thetさんのレビュー一覧
投稿者:thet
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惜春
2001/01/25 17:56
確かな技量による対比の構造
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この作者の作品は初めて読んだが、達者で確かな技量だ。文筆と画業に携わる二人の青年が主人公であるが、作者自体視覚的効果に強い関心を持っていることは、例えば目次の構成一つ見ても明らかである。つまり作者は類まれな視覚コンシャスな人であると思われるが、それが繊細な情景描写や登場人物たちのファッションの描写などに見事に表出されている。
冒頭部分で詩と絵の対比として示されているテキストとイメージの違いと連繋が、この作品を貫く基調低音とすれば、主題は、宿命的な男女の関係の輪廻・繰り返しであろう。そして、その主題は作者の高度な技巧によって、小説の結構と見事に結びついている。詩と絵に限らず、作者は二項対比的な表現を多用しているが、二人の青年のなんとなくのどやかな会話を中心とする章と、激しいモノローグの章の鮮やかな対比が効果的である。
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