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ひろしさんのレビュー一覧

投稿者:ひろし

473 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

就職活動の大学生や1年目の社会人はまず必読。しっかりと伝えるのは、案外難しい

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

就職活動や初めてのプレゼンテーション。何を伝えようかとは熟慮するものの、どうやって相手にしっかり伝えようか、とは中々考えが及ばない。また日本ではそういう授業もほぼ行われないので、どうやったらいいのかも分からない。そこで「伝え方の技術書」になっているこの本を、ぜひ読んでみてもらいたい。
まず日本語は文法的に「簡潔に伝えにくい言語」だという事をご承知だろうか。例えば「お腹が空いたなら、ダイニングテーブルの上のお皿にあるおまんじゅうを食べていいよ」という一文だと、一番大事な「おまんじゅうを食べて良い事」は最後まで聞かないとは分からない。これが英語なら「Have the Omanju on the plate on the dining table if you feel hungry.」と、最初に大事な事が来る。だから英語圏の人々と会話をすると、「日本人は何が言いたいのか良くわからない」という結果を招く事になる。
この問題は日常のビジネスシーンでも痛感する事がある。(出来ない)部下から報告や質問を受けた時、要領を得ず一体何が言いたいのかさっぱり分からない事がある。言い訳めいた前置きが長くて、結局君は一体何が言いたいの?となるのだ。
本著は著者のアメリカ留学中、文法的にも内容的にも自信たっぷりだった英語論文に、落第点を付けられてしまったという失敗談から始まる。伝え方に問題があった事に気が付いた著者は徹底的に練り直し、同じ内容で見事Aを獲得する。伝え方を考慮するとこんなに評価が変わるのか、という興味深い実例だ。そしてここから、具体的でこまやかな伝え方の解説が始まっていく。色々な理論や分析、図式などを使ったその内容は深く濃く、実際ここまで考えて相手に伝えようとしている人がいるのか、いやそれが常識化している世界があるのかと正直驚かされた。
またこの本の白眉な所に読んでいて疲れない、飽きないという事がある。こういった技術書は、途中からアクビとの戦いになりがち。ところが本作品は途中に面白いコラムが入ったり、それ自体がとても興味深い実例を紹介してくれたりがあるからか、不思議なほど引き込まされる。むしろ一気読みに注意、ぜひ楽しみながらもじっくりと読んで頂きたい。
さらに最後の6章はDC6(Digital Chapter6)と称して、WEBへとリンクされている事がまた非常に興味深かった。練習問題が簡単に試せたり、参考文献リストを参照したり出来るよう工夫されている。本の中に閉じこもっていた自分に、ぱぁあ!っと外への扉が開いて光りが差し込んでくるような感覚でした。
著者の豊富な知識と経験、そして高い知性と豊かな感性から生れ出た名著。ぜひ誰にでも、手に取ってみて欲しい。相手にしっかり自分を伝えたくない人なんて、いるわけないのだから。

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紙の本

相変わらず素晴らしい!英語に興味ある人、誰にでもぜひ読んでもらいたい本。

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エドと猫の物語が最終巻「Snow of the Century」で幕を閉じ、大ファンだった私は大きな感動と、それよりもっと大きな喪失感を受けたのが、もう10年以上も前。もうエドと猫とは会えないものと思いつつも片時も忘れた事の無かったこの10年。なんと!大百科事典として帰ってきた!エドと猫の新しい物語ももちろん入って!もう驚きと喜びとでいい歳して舞い上がってしまいました。でもすぐに読んでしまってはもったいないのでずっと取っといたんだけど、とうとう読んでしまった。その昔小学生だった息子と楽しんだこのシリーズ。あのエドと猫に再会できて、もう読みながらずっとうるうる。この本(シリーズ)、英語に興味ある人は、老若男女・レベルを問わず誰にでも全力でオススメ。
相変わらず、素晴らしい。もうどんだけ英語を好きになってもらいたいのか、読者に親切で優しいのかと。スタッフが考えに考えて読者に優しく易しく分かりやすく楽しく!色んな布石に仕掛けも作り込んで、全力で楽しんでもらおうという気概をひしひしと感じます。さらに「本」ていう媒体の素晴らしさを、改めて感じる事も出来ると思う。
オマケ?のパイ職人エドと猫の物語がまたものっすごく面白い(私はむしろそれ目的w)。
もうエドと猫の次の物語は、出来ないかもしれない。でもページを開けばそこにエドと猫はいる。いつまでも何度でも、読みかえそうと思います。ぜひ皆さんも、楽しんで下さい。

