上善如水さんのレビュー一覧
投稿者:上善如水
新ゴーマニズム宣言SPECIAL戦争論 2
2001/11/05 10:47
とにかく厚い
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なにかと話題になる事が多い『よしりん』の著作だけに、今回もネットにおける読者たちの激しい論争が予想される。過去作についてもネット上で随分と議論されてきたが、驚くべきは中高生と思われる人たちの参加が多いこと。漫画なので、ある程度読者層に偏りが出るのは当然だが、それにしても中高生にここまで大真面目に戦争の在り方について考えさせたものが他にあるか。
「『平和』の反義語は『戦争』ではない。『平和』の反義語は『無秩序』であり、『戦争』の反義語は『話し合い』である。」という定義は印象的だった。ちょっと考えればわかることなのだが、状態を表す『平和』の反義語が、行為を表す『戦争』であるわけがない。クラウゼヴィッツの『戦争論』の「戦争とは異なる手段を交えた政治的交渉の継続にほかならない」という名言が思い出された。
これひとつ理解するだけでも、戦争というものの捉え方が変わる人が多いのではないか。
まあ、内容については実際に読んで判断したほうがいい。私の場合はこの著者の作品は初めて読んだが、間違った論理は展開していないように思える。
ちなみに第1章は脱稿直前に同時多発テロが発生して緊急収録したらしい。
親日派のための弁明
2002/08/01 21:39
韓国人の感想を聞きたい。
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日本で刊行された『醜い韓国人』の著者でさえ、パスポートを剥奪されたり恐喝を受けたりしているのに、韓国本国でこのような本を出版した著者の勇気を称えたい。韓国政府の言論統制的な対応が逆に日本のマスコミの耳目を引いて話題になってしまっている。それを受けて韓国政府は本書をめぐる統制を緩和する方向に動いている。これを機にして日本人ばかりでなく多くの韓国人も改めて本書を手にするだろう。そして怒るに違いない。その怒りが、悪質な反日キャンペーンを張った韓国政府に向かうのか、それとも本書の著者に向かうのか。それは今後の真の日韓友好をどの方向に進むのかを占う上で大変興味深い。
現代日本経済政策論
2002/01/19 23:01
媚びのない真摯な姿勢が好感度高し
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世の中、構造改革一色である。「過去に行った金融政策、財政政策は効果を挙げなかった。もう構造改革しかない。」という主張が世の主流である。しかし本書の著者である植草氏は「過去の財政出動による景気対策は着実に効いていた。それに歯止めをかけたのは橋本内閣の失政。」と主張。これは橋本内閣も失政として認めている。本書は現在の日本の現状や小泉内閣の政策の問題点を挙げ、きちんとデータを提出し緻密な論理展開で非常に明確な分析が行われている。
論理的に書く方法 説得力ある文章表現が身につく
2001/10/12 19:57
すばらしい。
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表題に「説得力ある〜」とあるが、日本人の多くはこの本で模範とされる「論理的な文章」を「説得力がある」とは感じないかもしれない。「AならばB」「BでないならAでない」という対偶の関係さえ理解できない人が多すぎるからだ。論理的な文章を読むと「詭弁だ」「理屈っぽい」などと言ってしまう人が多すぎるのだ。
つまり、この本で言うところの「論理的な文章」とは、感傷に訴えかける文章でもなく、白を黒と言いくるめる詭弁の術でもなく、文学的説得力でもなく、本当に「論理的な文章」。
主張を支える根拠は何か、論理のすり替えが行われていないか、などを明確にして、仲間内に通用するだけではない、世界に通用する本当の論理的文章について詳細に解説されている。
本当にすばらしい本。日本人全員に読んでもらいたい。いや、本気で。
ちなみに、この著者の書いた本はとても論理的ユーモアにあふれていて、まったく難しいところがありません。論理的能力を身につけたい方は、この著者の本を複数読んでみると、いいかも。
新ゴーマニズム宣言SPECIAL戦争論
2001/11/23 14:06
