だらにさんのレビュー一覧
投稿者:だらに
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ニーチェ
2001/03/04 19:05
ラクダと子供
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「ラクダは既成の価値の重荷を担い、また教育の重荷を、道徳や文化・教養の重荷を担いでいる。ラクダはそうした重荷を担いで砂漠へと向かい、そしてそこでライオンに変身する。ライオンは彫像を壊し、重荷を踏みにじり、あらゆる既成の価値の批判を断行する。そしてそのライオンの役目はついに子供になること、すなわち<戯れ>とあらたなる始まりとなること、新しい価値および新しい価値評価の原理の創造者となることである。」
痛い、あまりにも痛い。強烈な社会批判をともなった言葉だといえよう。ニーチェの哲学とその動物たちをこのように一文でまとめ上げる筆はうならざるを得ない。
大野一雄魂の糧
2001/01/22 22:32
魂を切り裂く幽霊
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大野一雄はすごい。まさに魂がそのものとして語られているような大野一雄の稽古場での言葉の数々を集めた本書は、単に舞踏の研究家にとどまらず、文学的な考察も惹きつけてやまないだろう。大野の日本語は、日本語の構造そのものを切り裂いて語られるかのように、大野の創造にあふれている。
分裂病論の現在
2001/01/22 22:24
秀逸な論集
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宮本忠雄の退官記念論文集。精力的な花村誠一が編集に加わっているだけあって、単に宮本忠雄の弟子だけでなく、各界における最近の知見も編まれている。数学者の津田一郎のカオス的な精神病理観は、仮説にとどまってはいるものの、とても可能性を感じさせるものである。現代思想に関わるものであれば、これを読まない手はない。
〈意識〉とは何だろうか 脳の来歴、知覚の錯誤
2001/03/04 18:15
来歴と記憶
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ちまたでの評価も高く、サントリー学芸賞も受賞したこの本は、<意識>を心理学的に考察しているわけであるが、いわゆる脳機能が局所的に配置されていると考える局所理論に対して批判をしつつ、意識を「来歴」として考察しようとする。
ギブソンからの影響がつよいとはいえ心理学の新たな一歩として考えてもいいような発展ともいえるが、しかし、著者はこの「独自」の思想がベルクソンの『物質と記憶』の純粋記憶の理論と告示している点に気がついているだろうか。著者が扱っているストラットンや身体図式などのほかのテーマもすでにベルクソンがあつかったテーマであったことも興味深いが、是非「下条心理学」とベルクソン哲学との関係について本人の自覚的なコメントがほしいところである。
眼と精神
2001/01/22 22:09
幼児の言語による世界化
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収録されている論文中、特に興味を引かれるのは「幼児の対人関係」と題されるもので、述語的世界にのみ住まっている六ヶ月未満の幼児が、身体図式を獲得することで言語的世界に参入する過程が心理学の所見を参照しながら、メルロ=ポンティ自身の現象学的な思考へと結晶化されている。
表徴の帝国
2001/03/04 19:11
日本の零度
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フランスの現代思想家であり、批評家であるロラン・バルトの「日本文化論」である。単なる旅行記にとどまらず、独自の哲学を「日本文化」のうちに読みとるチカラはさすがといわなくてはならないだろう。
しかし、京都の懐石や文楽ならまだわかるが、パチンコや文房具屋までバルトの手にかかれば、日本のエクリチュールの零度を表すシーニュとなるのだから面白い。外国人のための日本ガイドというよりも、日本人のための日本ガイドといったほうがいいのかもしれない。
ドゥルーズ
2001/03/04 18:56
アンチエディプス中心
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ドゥルーズの数ある著作の中でもとくに『アンチ・オイディプス』に絞って解説してある入門書で、広範なガイドというわけにはいかないものの、まとまっていてよい。本人が言うように、市倉などの『アンチ・オイディプス』の訳者が主催する訳読会に参加していただけあって、読みはきちんとしているといえるだろう。
しかし、やはり入門書であることにはかわりなく、もう少し味わいたい読者の趣を満足させてくれるには足りないのは仕方がないのかもしれない。しかし逆に入門するにはうってつけともいえようか。
ドゥルーズの哲学 生命・自然・未来のために
2001/03/04 18:50
カオス的なドゥルーズ
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何年かにわたる東大での講義をまとめた本であるが、この本では一貫して「微分」についてのドゥルーズの緒論をとりあげている。現代数学のカオス理論を、ドゥルーズの哲学読解に役立てていこうとするその姿勢は希有のもので、ドゥルーズ解釈においてもその貢献度は高いといえるだろう。端的に言って、勉強になるし、この本で勉強しなければならないことはたくさんある。