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紙の本

紙の本武士道エイティーン

2018/01/15 10:23

サムライ女子達の物語

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この衝撃のシリーズに出会ったのは数年前、第一弾の「武士道シックスティーン」という作品。いやもうその面白さに引き込まれて、時間も忘れて読んだもの。続く第二弾の「武士道セブンティーン」にも心震わされ、あまりの面白さに第三弾のこの「武士道エイティーン」は、出てすぐハードカバーで買ったにも関わらず、もったいなくて読まないで取っておいた。それがこの度第四弾が出たとの事で、安心してページを開きました。いやもう果たして、何とも面白い。またこれほど物語が進むに連れ加速的にどんどん面白くなるシリーズというのも、他にちょっと思いつかないくらい面白い。
まあもうあまりに有名な作品であるから基本的な説明はいらないかもだけれど、「剣道」に青春をかけた女の子たちの物語。剣道好きはもちろん、青春時代にスポーツに汗をかいた人ならだれでも、胸震わせて読めるはず。ぜひのお薦め。現代に生きるサムライ主人公の磯山香織と、それほど剣道に入れ込んでいたわけではないけれど市民大会で磯山香織に勝ってしまい、ライバルとなった西荻早苗。その二人が出会い共に剣の道を進み始めた「武士道シックスティーン」。そして袂を分け離れはしたけど、大きな剣道という道の真ん中を歩いているんだとした「武士道セブンティーン」。そしてそしてとうとう二人は、全国大会の場で再会を果たす本作「武士道エイティーン」。
この作品はぜひ第一弾のシックスティーンから読んでもらいたい。少女達の成長と戦いの日々に、胸熱くなる事間違いなしです。ちなみに端くれ剣士の私、竹刀袋は磯山香織モデルの般若の面を模した物を使っています。それくらいこの作品好きです(笑。

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紙の本

紙の本楽譜の風景

2018/01/15 09:43

腹抱えて笑える、クラシック音楽の本

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一度絶版となったこの本、復刻になったんですね。いやこの面白さならなるほど当然。例えばクラシックの世界に触れ初めた中高生(吹奏楽部に入ったとか?)から、私のようなクラシック好きのおっさんまで。いやモーツアルトやベートーベンの名前を知っている人なら誰でも、ものすごく楽しめる一冊と思います。
著者の岩城宏之さんは既に亡くなられていらっしゃるけれど、ベルリンフィルやウィーンフィルを何度も指揮された事のある、日本屈指の世界的な指揮者です。ところがどうやらとてもユニークな方らしく、ともすると堅苦しくなりがちなクラシックの世界を、何ともユーモラスかつ大変興味深く紹介してくれています。結構難しい話しであるのに、アプローチによってはこれほど楽しく分かりやすいのだという事が良く分かる。何せ文章と構成がめちゃくちゃうまい。なんというか、こちらの心を掴むのがうまい文章というのか、最初の数行読んだだけで心を持って行かれる感じ。そして何より全て事実であるから、ベートーベンやシューベルトの楽譜に関する話しなど、チンケなミステリよりもはるかに興味深い物になっています。驚きと笑いに溢れ、痛快でさえあるこの本。この世界に興味のある方は誰でもぜひ読んで欲しい。

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紙の本

紙の本慈雨の音

2017/12/12 10:06

私の人生と共にあったこのシリーズ

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このシリーズを追いかけて、もう何年になるだろう。いや何十年になるんだろうか。松阪熊吾の一生を追いかけて、私も随分歳を取りました。それくらい長く続く人気シリーズ「流転の海」の第6部。すでに8部まで出ているとの事で、どうやら9部を持って完結となるらしい。豪胆だけれど理不尽で癇癪持ち。そんな松坂熊吾が戦後の焼け跡闇市から実業家へと再起を図る中、五十歳にして子供を授かる。親と子の人生を描いた物語。何せ、「人間臭い」。べったりとドロっと、人生が描かれて行く。でも人生なんてそんな物なはず。登場人物の呼吸や匂いが文章の間から立ち上ってくる感すらする。想像や聞きかじった事で描いても、絶対にこういう物語は描けない。作者自身の人生経験、それがそのまま息をしているシリーズだからこそこれほど人間臭い物語が描けるんだと思う。
今後は一旦静観し、シリーズ完結したら全冊買い直して一気読みをしようと思う。いつになるか分からないけれどその時は、このシリーズを振り返るだけではなく、私の人生をも、振り返る事になるような気がする。