感傷に訴えかける部分は飛ばして読んでもいいかもね
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『戦争論2』のあとに読んだ。同じように『2』を初めて読んで興味を持った方が多かったのだろう。この『戦争論』も再び売れているようだ。
内容についてだが、途中で特攻兵の遺書を長々と引用したり、一日本兵の端正で凛とした表情から立派なセリフが発せられたり、というシーンが多く見受けられる。公正な判断力をもってこの本を読みこなしたいならば、こうした感傷に訴えかける部分は軽く読み飛ばすべきだろう。別にケチをつけているわけではない。感傷にも訴えかけたくなるほど、訴えかけざるを得ないほど「戦争=悪」という図式が日本で確立されているのだから止むを得ないだろう。論理的説得力だけでなく、漫画というメディアの特性を最大限に生かした戦略を多用することで、非常に訴求力のある作品に仕上がっているといえる。
薬害エイズ訴訟のときもそうだが小林よしのりとは、対立の構造の中に漫画の訴求力をプラスアルファして世論を動かす一種の『戦略家』だろう。『思想家』『言論者』というよりは『戦略家』である。一旦、敗北に終わっている教科書問題でも『戦争論2』とは別の手段で報復を策謀しているらしい。
新・戦争論 「その先」をどう読むか
2002/02/01 20:15
これからの日本のビジョンを具体的に提言
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戦略・戦術に関する原理を歴史を例にとりながら本格的に解説しており、現代の日本をとりまく国際情勢についても具体的な提言がなされている。戦略論の視点からみた中国の危険性や現在の日本の情けない外交姿勢、アメリカに依存した軍事方針を憂慮して、
「『居丈高な力持ち』は他国からおそれられる。『ヒステリックな弱虫』は嫌われる。『もめごと嫌いの力なし』は無視される。『気は優しくて力持ち』は信頼される。日本の国家ビジョンは、これだ。」と日本の軍事的な独立の必要性を強調する。とくに海洋国家としてのこれからの国防や東アジアにおける日本の戦略的位置づけを強調している。著者が軍事の専門家だけに、非常に説得力がある。この著者はもし時機を得ていれば歴史に名を残すほどの軍事家になれたのではないか。
ちなみに「戦争論」の文字が印象的だが、小林よしのりの『戦争論』とは無関係。しかし大東亜戦争の意義や『私』と『公』についての見解、対中国認識などは共通項が多い。このサイトで小林よしのりの戦争論を探そうとしてこの本が引っ掛かってしまった人は一読してみると絶対おもしろいはず。
日本を決めた政治家の名言・妄言・失言
2002/01/19 23:14
深い分析に納得の一冊
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政治家の発言とその影響を分析して、政治家とはどうあるべきかを論じている。小泉首相・石原都知事・田中外相などの人気に疑問を呈し、石原都知事などに対しては、過激なタカ派的言動「にもかかわらず」という感じで「いなせな行動が国民に安心感を与えている」と分析。著者は毎日新聞で政治畑を歩んできたと聞いて、さもありなん。政治家の失言などというものは、マスコミが騒ぎ立てによる言葉狩りが大半であると思うのだが。しかし本書は政治家の発言を列挙しているだけではなく、その背景や国民の受け取り方などについて深く分析が行われているし、吉田茂やハマコーの失言については議事録なども再現していて非常に面白かった。
ドキュメント機密公電 日米経済交渉の米側記録は何を語るか
2002/01/19 22:50
独自性の高さが非常に評価できる。
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1980年代後半の日米通商問題において日米がどのような関係だったのかを、当時の関係者のインタビューや日本政府・アメリカ政府のコメントなどを引用しながら解説している。資料は一次資料を中心に掲載しているので著者や情報提供者、インタビュアーなどの意図に誘導されることなく、当時の真実が分析されていると思われる。アメリカ政府と在日米国大使館との公電のやりとりは必見。単なる評論ではなく、独自に収集した情報をちりばめているので、独自性が非常に高い。
合気道の科学 合気・発勁の秘密を解く!
