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本赤の魔術師

2001/04/22 03:05

心優しくドジな魔術師

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 両親と共に沖合いの小島で休暇を過ごしていたリヤンがある日突然姿を消した。ふと気がつくとリヤンは不思議な魔法の世界に…。一方リヤンの父親は、藁をもつかむ思いでイギリスのとある男のもとを訪れる。そこで見た父親の夢はリヤンが太った魔術師と冒険の旅に出ている姿だった…。

 「アイルの書」シリーズでお馴染みのナンシー・スプリンガーの長編です。今回は完全なジュヴナイルとあって、明るく楽しい魔法と冒険ファンタジー。その中にも父親と息子の確執、心の葛藤などが盛り込まれているところに多少スプリンガーらしい色がうかがえます。何よりもキャラが魅力的。魔法の世界でリヤンと生活を共にする魔術師がとても優しく、心から彼を気遣ってくれているのが読んでいてとても心が温まりました。

 スプリンガーは「アイルの書」シリーズその他の本のタイトルを見てもわかるとうり、様々な色を題材に扱うのが好きなようです。今回は「赤」。色を扱う魔術師が心に深く「牡牛の血のようなまことのすきとおった赤…」と念じたところ、赤のクレヨンを持ったリヤンという少年をあやまって引き寄せてしまう、というところから物語は始まります。全編をとおして、この「色」というものがパーッと頭に浮かび、読み手を楽しませてくれます。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本はだかの太陽

2001/02/13 03:01

名作「鋼鉄都市」の続編

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本作品はアシモフのSFミステリー「鋼鉄都市」の続編です。
 刑事イライジャとロボットのダニールがまたまた難解な殺人事件の捜査を担当。前作同様アシモフ考案の「ロボット三原則」を根底に踏まえ、起こるはずのない不思議な怪事件に繰り出します。
 事件が起こるのはすべてがロボットによって管理されている惑星ソラリア。完全なる密室で人間が殺され、しかも現場にはロボットしか存在していなかった。はたして厳密にプログラミングされている「ロボットは人間に危害をあたえてはならない」という三原則を破りロボットが人間を殺すことなどありえるのだろうか…。この壁にぶち当たりながらも巧みな推理で事件の謎を解いてゆく二人。
 ちなみにこのシリーズは「夜明けのロボット、上・下」という3作目の続編も出ている人気シリーズ。全編、SF好きもミステリ好きもうならせる、まさに鮮やかなるアシモフの世界が展開されている。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本瞬きよりも速く

2001/03/28 03:11

幻想の魔術師健在!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 1996年発表、日本では1999年に発行されたブラッドベリの復帰第一作目の短編集。もうたしか80歳なような気がしますが、生涯現役という言葉がピタリとくる幻想的で素敵な作品が揃っていました。本を開くとまるで不思議な夢を見ているような気分になれる不思議な魅力は衰えていないようです。

 特に気に入った作品は、大人になるまで遠ざかっていた故郷の図書館で司書の女性と本や思い出について語り合う「交歓」。
 他にも幻想、怪奇、そして切なく美しい作品が収録されています。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本十二の意外な結末

2001/03/14 00:34

12種類のおもしろさ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「ケインとアベル」「百万ドルを取り返せ!」などの長編でおなじみのジェフリー・アーチャ−の短編集。十二編の多種多様な作品が連なっている。

 最後まで読んで思ったのは、この短編集、作品の並び順でかなりポイントが高くなっているという点。この邦題につけられた「意外」の文字は1個1個の作品もさることながら思わず翻弄される小説の並び順にも適用されている。ようするに一番最初に収められている作品から最後まで順番にちゃんと読んだほうがいい!そうしたほうが俄然楽しめ、読後感も良いです!
 ちょっとおやじっぽいオチも多いけど単純におもしろかった。短編なんで読み応えがあるとは言えないけれど、気楽に電車の中で読める本って感じでしょうか。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本魔女の鉄鎚

2001/03/02 21:47

中世の悪夢がまだ...

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 稀覯本の収集家であった愛すべき父が何者かに惨殺された。
 この事件の影にはある日父の元に届いた謎の本、黒魔術を扱った「魔法書」が関係していると思えてならない。娘のビアトリスが必死に真相解明に乗り出すなか、やがて十五世紀に実在した魔女裁判のマニュアル本ともいうべき「マレウス・マレフィカールム<魔女の鉄鎚>」という世にもおぞましい書物に遭遇する…。