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紙の本

紙の本丕緒の鳥 十二国記

2017/12/12 09:59

唯一無二

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やはりこの読後感は、他にはない唯一無二の作品と感じます。緻密に練り上げられた圧倒的な世界観は、読み始めるとすぐにあちらの世界に引き込まれる。色々ファンタジーは読みましたが、ここまでの確固たる世界観を持ったシリーズ作品は他にないのではないかとすら感じる。
本作品は十二国記の物語、というより物語を深めるスピンアウト的な作品になっています。十二国記は各国の王様(と麒麟)が大体物語の真ん中にすえられますが、
この作品では王様ではなく、この世界の文化や風習にスポットあてて、さらにこの世界観を浮き彫りにしている感じ。例えば王が即位する際に行われる行事「大射」に関して、細かに設定が施され描写されている。大射とは、即位の礼で鳥に見立てた陶製の的を射る儀式。陶製とはいえその美しい飛ぶ姿、そして射った後壊れ散り落ちるその美しさにまで拘りに拘って作られる。その長い歴史と職人の世界、そして現代を憂い次世代の王への希望を鳥に込める職人の姿を事こまかに描いてある。
また全ての生き物には絶対の摂理があって、それは王の存在と切っても切れない物があったり。非常に独特であるにも関わらず、緻密に描き出す事でリアリティすら感じさせる、文化・風習・法律等をテーマにした四つの短編からなるこの作品。十二国記の世界を、さらに確固たるものにしていた。十二国記の本編の続き、いつか出ない物かと心待ちにさせられる一作でもありました。

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紙の本

紙の本どこかでベートーヴェン

2017/08/08 10:46

このシリーズはどれもホントに面白い!

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岬洋介シリーズ第5弾となるこの作品。とはいえ時系列的にはシリーズの一番前、岬がまだ高校生の頃の物語となっている。既にピアノにおいて天才の片りんを見せつけていた岬洋介。検事の父の都合で転校した高校の音楽科で、殺人事件は起きる。警察に嫌疑をかけられた岬は、自ら事件の解決に挑むのだが・・・と。まあ超簡単にまとめればこうなりますが。まずやはり、このシリーズは岬のピアノ演奏の描写が興味深い。クラシック音楽を聴く事を趣味にしている私のような者は、実際のベートーベンの音源を聴きながら読むとその面白さもひとしお。ぜひ実際の音源を聴きながら物語を楽しまれる事をオススメします。またこの物語には最後の最後に明かされる、ある秘密があります。そういえば第1作の「さよならドビュッシー」でも、最後の一文にびっくりさせられたもの。同じような衝撃がこの物語にも用意されていて、最後の最後までしっかりと楽しめました。
またオマケのような感じで収録されている、検事の父親の物語も面白い。岬と二人で暮らす父親は、洋介には早々に音楽の道をあきらめさせて法曹界に入って欲しいと願っている。しかし当の岬はそんな父親の気持ちなど我関せずで音楽の道を目指しているのだが、実はそちらの方でも異才を発揮しており、父親すら舌を巻く推理を展開したりもする。今回も父親が扱っている事案を、洋介なりに推理をするのだが・・・さて今回の事件の裏で、何が動いていたのか。というようなスピンオフ的物語も楽しめて、さすがこのシリーズは外しませんね。

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紙の本

紙の本破門

2017/08/08 10:43

シリーズ最高!?

