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山原水鶏さんのレビュー一覧

投稿者:山原水鶏

9 件中 1 件~ 9 件を表示

「旗」を知りたければ、まずこの本から

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 以前同じ編者による『世界の国旗 全図鑑』を読み、発刊当時新国旗を制定し、長野五輪開会式が初お披露目となったボスニア・ヘルツェゴビナが掲載されているのを始め、日本の都道府県やアメリカの州だけではなく、マレーシアやブラジルの州旗も紹介されていることに感嘆したものだった。それから4年、その掲載規模において、本書は前書をはるかに超えている。
 独立した東ティモールや民族旗がさらに掲載されているのはもちろん、ドイツやスペインなど、国内の州・自治領旗の数も飛躍的に増加している。一生のうちに実際に目にするか分からない旗が、居ながらにして知ることができる。「国」の旗にとどまらず、「旗」の大百科として、本書は役立つことだろう。
 注文点がないわけではない。日本の都道府県旗の中で、鹿児島県の県旗は1996年に全面変更されている(鹿児島県のホームページ、又は国体などで知ることができる)が、本書では変更前の(鹿児島県を図案化した)旗が掲載されている。見落としか、意図的なものか?
 

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盤上の宇宙

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 絶叫する、放歌吟唱する、盤上の血を舐める、顔に靴墨を塗りたくり、その靴墨を盤上に落とす、失禁する、射精する、吐血する、失神する、絶命する、発狂する…
以上は本作品の中で、登場人物たちが対局中に行う行為の数々である。実際の対局(特異プロにおける)では起こりえない行為がほとんどである。しかし、この漫画を読んでいる間、私には彼・彼女らのこれらの行為が、大げさだともおかしいとも感じなかった。それだけ主人公・氷室だけではないこれらの登場人物が「将棋」に生きていることの証であり、その生き様を描ききった作者の勝利だと言える。
 私が本書で最もひきつけられた「画」は、将棋盤の下から棋士たちを見上げる場面である。本書で頻出するこの画が、将棋と言う「宇宙空間」を感じさせてくれた。

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ユダヤ人名録の決定版

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 アインシュタイン、フロイト、マルクス、アンネ・フランク、カフカ、マーラー、スピルバーグ…「有名なユダヤ人」と聞かれて、私たちが連想するほとんどの人物が、本書で紹介されている。それだけではなく、「この人もユダヤ人だったのか!」と気付く人物が、2,3人はいるはずだ(私にとってはボブ・ディランやプルーストがあてはまる)。3000年以上前のモーセから、今なお活躍しているスピルバーグにいたるまで、世界の歴史に何らかの影響を与えたユダヤ人たちについて、本書は最良のガイドとなってくれる。ある意味「人物世界史・ユダヤ人編」の役割も果たしてくれよう。各人物についての評価も、単なる賞賛に終わってないところが良い(キッシンジャーやイエス、パウロなど)。ただ、重要なユダヤ人であるにもかかわらず本書に掲載されていない人物(例えばハンナ・アーレント)がいたり、人物吟味の基準が「タルムード的な提示・分析の伝統に従って」行われている点について、非ユダヤ人としてもう少し突っ込んだ説明が欲しかった(訳者が「あとがき」に説明してくれればありがたいが、意外なことに訳者のコメントが本書には全くない)。