しかしながら、カオス的な数学理論を駆使してみずからの哲学へとその解釈を適用するその方法は、この本においてあまり関心できない点である。それは端的に凡庸な哲学であるし、さまざまな科学的所見を駆使していてもカモフラージュになるだけで、アタマは隠れても足は見えているというぐあいである。力強い言葉の運びはいつもながら圧倒されるものがあるが、その結論は賛同しかねる部分が多い。
環 歴史・環境・文明 Vol.4(2001Winter) 〈特集〉日本語論
2001/03/03 21:43
日本語の言語学
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いわゆる言語論的な転回などといわれてかなり久しくなったが、しかし、いままでフランス語圏をはじめとする構造主義的な言語学を受容して文化人類学的な研究を重ねてきたものの、「日本語」について我が国では果たしてきちんと考えてきただろうか。
そうした根本的な問題を考えさせるのに十分な論文が今回は集まったように思う。西田幾多郎の述語論理を、時枝誠記の日本語論になぞらえて転回した中村雄二郎を論じたのものには特に可能性を感じた。
西田幾多郎
2001/01/22 22:03
述語的世界とアスペクト
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西田哲学の述語論理と時枝誠記の日本文法論をつなぎ合わせて思考する手腕は、みごとというほかはない。これまでになされた西田研究をふまえつつ独自の解釈を示した良著である。精神医学者の木村敏との絡みもみごとで、今後、精神病理と言語の関係についての研究が、この本から生み出されるに違いない。
イデオロギーとは何か
2001/03/04 18:43
私がイデオロギーである
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マルクス・エンゲルスによって一躍有名となってしまった「イデオロギー」。もともとは「観念論」ぐらいの意味にすぎなかったのだが、マルクスにおける批判理論の中でどのようにイデオロギーという言葉が使われ、いかにマルクス自身がイデオロギーとなっていったかが批判的に語られる。
そのほか「現代」の思想にいたるまでひととおり、イデオロギーに関係した思想家はすべて、この本でイーグルトンによって批判されていくのであるが、しかし、その批判の仕方は断罪的で、ワンパターンである。適当にイロニーに導いて、冗談半分にバカにするその手法は、読むものをイーグルトンの側につかざるをえなくさせる。しかし、おい、イーグルトンよ。その手法自体はどうなんかね? それをイデオロギー、もっといえば煽動的というのではないのか?
結論、私がイデオロギーである。「イデオロギーとは何か」の答えとして、パフォーマティブに、そして皮肉たっぷりにみずから演じてみたのであるとすれば、結構いいやつだったりして?
貨幣とは何だろうか
2001/03/04 18:34
法と貨幣と
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あまり注目されていなかったゲオルグ・ジンメルの『貨幣の哲学』に焦点を当てながら、「貨幣とは何か」という根本的な問いに答えようとする。
「法と知性と貨幣の三つはすべて、個人的特徴に関する無関心によって特徴づけられる。」
貨幣は、法や言語と同様に、空虚な形式だからこそ、社会関係の秩序を構成する原動力となる。精神分析的な知見や構造主義によって明らかにされつつあるこうした三者の類似性をはやジンメルは予言していた、ということになるであろうか。
ジンメルを分析の柱に据えて展開するという構造自体は新しく面白い試みであるといえるが、しかし、新書という性格上しかたないのかもしれないが、この本で三者の類似性がしっかり理論的に基礎づけられたとはいえない。むしろすでに指摘されている類似性の上に連想ゲームをしてみました、というだけのようにも読めてしまう。どうせやるならもっと根本的にやってほしかった。
なぜ人を殺してはいけないのか?
2001/03/04 18:23
倫理とは?
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「なぜ人を殺してはいけないのか?」
このことばでbk1の書籍を検索したら、7件もヒットしましたよ。すでに商品化されてつつある言葉になってしまったけれども、この言葉が重要な問題を提起していることには変わりがない。
しかし、この本はまともにこの言葉に対面しようとしているだろうか? いつものように小泉は意欲たっぷりに対峙しようとして問いそのものから踏み外し、永井もまたいつものように対峙している振りをして逃げてしまう。『文芸』のインタビューとそれに対するコメントという形で一冊の本にしてしまおうという発想自体がすでにちょっと商業くさくていやだけれど、何か答えを期待して買った人に対して何も答えを与えないばかりでなく、真剣に対峙する姿勢を見せないというのはどういうことだろう。
もっと、「考えさせる」本をもとむ。
身体図式 自己身体意識の学説への寄与
2001/03/04 15:40
行動と図式
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人間の行動を、身体の空間的な定位をもとにして考えるという身体図式をもちいた心理学の学説は、哲学者のメルロ=ポンティにも影響をあたえていることは有名であるが、心理学的な文脈でどのようにその身体図式が扱われているかについて考えるに役に立つ一冊といえるだろう。
巻末には身体図式に関する文献一覧もついており便利である。
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