 魔女裁判、キリスト教、狂信者団体、黒魔法と、かなりダークな題材を軸に物語はテンポ良く展開してゆく。600ページもある分厚い文庫なのだがかなりハイペースで読めた。
 要は父を殺した犯人を追い求める娘の話なのだが、この根底にある「魔法書」、カルト教団の謎が重々しくリアル(やっていることは現実では考えられないようなことだがほとんど事実に基づいている!)でゾッとする。
 以前からノン・フィクションもので実在する秘密結社、カルト教団のことを読みまくっていた私はすんなりと、この嘘のような話に入り込むことができ、より恐怖感が募った。
 ただ残念なことにほんと最後のほうになって話が急ピッチに進みすぎ、いかにもラストに向けてまとめている、というような展開がそれまでの中身に比べると惜しい気もする。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本レベッカ・ポールソンのお告げ

2001/02/23 01:16

真実って恐いですね

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 内容は副題そのものずばり、「エロスと恐怖」にまつわる話を収めたアンソロジー集。
 お目当てはルース・レンデル、ジョナサン・キャロル、クライヴ・バーカーの作品だったが、その他の日本で無名の作家の作品が割とおもしろく得した気分。
 この本の評価は巷ではそれほど高くもないようだが、ホラー小説をあまり読みあさっていない私にはこのレベルで素直に嫌〜な戦慄が味わえ、なぜか満足。
 物語の最後のひねりがもうひとつ…などと思う作品もあったけど…やっぱり恐かった。

 恋に憧れている若者より、人生の倦怠感や裏切り、愛の苦味を知っている大人が読んだほうがしっくりいく作品ばかり。
 登場人物の心理がわかる、特に女性陣にはゾゾッと来る話が多いです…。
 そして大半が女性が男性を殺害する話なので女性に幻想を描いている男性陣も嫌な恐怖を味わえるでしょう。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本たたり

2001/04/13 04:33

静かな恐怖

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 幽霊屋敷として知られる「丘の屋敷」を調査するため、心霊学者モンタギュー博士は3人の男女を呼び寄せここにしばらく滞在することにした。近くの住民はここのことを何も語りたがらず嫌悪するばかり…。やがてこの屋敷に起こる不思議な現象、そして過去が明るみに出る。

 ハヤカワから出ている「山荘綺談」の新訳ヴァージョン。舞台となる館がヴィクトリア朝風の広い洋館なので、本文中の<山荘>を<丘の屋敷>と変えたのは正解だと思われます。
 この「山荘綺談」は、スティーヴン・キングが自分のエッセイ集で絶賛し、また「シャイニング」に多大なる影響をあたえたという、モダンホラー界では古典的名作と呼ばれる作品です。「THE HAUNTING OF HILL HOUSE」という原題で1959年に刊行され、最近では「ホーンティング」の名で映画化されました。
 “ホラー”とひとくちで言っても、この原作は幽霊も姿を現さないし特に惨劇が起こるというわけでもありません。なんというか、ぼやーっとした精神的恐怖が味わえる、心理サスペンスを読んでいるような趣があります。
 幻想文学ならではの静かな恐怖。突然の結末にシンプルな恐怖の演出…。いつまでも心に残る恐さを味わうには最適です。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本影をなくした男

2001/01/31 02:55

奥深いドイツメルヘン

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 “幸運の金袋”と引き替えに自分の“影”を手放してしまった男。莫大な富を得たものの、影がないばかりに世間からひどい仕打ちを受けやがて悪魔にわが身を売った自分の愚かさを呪うようになる。この男の不思議な運命をドイツロマン派・シャミッソーがユーモラスに描いた作品。
 さすがドイツ・ロマン的文学は味があるね〜! 子供っぽい話といえばそれまでの物語の中に現実的で理解しやすい主人公の心理変化が巧みに描かれている! ……などという感動は、実は最後まで読んでみて初めて得られたた感想です……。かなり後半になるまであまりのバカバカしさに「なんで私はこんなの読んでるんだ!?」と思いながらページをめくっていたのが本当。ところが、ほんとに最後のほうでやっとこの主人公が心の中にに入ってきました! そして、もう一度初めからゆっくりと読み返すはめに……。あなたにとって“影”とはなんでしょう? 意外に考えたことないでしょう?
 ちなみにこの作者は、「移民の経歴から国籍というものに特別の想いをもち、アイデンティティのことを深く考えたからこの話を書いた……」と、後々述べているそうです。つまり影とは自分の国籍であり、自分のアイデンティティを指していたと思われます。19世紀初期のドイツのメルヘン、おとぎ話はちょっと〜、という人は読むのをやめたほうが無難でしょう〜。しかしファンタジ−が好きな人にはお薦めできます。
 特に最後に載っている友人からの手紙……涙ものです!

