南風一さんのレビュー一覧
投稿者:南風一
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僕は馬鹿になった。 ビートたけし詩集
2000/12/13 12:38
胸をうつ詩がたくさんありました
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本屋で何気なく手に取ったのですが、中身を読んでびっくり。ビートたけし氏はご自分が監督主演した作品「HANA−BI」でベネチア国際映画祭の金獅子賞を受賞しているので、彼の芸術的センスは相当なものに違いなかったのですが、日頃テレビで目にするコメディタレントの印象が強くて、ついそのことを忘れていました。
この詩集を読むと、ビートたけし氏の本質は詩人であることがよく分かります。芸にしろ映画にしろ詩が直接的に役立つということはないでしょうけれど、人の心をとらえたり感動させたりする為には、やはりその本質的なところで詩人であることが有利に働くのではないかと思います。
いいなあと思った詩の幾つかを取り上げて、感想を書きます。
1.出会い
この詩は、男と女が初めてベッドを共にして、寝物語に二人が出会った時からベッドを共にするまでの女の心境を質問形式で暴露したものです。女の無垢というか偶然的なと思える行動が実は計算に基づくものであることが、「本当は?」という質問の繰り返しで、ユーモアタッチに表現されています。女性にとって恋愛は計算ずくのものであり、それに比べて男の恋愛は女性にリードされ誘導されて行くものであるにもかかわらず、男はそのことに気付いているのか気付いていないのか、恋愛に落ちて行く。それでいて男は結構恋愛に満足している。女にとって恋愛は単に計画を実現させる過程であり、男にとって恋愛は夢を見る過程であるという本質的な違いが、見事に表現されていて女の堅実さと、反面で男の能天気さを感じました。
2.サヨナラ
言葉では「サヨナラ」と言いつつ、実際にはそうそう簡単に「君」を忘れられない苦しさが逆説的に表現されています。「…、なんて言わない」を3回繰り返すにもかかわらず、結局「君」から貰った品々をしまったり出したりして「君」との「恋の思い出」を思い出している。失恋の痛みが迫ってくる詩です。
3.恋する事
別れ話をした後のやり場のない感情が見事に表現されています。それと共に、別れ話直後のむしゃくしゃした思いや怒りといえども、朝日が顔を出す頃には消え去っていて、そのことに驚いている気持ちがよく出ています。失恋の痛手は大きいと思っても、実際には時の経過と共に痛みの感情も和らいで行きます。その感情の和らぎは生きていくための生物の知恵とはいえ、あっけなくて恋の結末としてはちょっと淋しい気がします。でも恋なしには生きて行けないのが人間です。たけしさんはまた恋を求めて行くのでしょう。
4.女のひと
恋する男はうぶな少年。たけしさんは、恋する彼女を前をにして、昔に家に嫁いで来た兄嫁の姿に気後れして立ち尽くすだけだった少年に逆戻りしてしまったのですね。
5.初詣
デートの最中でも相手の心の中の全てが分かっているわけではない。恋人を気取っていながら相手のささいな希望一つ満足に叶えられない自分。最後の一行。胸にじーんと来ました。
6.職業、タレント
たけしさんは、仕事に出ていく前にこんな風なことを考えておられることがあるのですね。本当のたけしさんは、普通の純な男でした。
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