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同時期の学生として

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この本の元となった授業が行われた年に私は琉球大学に入学した。私自身はこの授業に参加していなかったが、高校時代の同期生やサークルの先輩・同期生が参加しており、授業の話やレポートの苦労、単行本化された本書を見たことがある。その後購入して読んでみると、同世代の視点から見た「沖縄」の姿に、共感する点を多く見出した。
 この授業の参加者は、基本的に復帰後2,3年後に生まれた。県外出身者を含む彼らの、1990年代前半から半ばにかけての沖縄について、個々の感じるテーマを授業で発表し、又はレポートの形で提出されたものである。
 テーマは多岐にわたるが、政治や「基地」に関する文章は少ない(米兵による少女「暴行」事件前から直後に授業が行われたせいだろう)。「文化」に関するテーマが多い。彼らは地域のエイサーに参加したり、家の前の「空港通り」を通過する外国人と日本人の数を数えたり、不良に絡まれていたところを、平和通りの店のおばさんたちの連携で助けられたり、さまざまな経験をする。県外から来た人は、結婚披露宴や24時間営業している店について、ふるさとと沖縄との比較を行う。「比較」文化は彼らによって成り立っている。
親戚のおばあちゃんが、訪れる孫世代に「かめーかめー(食べなさい、食べなさい)」と言いつつご馳走を食べさせる「かめーかめー攻撃」は、私も「被害者」なので一段と面白かったが、京都において、「ぶぶ漬けでもどうどすか」が「そろそろお引取りを…」の意味であることを知った時、「食べ物」を介したコミュニケーションの際立った違いを感じたものである。学生の視点から見た「ウチナーグチ」の考察も面白い。
 本書刊行から7年、本書の発表当時とは変わった事項がある(缶ジュースは110円に値上げされた(「100円ジュースの謎、184p」や)し、豊見城村は一段飛ばしで市に昇格した(108ページ))が、本書で書かれた沖縄の姿は、大きくは変わっていない。特に日常的な事項について、若い世代による「沖縄ガイド」としても本書は用いることができる。

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むしろ英語が遠く感じる

3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 同じ日本人として、英語を極めた人々のエピソード集としては面白いし、「聞く」「話す」方向に向かうがあまり、「読む」「書く」を切り捨てようとする昨今の英語教育の傾向に対する筆者の考えにも共感する。
 しかし、本書を最後まで読んで、「これなら自分にも!」という思いよりも、「彼らは特別なんだ」という思いのほうが強かった。それは、本書に出てくる人々が、どのようにして英語を極めていったのか、その具体的な歩みがほとんど記されていず、「彼らが英語を学ぶ前からすごかったから、英語を極められたのだ」という思いを払拭することができないのだ。むしろ同じ著者の『日本人と英語』の方が、具体的な示唆に満ちている。
 本文中特に気になったのは、「ネイティブから英語をほめられたら、落ち込め」という部分である。そのような人間の生理に反することができたら、その人は聖人だと思う。「ほめられたら『自分の英語はまだまだ』と思え」といわれたほうが納得できる。

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これがステージマネージャーだ

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ステージマネージャーは、クラシック・ファンでも演奏を聞いているだけではその存在を実感することは少ない。一度演奏する側に回ると、その存在が大変ありがたいものと感じる。本書は日本を代表する名ステージマネージャーが、これまた日本を代表するコンサートホールであるサントリーホールのことを中心に、ステージマネージャーという職務について語った本である。
 まず著者が「マーちゃん」と呼ばれている謎の解明はありがたい。岩城宏之著『フィルハーモニーの風景』を読んで以来、抱き続けていた謎が、ご本人によって解かれたことになる。
 何よりもサントリーホールの裏側についての記述は必見である。ホールそのものの成り立ちは、本書でもあるように『ドキュメント サントリーホール』に詳しいが、楽器の搬入口や楽屋など、これまで取り上げられなかったステージ裏の設備について、その設立にかかわった当事者の証言と写真とで紹介されているので、新鮮な驚きを味わうことができる。
 また、終戦直後からのステージマネージャー人生の紹介は、戦後音楽史の貴重な証言といえよう。巻末にある、サントリーホール3代のステージマネージャー座談会も、演奏の裏側をさらに知ることができ、何よりも話自体面白い。
 気になったことが2点ある。一つは「(サントリーホールの)ステージ背後の席は、ヨーロッパにはあったが日本では初めて」(66頁)。サントリーの4年前に、大阪のザ・シンフォニーホールが同様の席を設けている。もう一つは「東京交響楽団(2001年4月に新星日本交響楽団と合併)」(139頁)とあること。「東京フィルハーモニー交響楽団」が正しい。東京にプロ・オケがたくさんありすぎるゆえの勘違いであろうが、編集の段階で直せる問題であろう。