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疫病神シリーズ第5弾のこの作品。相変わらずの面白さでした。第1作から強くひきつけられてずっと読んで来ましたが、さすが直木賞受賞しただけあってかシリーズ中でも白眉の一冊かも。私的には他に主人公の二人が北朝鮮で大暴れする「国境」がとても好きですが、それに負けず劣らず本作品も面白いです。イケイケヤクザの桑原と自称建設コンサルタントの二宮の、相変わらず仲が良いのか悪いのか分からない(悪いのかw)コンビのやりとりは最高。何せテンポが良くてキレが良い。どんどん物語に引き込まれていきます。とはいえ物語はしっかりと作り込まれていて読みごたえも十分。しかも今回は、「さすがの桑原も・・・」と思わされる展開。なりゆきとはいえ、「上の組」に弓を引いてしまいます。さらに瀕死の大けがまで負ってしまい・・・そしてこのタイトル、という訳ですが。さて桑原の運命やいかに。次作が楽しみです。

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紙の本

紙の本黒書院の六兵衛 下

2017/07/05 09:27

的矢六兵衛、一体誰なのか 何の為なのか

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幕末の御一新、大政奉還江戸城無血開城のその時に。
西の丸御殿に居座り続けた侍がいた。
的矢六兵衛と名乗るその侍、しかし実際の的矢六兵衛とは似ても似つかぬ風体。
それが誰なのか何の為なのか、誰にも分からない。
しかしただ居座り続けるその姿に、人々は元来侍が持っていた矜持のような物を感じ始め、
ある種の畏敬の念をも感じるようになるが・・・。

後は何を書いてもネタバレになるので書かないようにしますが、
賛否両論のオチ、という感じでしょうか。
なるほど、という読後感を得るためには、途中しっかり読みこんでおいた方がいいでしょう。
ちょっと読みにくい部分があったりするかもですが、それがこの作品のオチそのものかも。
それと「あとがき」に同感出来るかどうか、という感じですかね。

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紙の本

紙の本黒書院の六兵衛 上

2017/06/22 10:20

大政奉還、江戸城無血開城。その時に、起きていた事。

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浅田次郎氏は本当に、こういう「歴史的事実の隙間」のような所から物語を奏でられるのが上手い。今回もようこんな物語を紡げたものだと心から感心し、楽しませて頂いた。
日本人なら誰でも、「たいせいほうかん」という言葉を、一度は聞いた事があるだろう。漢字で書けば「大政奉還」、250年以上も続いた江戸幕府が政治権限を朝廷に返した事。簡単に書いてもものすごい事態だという事が分かるが、つまり現代で言えば、今の国民主権で政党政治のような国のあり方が一切なくなって、全く違う国の運営の仕方が始まるというわけだ。近代日本史においてもっとも大きな出来事の一つといえる。また大政奉還の大きな特徴は、話し合いを持って成し遂げられた事。朝廷と幕府が戦を行って朝廷側が勝ったと言う訳ではなく、これからの時代には幕府制度は合わないのだという話しあいの元実現されたという、これは非常に意味合いが大きい。万一江戸の町が戦火で大荒れになり、戦後に荒廃しきったとしたら。列強諸国が乗り込んできて、侵略されていたという見方が強い。結果、今の日本は無かったと言われている。それを当時の偉人達は江戸城無血開城という形で成し遂げたわけだが。当然旧幕臣には腹に据えかねる者も多くいたわけで。「彰義隊」「上野のお山」「錦ギレ」なんて通り一遍の言葉は授業では習ったけれど、結局主役は人間。実際はもっと複雑で生々しい自体が起きていたのだ。
江戸城から旧幕臣が去り天皇が入城する、その時。一人の侍が江戸城に居座り続けた。上様の馬前を守る誉れ高き御書院番士の一人、的矢六兵衛がその人。何を目的としているのか黙として語らず、誰の説得にも応じずただそこに座り続ける。しかもこの六兵衛、どうやら人が入れ替わっている。皆が知っている的矢六兵衛とは似ても似つかぬ相貌。しかしそれも何も語らないのでどういう事なのかは誰も分からない。本来なら刃傷沙汰に及んだとしても叩きだすべきであるが、官軍の総大将たる西郷隆盛より、天皇がお住まいになる場所で一切の流血騒ぎはならないの命があった。だから周囲はなんとか城を出るように六兵衛をあの手この手で諭すのだけれど、当の六兵衛は居座りどころを変えつつも、一切城を出て行こうとはしない。さて一体何の為に六兵衛は座り続けるのか。いや大体、この六兵衛は、誰なのか。上巻は何せこのミステリアスな状況に終始する。このシンプルな謎を深める事に終始した事が、非常に好感だった。下巻はまたシンプルにその謎解きとなるのだろう、とても楽しみだ。
そういえば以前読んだ「壬生義士伝」では、主役だった新撰組吉村貫一郎の息子が、戦で何度も先陣を切って相手に斬りかかって行ったりと、突如自らの命を無駄にするような、傍若無人の振る舞いに出るくだりがあった。最後の最後にその理由が空かされて涙腺が大崩壊した記憶がある。あれに似た感触の本作品のこの上巻。下巻の種明かしが、本当に楽しみだ。

