さくらもちさんのレビュー一覧
投稿者:さくらもち
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2007/03/20 20:59
近年稀にみる感動&秀作
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
栄養剤のような胸に染み入る数々の言葉を有難うと言いたい。
まさかそんなところに収まるとは思っていなかったので多少驚いたけれど、最後まで作品のテンションを乱すことなく綺麗に完結に至った、近年稀にみる感動&秀作だと思う。
ここまで完成度の高い長編漫画は、30年近い私の漫画読み人生の中でも他には片手で数え切れるほどしかない。
何度も胸と目頭を熱くさせてくれた作品だけれど、最終巻である本書では、それはもうぐしゃぐしゃの酷い顔でべそべそ泣いた。特に目に焼きつくようなラストシーンは涙が止まらず、今思い出しただけでも涙が出そうになる。
この作品では人と人とのつながりの尊さを教えられた気がする。苦手な人とは付き合いたくないし、煩わしい人間関係なんてまっぴら・・・そういう人も多いだろう今の世の中。避けることは思いのほか簡単なものだ。けれど、避けているだけでは自分の中で育つものが何も無い気がする。
昔から人付き合いの嫌いだった私なんかは大学に入学した時から就職のことしか考えておらず、学生時代の思い出らしい思い出が何も思い浮かばない。友人らとどういうふうに過ごし、どんな会話をしたかさえ思い出せない。いい大人になった今、なんてもったいないことをしたのだろうと思わずにはいられない。
「今」を大切な栄養分としてきちんと吸収せず、遠い未来ばかりを見過ぎると、大切な忘れ物をしてしまう。今頃気が付いても遅いのかもしれないが、今からでもあの頃知らんぷりしてきた青春を取り戻せるだろうか。この作品に出会ってから、些細な人との出会いをも大切にするようになれた。
はぐちゃん、竹本くん・・・他の皆それぞれが選び取ったそれぞれの道。5年、10年、20年後の彼らはどうなっているだろう。やっぱりいろんな壁にぶち当たり、もがきながらも、一つ一つ乗り越えている彼らの姿と清清しい笑顔が容易に思い描けることがなんだか嬉しい。同じように自分の未来も思い描いていけたらと思う。「今」しか手にできないものを、両の掌できちんとキャッチしていきながら。
大切なことに気が付かせてくれたこの作品に感謝。きっと一生忘れることのない名作だ。
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