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紙の本レナード・バーンスタイン

2002/01/19 09:24

バーンスタインの生涯について踏み込んだ本

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本書は『バーンスタインの生涯』(ハンフリー・バートン著、ベネッセ刊)を読んだことのない方はぜひ読むべき本である。本書の前書きにあるとおり「浩瀚な」『バーンスタインの生涯』のダイジェスト版といえる。『バーンスタインの生涯』が、バーンスタインと親しかったバートンによる物語の側面が強い伝記とするなら、『レナード・バーンスタイン』は、より客観的な評伝である。
 『バーンスタインの生涯』を(私のように)すでに読んだことのある方にとって本書は、新しい事実の発見という点では期待できないが、違った視点によるバーンスタイン像の確認には最適である。私にとっては、人物名や作品名のローマ字表記を知ることができたのが大きな収穫であった。ただ、"Damn Yankees"が『呪われたヤンキー』と訳されているのには唖然とした。特にミュージカルファンでなくても『くたばれヤンキース』という定訳は知っておくべきであろう。
 

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紙の本大作曲家の信仰と音楽

2002/01/19 01:48

避けては通れない問題への入り口

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 この本は、クラシックの大作曲家の、これまで語られることの少なかった、キリスト教の信仰について正面から取り組んでいる。特に非キリスト教国日本において、作曲家が自らと「神(ここではキリスト教の神)」との関係をどのように捉えていたのかについて、きちんと取り上げる機会が少なかった。そのような中、個々の作曲家について、信仰の問題を中心としてその人物像と音楽について再構築したこの本の意義は大きい。
 教会を仕事の場としたバッハやブルックナーはいうまでもなく、ワーグナーやストラヴィンスキーなど、その音楽を聴くとキリスト教信仰とは無縁と、普通考えられてきた作曲家たちが、いかに彼らなりに信仰し、音楽の中に反映されているかを考える上で非常に参考になる。キリスト教圏で展開されていったクラシック音楽において、作曲家と信仰の問題を無視してはいけないということを、この本を読んで再認識することができた。
 ただ読み進めるうちに、作曲家それぞれの信仰の展開について物語風に記しているためか、それぞれの作曲家と信仰のかかわりと音楽への反映について、この本だけでは十分ではないと感じるようになった。逆に言えば、「作曲家と信仰」について考える入り口としては最高の本である。

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実践的マーラー探求

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 「こだわり派のための〜」シリーズ最新刊は、より実践的なマーラー探求の書として現れた。
 本書で鍵となるのは、「作曲家」兼「指揮者」マーラーが、一旦生み出した自らの作品を、どのような過程で筆を入れ続けていったかという点である。作曲家として楽譜に書いた曲を、プロの指揮者として実際に演奏し、新たに付け加えたり削除したりする。その過程を一生かけて続けていったマーラーの試行錯誤のあとを、私たち読者は、当シリーズの特徴である、膨大な譜例によって、ビジュアルな形で知ることができる。その過程は自らの作品だけでなく、シューマンのような他人の作品にも及んでいる。
 さらには「作曲家マーラーvs構成の編曲者・指揮者」との副題にあるとおり、未完に終わった交響曲第10番について、よく知られたクック版の他、他の編曲者による版の紹介や、指揮者による変更によって、10番の可能性が現在形で追及されていることも紹介されている。
 忘れてはならないのは、作者が指揮者として、本書で取り上げられたマーラーの作品を実際に演奏し、曲のすばらしさや問題点を、「指揮者」マーラーと同じ視点でしうる立場にあるということだ。それによって、(CD、実演を問わず)聴くだけでは限界のあるマーラー理解が、さらに広げられることになる。また音楽学者や指揮者による探求の現在形を知ることができるのも、作者が「学者」兼「指揮者」であることによる面が大きい。本書序章の「永遠の探求者」は、作者にもあてはまると思う。

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