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紙の本

これまでに比べると読んだ感じがもっさりかなと

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最近本格推理を読んでいないなあと、面白そうなものを探していて出会ったのが「眼球堂の殺人」でした。タイトルも分かりやすくそれっぽく、内容もきっちりと本格推理になっていて満足の一作。続いて手にしたのが前作からシリーズ化した「双孔堂の殺人」。やはり分かりやすい本格推理であるだけではなく、「ポアンカレ予想」等の位相幾何学をテーマに持って来ていて、読みごたえも十分の作品でした。それに続いての、シリーズ三作目となる本作品。今回のテーマは「五角形」、そして「フラクタル」となるんですが。うーん、今回はちょっともっさりしすぎた感じでしたかね。キレも悪かったような。いろんな事実がどうも言いわけ臭く感じてしまった。これは作者の想定内なのかもだけれど、トリックもまあ本格好きなら大体読める。建物の図面とか時系列の問題とか、ああこれは・・・・という感じ。要は過去どっかで読んだような物ばかりだったかな。そこにお得意の数学的な「メンガーのスポンジ」のほか、「コッホ曲線」、「ハウスドルフ次元」、「マンデルブロ集合」などの難解な言葉と理屈を並べて物語に深みを出そうとしている感じ。ただ今回はそれもどうも物語とうまく合致しきれてなかったように感じられました。
黒幕のあの人を絡めて、多分大きな物語が進んでいるのだろうなと感じられますのでとりあえずシリーズ5作?までは読んでみようかなと思いますが、「うわあああなるほどしてやられたあああ!」って感じまでは、期待出来ないかなと。

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紙の本

紙の本引っ越し大名三千里

2017/05/10 11:00

物語を楽しみながら、そんな時代もあったのだと感心させられる

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「超高速!参勤交代」とその続編を非常に楽しく読ませて頂いたので、引き続き本作品も期待度大で読ませて頂き、結果期待を裏切らない面白さでした。「超高速~」は非常にエンタメ度が高く度肝を抜かれるような作品でありながら、実在の人物等を多数起用している所が白眉でした。本作品もどこまでが事実か分からないけれど、非常に興味深く楽しませて頂いた。「大名の引っ越し」、つまり幕府からの命で管轄する土地を変えられ、「国替え」をする事。もちろん石高も減らされたりまた増えたりすることも。しかし莫大な費用がかかる事は間違いない。幕府のとある重鎮に目を付けられた事で、生涯七度もの国替えを命じられた、松平矩直。それまで国替えを差配してきた「引っ越し奉行」が激務から亡くなってしまい、後を託されたのは何と書庫にヒキコモリの片桐春之助だった。さあ度重なる国替えは成功するのか。そして最後に春之助が繰り出した、藩を救う奇策とは。
その昔、こんな事が行われていたんだなあと感心しながらも非常に楽しく読める一作。文体も読みやすくさらっと読める所も好感。誰にでもオススメの一冊です。

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紙の本

紙の本その峰の彼方

2017/05/07 07:42

集大成・新境地というべきか

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笹本作品のいわゆる冒険モノは大好きで、これまですべて読んできました。どれ一つ外れがなく、というか全て当たりで大感動必至の作品ばかりです。それらには良い意味で共通点のようなものがあって、いくつかのパート(場面)に分かれて進む物語、つまり仕込み部分があります。それらがつながって物語は一気に加速し、冒険パートに入ると始終ハラハラドキドキ!次から次へと襲い掛かってくる絶望に、勇気と気合で乗り越えていく。しかしそれでも襲い来るさらなる絶望に、もう今度こそダメか・・・と思わせて、天啓のように沸き起こる奇跡に鳥肌が立つという流れ。そして感動の大団円に滂沱の涙にくれるという爽快感。この奇跡のような予定調和を求めて作品を読み続けてきたのですが。
本作品は、これまでのものとは少し感触が違いました。これまでのように仕込み部分もあり冒険パートもあって、ハラハラ感もあるのだけれど。そこにどうも思想的な物を色濃く混ぜ込んできた感じ。山に登る意味、とか人生の意味、本当の幸せ等を厳しい命がけの登山を通して考える、というような。その結果作品全体のスピード感を殺す結果になっていると感じました。良く言えば冒険モノ、感動モノだけではない重厚な作品になっていて集大成とか、新境地というようにも捉えられます。ただこれまでの作品のような感触を求めて読むと、そこがちょっとまどろっこしく感じてしまいました。終わり方もスッキリ晴れやか大感動!というような感じではなく、うーん、次回作はどうなるのかなあという感じです。

