後藤健介さんのレビュー一覧
投稿者:後藤健介
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家族心理学 社会変動・発達・ジェンダーの視点
2003/10/09 12:20
実は,ほっとする本なんです
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
わたしが編集担当をした本に賛否両方の書評が寄せられたようで,どちらにも御礼をもうしあげます.
「実感」が正しい,ですか…….もうちょっとだけ想像力を働かせてみてください.たとえば,自分がいろんな理由で一人親の家庭の子であったり,親であったりしたとしたら.自分が,キャリアか子育てか,ぎりぎりのところで悩まなければいけない女性だったら.自分たちが子どものできづらい体質の夫婦だったら.等など.
これらの人びとは,実際に,しかも本当に多数,存在しています.そして「家族は本来こうあるべきなんだ」という,「正しい家族」のイメージ自体と自分の実像との間で苦しんでいる人が多いのです.
解決策は2つ.「正しい家族」に無理やり自分(たち)を合わせること.もうひとつは,自分の家族のありようを自分やそのパートナーとでとことん考えて,自分オリジナルの家族の絆をつくること.
この本は,別になにかの破壊をめざしているわけでは,ないんです.「破壊」という言葉がふさわしいほど,日本の伝統的家族像は,その社会経済的な後ろ盾を失って,もう現実には強固なものではなく,いたるところで綻んでいることをデータから冷静に読み取った上で,ならば,新しい家族を作る主体になろう,そのための社会のありようを考えようという,とても前向きな本なのです.
「正しい家族」のイメージが苦しい,という「実感」をもっている人は,多数います.この本は,そういう苦しみには,とてもほっとする本なんです.
ぜひご一読を!
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