阿部さんのレビュー一覧
投稿者:阿部
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命
2000/09/22 14:06
現実に打ちおろされた言葉の杭---あとがきより
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TVのドキュメンタリーで柳さんと東さんの病室での姿を観た。
病室に設置されたカメラは東さんが亡くなる数ヶ月前の残された時間を映していた。著者は出産後、育児で体力的にもつらい時期であったはずだが、眠ってる時も、東さんの寝返りの気配の度に目が覚めたと語り、ドキュメンタリーは、東さんの死後、著者の部屋で空に投げるように「高い、高い」をして「丈陽ちゃん」を あやす姿で終わっていた。とても印象に残る光景だった。
「命」というタイトルとインパクトのある写真のカバーから、随分前から読みたかったが、読めない本だった。私も大切な人が病に脅かされていたからである。最近ようやく気持ちが落ち着き、本を手に取る事ができた。
「……」 読み終えた感想である。
妻のある男性との間の妊娠、出産・認知をめぐる問題、仕事、東の癌との闘病、出産、育児…と、迫り来る生と死に引っ張られる。一人の女性が一度にこれほどの現実に絶えうるのだろうか。
著者に起こった現実は、意外にも淡々とした言葉で記されている。
あとがきに「現実に言葉の杭を打ちおろし、その一字一字にしがみついていなければ、現実の濁流に飲み込まれ、溺死しそうだった」とある。この一字一字は、現実の渦中に深く打ちこまれたの杭だったのだ。
男性にも女性にも、読んで何かを感じてもらいたい一冊である。
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