すべからくさんのレビュー一覧

レトリック論

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

　単なるレトリックの解説書にとどまらず、レトリック論としての重みを持つ書。入門書としての性格も併せ持っているが、手応えは十分だろう。佐々木健一の書評でもあったように、赤羽のレトリック論の直接の柱となっているのは、デリダの隠喩論であろう。しかし、デリダの隠喩論がアリストテレスなどの思想的に隠喩をあつかった書を批判的にとらえ直していて、具体例に乏しいのに対して、赤羽のこの本は、すべからく実例が配してある。様々な名文家の珠玉の文章達を相手にして、なお論理的な赤羽の隠喩論は、読み進めていくものに十分な快感を与えてくれる。帯に書いてあるように、まさに「詩をわかりたいたいあなたに」は打ってつけの本だろう。