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本リオノーラの肖像

2001/04/07 23:59

重厚ながらも読みやすいサスペンス

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 イギリスのハンプシャーにある閑静な館で育ったリオノーラ。
 母も父も亡くなり、意地の悪い義理の祖母達と過ごした暗い半生。不可解な館の住人の態度、謎に満ちた多くの出来事に幼いころから疑問を持ち続けていたリオノーラに、ある日全てを語る男が現れる…。自分の知らなかった出生の秘密から、館にまつわる悲しみと憎しみの歴史を突き止めたリオノーラ…。自らの娘にその長い長い歴史と悲しい物語をゆっくりと語り始める…。

 謎と嘘が小気味よく網羅され、全く飽きることなく読めました。語り部がリオノーラだけでなく違う人物に移ってゆくところも違和感が無く絶妙です。
 年老いた70歳のリオノーラが自分の半生を語り始める前半部から、今度は出生の秘密、自分の生まれる前の母の物語にまで遡るので、話としてはとても長いんですが、いろいろな要素が詰まっている為ページをめくる手も次第に早くなっていく、そんな小説でした。ただどうしても無理矢理な展開、それに向けてのちょっと突っ込みたくなるような描写も2、3ありましたが、これだけ読ませてくれれば充分でしょう。
 反戦主義のメッセージ色の濃い、サスペンスタッチの歴史物語という感じ。ラストまで目が離せない巧みに入り組んだ謎がおもしろかったです。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本二人がここにいる不思議

2001/04/03 12:47

程よい不思議

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

『瞬きよりも速く』に引き続き2000年に邦訳、刊行された(アメリカでの出版は1988年)ブラッドベリの未訳短編集。収録作の初出は1945年の「墓石」から1987年の「ローレル・アンド・ハーディー恋愛騒動」までと40年の開きがあります。
 内容はファンタジー、ホラー、SF、そしてコミカルなものまで、相変わらずバラエティに富んだ日常と非日常の狭間を描き、ちょっとした不思議が詰まったどこかしんみりと味わい深い23編が収録されています。

 地球人の襲来を受けた火星で、初めて目にした地球の女性に恋焦がれるシーオの思いを綴った「恋心」(「火星年代記」のサイド・ストーリー)。
 列車に居合わせた幽霊を助けよう(?)と悪戦苦闘する老婦人…、「オリエント急行、北へ」。悩みを抱える息子が亡くなった両親をディナーに招く…、表題作「二人がここにいる不思議」。その他「10月はたそがれの国」でおなじみのヴァンパイア一族のコミカルなニュー・ストーリー「10月の西」などなど、少し大人のじんわりとした余韻が程よい短編集です。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本魔猫

2001/01/17 04:57

「猫」という言葉からあなたは何を連想しますか?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ヘルキャットと腕利きの殺し屋の不思議な闘いを描く、スティーヴン・キングの「猫と殺し屋」。現実ではなくホログラム映像の中の猫と意思の疎通をかわす自閉症の少年の悲劇、ナンシー・クレスの「マリーゴールド・アウトレット」。暴力、貧困、心を病み、孤独の中に生きる少年と猫との固い絆、ジョエル・レインの「セーラ」。時は中世、魔女狩りから逃れた魂に闇の猫が語りかける4つの寓話、タニス・リーの「顔には花、足には刺」。他13作品。
 「17匹の猫が誘う妖しい闇の世界 / 恐怖のアンソロジー」と題された、猫にまつわる短編17話をおさめたアンソロジー集。
 表紙は恐いが中身はたいして恐い話ではない。猫が何かをしでかすというよりも、人間の孤独、狂気、病、嫉妬、不安を題材にした、主役はあくまでも人間の内面のことである。
 それを冷ややかに見つめている猫達が恐怖でもあり、また心の支えともなりえるという、まさに多種多様の猫のイメージが描かれている。
 大の猫好きの人は大の犬好きの私よりもよりいっそう気持ちを入れて読むことが出来ることでしょう。猫好きの人には特にお薦め!

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本いつか還るときは

2001/02/28 21:21

真に迫る人間描写

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 歌手ペギー・マリヤンの元に、死んだはずの恋人による脅迫としか思えない謎の絵葉書が届く。恐怖にかられ保安官に助けを求めるさなか町ではもうひとつ、女子高生の謎の失踪事件が起こっていた。そしてまたしてもペギーの元に不気味な葉書が届き始める…。この一見なんの関係もないような二つの事件には何か隠された繋がりがあるのだろうか!?

