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ほの字屋さんのレビュー一覧

投稿者:ほの字屋

3 件中 1 件~ 3 件を表示

紙の本人はなぜ学歴にこだわるのか。

2000/10/15 17:59

真剣でおもしろすぎる「学歴病」の事例研究

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 学歴社会の弊害はしばしば耳にするが、その原因について語られることはまずない。誰にとってもツライからだ。変に気を使ったりしていることもある。そこを追求していくと、自分のなかに巣食っている学歴へのこだわりに向きあわなければならなくなる。これをつまびらかにするのはツライしイヤーなことだ。

 ツライ理由の一つは、一生のなかで分別が育っていないうちに、学歴のほうが出来あがってしまうためなのかもしれない。周囲の大人たちの学歴意識が知らないうちに刷り込まれ、勉強する気は露ほどもないのに自らすすんで青春をすり減らして受験勉強にはげんだりする。そんな時代を「いい思い出です」とか言える人にはこの本は無用だ。自身の学歴の高低にかかわらず、自分にとっては理不尽としか思えないが、言ってもしょうのない──というか、とても口に出して他人様(身内にも)に言うことができない──学歴がらみの思い出やわだかまりやトラウマのようなものがあって、大人になってもそれが抹殺しきれないという人には、この本は救いになりうる。

 著者は、この「学歴へのこだわり」というアンタッチャブルなテーマを、定評ある鋭い観察眼と底意地の悪いレトリックでさばいてみせる。小田嶋氏はいつもネタを調理するときに、いっしょに自分の指にまで包丁をあててしまうようなところがあり、(人が使わないようなネタにうっかりチャレンジしてしまうからなのか。だからこそ読みがいもあるのだが)、今回もその例にもれず体を張ってくれている。

 広末涼子のワセダ初登校やサッチーの学歴詐称問題が、なぜあんなにメディアを騒がせたのかも明らかにされているゾ。いや、本当はみんなとっくに分かっているんだよね。ただ言葉にするのを脳ミソが拒否しているだけで。

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<半分>だってカンタンじゃない

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 いまあなたが見ているページには、この本の表紙の写真が載っているだろう。でも小さすぎて肝心なところが読めない。だから言っておく。中島義道という著者名の上には、こんなコピーがついていることを。
 「好き勝手なことを言う男」。
 
 よくある「ホニャララのすすめ」というタイトルの本は、親切であるのが普通だ。ホニャララの部分は、散歩でも粗食でも株式投資でもいい。書き手はそのおすすめ内容についてより多くの読者がトライできるように、とっかかりやすいところから教えてくれる。それによって多少なりとも読者がしあわせ向上できることが著者のよろこびであったりするらしい。著者が狭量な人であると、「内容に共感できない人はちょっと不幸」くらいのニュアンスになることもある。しかし、「哲学的生き方」をすすめているはずの本書は違う。

 この本では、「哲学的生き方」に共感し実践する人こそが不幸(いわゆる世間的な意味で)になる。
 「哲学的生き方」とはどんなものか、ここでは触れない。読めばわかる。哲学者の著作からたくさん引用もあるが、タイミングよく出てくるので難解ではない。しかし哲学を理解するのと哲学を生きてしまうのとでは、ベランダから望遠鏡で星を見るのとスペースシャトルに搭乗するぐらいの差がある。実践にリスクはつきもの。なにしろ不幸になる生き方なのだから。
 そんなことをおすすめしてどうなるんだ? 不幸だとか言いながらその中に本当の豊かさがあるとか、理解できないのはあなたが凡人だから、といった内なる声を行間から発散させる人(イヤなやり口だ)は多いが、これもその口か?──と、思いながら読み進めたが、さすが哲学を生きようとする著者、そんなところには出くわさなかった。哲学的ゆえに不幸を自覚して生きる醍醐味は著者個人のものであって、他人にとってどうなのかは著者の知るところではなかったのだ。おすすめしたりしているくせに、自己中心的で好き勝手でホントにどうしょうもなく………すがすがしいんだから。

 著者は日本人の0.1パーセント以下の人々に向けるつもりでこの本を書いたという。願わくは、0.1パーセントより多くの人が本書を手にとり、そのうちできるだけ少数の人しか実践に踏み切りませんように。

(※「好き勝手なことを言う男」のコピーがついているのは新潮OH!文庫版のみです。)

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紙の本放送禁止歌

2000/10/09 12:32

自分自身のお役所体質にガツン!と

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 本書は「放送禁止歌」というドキュメンタリーを制作する森達也氏を、森氏自身が密着取材して、ドキュメンタリーにしたものと言えるだろう。一人称「僕」として登場する森氏。そしてちょっと離れたところで構成・演出をするもう一人の森氏。「僕」に向かってもう一人の森氏はこう言ったにちがいない。「主張したいことがあるなら身をもって示さなきゃ伝わらないよ」。
 そこで「僕」はあくまでも自分が実際に会った人、見たこと・聞いたことにこだわって、自分で考え、語ろうとする。「放送禁止歌」をめぐるマスメディアの官僚的な自己規制、触れないことによって温存されつづける差別──。こうした問題を打開するのに必要なのは、まさに「自分の頭で、自分の言葉で考えること」だからだ。
 仕事や時間に追われて、前例がないことに手をつけたがらないのはマスメディア関係者だけではない。ラクな方に流れてゆくのは人の常。大きいものには巻かれとけ。大人なんだからそういうややこしいこと言い出さないでよ、という調子で続けてきた果てに、そごうや雪印のような企業の問題も噴出したのだろう。もちろん明日は我が身。思考停止のあげく、地雷原のように「放送禁止歌」がゴロゴロ埋まっている。それが私たちの社会の現状なのだ。
 本書を読むと、自分の頭で考えられる「僕」を取り返さなければ、と焦燥感に近い思いに駆られる。「まだ間に合う。遅過ぎることは決してない」という森氏の言葉にちょっと勇気も湧いてくる。

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