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紙の本

紙の本魂の駆動体

2017/03/16 09:47

不思議な作品

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なんと評していいか困ったのだけれど、「不思議な作品」というのが一番適切な気がします。テーマは、「車」であることは間違いない。これはまあいくらでも良くあるテーマであるけれど、ここだけが唯一普通な所かもしれない。後は物語も構成もとても不思議だなと感じました。まず作品の構成だけれど、時間軸を二つに分けて物語を進行させるというのもこれ良くあるパターン。大体「過去と現在」「現在と未来」なんてのが良くあるパターンで、「過去と未来」というのもあまり見た事が無い気がするけれど。本作品は「ちょっと未来とはるか未来」という二部構成になっている。この時点で不思議。そして物語の展開も何か不思議。第一部の近未来編、結構なボリュームをもってリンゴの話しが続く。近未来ではリンゴが貴重になっていて、二人の老人がそれをリンゴ園に盗みに行くと言う展開。そのリンゴ園に遠の昔に使用されなくなった(近未来では自動車はまさに自分で動く車で、運転という概念がない)、ボロボロになった車が捨てられているのを見かける。それに刺激を受けた老人二人はエンジンから車を作り始める。そこからの蘊蓄具合は、車好きには面白いかもだけれどもという感じ。そして作品ボリューム的にちょうど半分くらいの所、老人たちの車づくりが具体的に始まったあたりで、突然話しが全然違う「はるか未来」に飛ぶ。登場人物の名前も「カケリアス」とか「キリア」だったり、もう全然世界が違う。というか人々の背中には羽すら生えていて「翼人」と呼ばれていたりする。その一人があえて翼を無くして地上の世界に生きる事を決意する事から物語は始まる。そして地上に降りたある日、はるか昔の人間が遺した遺跡の中から車の設計図を発見。興味を持った主人公はそれを組み立てみようと決意するのだが…という流れ。これもオチがあるような無いようなな感じ。登場人物の名前がキリアやアンドロギアとかだったり、人に翼が生えていたり、なんだかギリシャ神話を彷彿とさせる内容。第一部も第二部も、全体的に哲学的な匂いも感じる。どっしり感はあるけれど、誰にでもオススメ、って感じではありませんでした。

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紙の本

さらっと読めて面白いけど、良く考えて作り込んであります

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時は江戸時代、天下の米将軍徳川吉宗が納めていた時代。実在した尾張藩(今の名古屋)藩主、徳川宗春がこの物語の主人公。当時の幕府は享保の改革を推進する将軍徳川吉宗のもと、老中松平乗邑の主導で質素倹約規制強化が徹底しており、祭りや芝居などは縮小・廃止されていた。それと全く逆を行く宗春は、規制緩和をして民の楽しみを第一に政策を進めていった。名古屋城下郊外に芝居小屋や遊郭等の遊興施設を許可するなど規制緩和政策は商人たちに受け入れられ、名古屋の町は賑わっていったという。この一風変わったお殿様をうまくテーマにしたのが本作品。宗春がこうした時代に反した奇策ともいうべき政策をとれたのは、実は宗春が300年後の2017年にタイムスリップし、そこで色々学んで帰ったからなのだ、という設定。なるほど、これは面白い。同じように過去から現代にタイムスリップして、現代の技や文化を持ち帰って成功するという物語の映画「テルマエ・ロマエ」が大好きなのだけれど。本作の白眉たる所は、実在の人物を主人公とし、またその人物が実際行った政策がテーマになっている所。だけに読んでいてリアリティも感じるし、なーるほどウマいなあと感心出来た。短編オムニバス形式になっているのもまたうれしい。さらっと読めて、滑稽なのになぜかぐっと来る。最後は意外にも甘酸っぱい青春物っぽく締めたのも、好印象でした。

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