 これより先に翻訳本が出版されていた「丘をさまよう女」より、背景は過去のものになっている。どちらから読んでも差し障りはないと思うが、「いつか還るときは」のほうが比較的読みやすい。どちらもミステリー度は多少低いが物語は坦々とした中にも引き込まれてしまう不思議な雰囲気のある小説。ちなみに、「丘をさまよう女」はアンソニー賞、アガサ賞、マカヴィティ賞、「いつか還るときは」はマカヴィティ賞受賞作品である。
 全体的に盛り上がりは欠けるがなんといっても登場人物のキャラが気に入ってしまった。特にベトナム帰還兵のロジャー・ゲイブリエルの行動、心理に深く考えさせられるものがあり奥深い。その他の登場人物にも感情移入しやすく、ストーリーも終始無駄がなくサクサク読めた。なかなかの良作品。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本果しなき旅路

2001/02/16 00:58

じっくり噛みしめながら読む短編集

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 故郷の惑星を失い宇宙をさまよううちに地球にたどり着いた異星人たち。
 各地に散らばった仲間<同胞>とめぐり合い、いつか故郷に向かう日を切望しながら、人里離れた山奥でひっそりと暮らす抑制された毎日。
 高度な能力を持ちながらも静かに日々を送る彼らの姿を感動的に描いた連作短編集。

 これは長いあいだ絶版となっていた話題作で、「読んでみたいハヤカワ文庫の名作」アンケートの第1位に選ばれ復刊した作品。
 設定は異星人、テレパシー、テレキネシスとSFなものだけど、地球で静かに暮らしているピープル達<同胞>の、故郷と仲間を求めて止まない切なる想いと心の変化を描いた、少し物悲しい雰囲気の物語(決してハードなSFではありません)。
 短編のテーマはみな同一ですが、個々のエピソードはそれぞれ意味深く、じっくりと時間をかけて読んでほしい短編ばかり。
 聖書関連の描写も少し出てくるが知らなくても大丈夫だし、わかればなおさら心に染みる、ともかくそんなに気にならない程度。

 この<ピープル・シリーズ>は続編の「血は異ならず」が出ていて、この作品の後日談や過去のエピソードなどが描かれている。
 本作品を読んで感動した人はぜひそちらもお見逃しなく。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本われはロボット

2001/02/13 02:56

ロボット開発史にまつわるわかりやすい連作短編集

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 アシモフの考案したロボット三原則とは、

第1条・ロボットは人間に危害を加えてはならない。
第2条・ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。
ただし、あたえられた命令が、第1条に反する場合は、この限りではない。
第3条・ロボットは、第1条、および第2条に反するおそれのないかぎり、自己を守らなければならない。

 以上の3条から成っている。有名なこの原則に基づき、アシモフのロボット物語は展開される。
 陽電子頭脳回路の開発が進み、ついには人間の子守りをするロボット「ロビィ」が発売される。幼い少女の親友となったこのロビィ他、ユーモアとシリアスを織り交ぜたロボット開発史にまつわる連作短編集。
 それぞれに人間とロボットの苦悩が網羅され、科学にうとい私でも充分に楽しめる素敵な短編集である。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本11の物語

2001/01/31 02:50

不安という名の恐怖

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 どれも人間の不可解さ、心の歪みや不安と恐怖が描かれた11話による短編集。この短編集の中で私が一番気に入ったものは「モビールに艦隊が入港したとき」。実に淡々と話は進むのだが最後は思わず「ひえーっ!」と心の中で叫んでしまった…。
 あとは「ヒロイン」、「かたつむり観察者」が絶品で主人公がかなりの思い込みと空想の持ち主でそれが次第に拍車がかかり最後はああ〜こんなことに〜というハイスミスお得意の描写だ!(ちなみに「ヒロイン」は1940年代に書かれたハイスミスのデビュー作らしい。)
 派手な作品では無いし、好き嫌いも別れると思うけどなかなかの秀作短編集でした!

「かたつむり観察者」
 食用かたつむりを観察することに異常なまでに興味を持ってしまった男。妻も友人もこの一風変わった趣味をやめさせようとはするのだが彼はホレボレしながらかたつむりを見つめ続けるのだった。

「モビールに艦隊が入港したとき」
 ベランダで眠っている夫を思い切って…。そう、もうこんな生活は耐えられない! この結婚から開放されるためだったら何だってできる! 近所の人や警察だってきっと自分に同情してくれるはずだ…。不幸な過去を振り返りながら新しい生活を夢見て家を飛び出すジェラルディーン。
 う〜む。ラストシーンですっかりやられてしまったお気に入りの作品。

「ヒロイン」
 精神を病んでいた母が死んだ。私はそのの血を引いているの?でも医者は「あなたは普通の人となんら変わったところはないですよ。」と言っている。きっと私はちゃんとやれる…。嫌な過去を忘れるために郊外に行き住み込みの保母の仕事を見つける彼女。優しい雇い主に恵まれかわいい子供達との幸せな毎日が始まった。
 「私はこの家族のためなら命も惜しくない」そんな強い思い込みが悲しい結末へと向かってしまう…。

−他8編−

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

31 件中 1 件~ 15 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。