2001/09/12 10:42
科学と伝統の融合点
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合気や発勁がどのようなメカニズムで発動されるか力学などの観点から合理的に説明している好著。伝統武道を科学する本は数多いが、本書は、単なる学者が合気道を科学的に説明したものではなく、すでに合気道を身につけられた著者が「この技術は科学的にはどのような根拠があるのか」という疑問から書かれたものであり、体験に裏打ちされた説得力がある。
シャーロック・ホームズの推理学
2001/09/12 10:18
著者の軽快な語り口が魅力
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ホームズの推理の構造を演繹・帰納などの観点から捉え、確率論なども交えて独特の持論を展開している。論理学者でもある著者のユーモアあふれる語り口で一気に読ませてくれる。
これを読んだ当時、私は中学生だったが、それでも簡単に読みこなせてしまうほど説明が上手い。科学的、論理的素養を身につけさせてくれた、ありがたい本。近代的記号論理学にはほとんど触れていないので文系の人でもすらすら読めるはず。
曹操注解孫子の兵法
2001/09/12 09:49
「注釈」というより「言い換え」に近い
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孫子の注釈は数多いが、その中で曹操の注釈は特に個性的だ。多くの注釈者は、言葉少ない孫子の語りに対して多くの説明や用例をつけ足す。だが経験豊富な実践者である曹操は、なぜ孫子が少ない言葉で語らなければならなかったか、なぜ具体例を一切省いたのかを知っていた。
具体例とはいわば、「その場限り」の経験である。「その場限り」の経験を後から理屈でこね回してもこれから経験する別の体験の役には立たぬ。だから曹操も孫子の注釈を執筆するに臨んで具体例を列挙するようなことはせず、孫子の言葉を別の角度から捉え、「言い換え」を多用したのである。
数多くの孫子本が出回っているが上っ面でない孫子の真意を汲み取ろうとする意思がある方には是非とも読んでいただきたい本だ。
明治天皇 上巻
2002/01/19 22:36
明治天皇を好意的に解体
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明治天皇とは、どうも謎の多い人物である。公式記録である『明治天皇紀』以外にほとんど伝記が存在しないからだろう。著者は当時の新聞記事や外国人ジャーナリストなどが書いた記録などを取りいれながら6年掛かりでライフワーク的に著したという。私は明治天皇といえば軍服に身を包んだ勇ましい姿しか思いつかなかったが、中国との交戦に心を痛めたり、古くなった衣類を修繕して着続けたりなど、今まで知らなかった一面を知ることが出来た。
Zの悲劇 新版
2001/11/03 10:20
消去法による科学の粋
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多すぎる容疑者の中から「彼は犯人ではない。なぜなら肉体的に…」などの必然的論理を適用して消去していき、残る一人が犯人である、という論理に反論の余地はない。演繹的論理の美しさを堪能できる。
エラリー・クイーンの作品の中で、プロットの秀逸さなどでは他作品に及ばないかもしれないが、犯人を特定する推理の必然性ではこの作品が一番だと思う。
パソコンで仕事が10倍早くなる!
2001/10/27 01:29
プロのPC環境がわかる
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PC利用法を提案、紹介する本のなかで、万人向けのPC利用法を紹介している本は多いが、本書は著者のPC環境を中心にかなり具体的な利用法を紹介している。テレビパソコンとマルチディスプレイのすすめや、便利な検索ソフトなどの紹介などがあり、私などは無意識のうちに著者のPC環境にかなり近づいてしまった。
トオマス・マン短篇集
2001/09/12 10:57
インサイダーとアウトサイダーの対比
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太宰の『人間失格』のモデルかと思われる『道化者』が出色。作品全体のテーマとして、社交性に富むインサイダーと自閉的なアウトサイダーとの対比が多く描かれている。
特に若者に読んでもらいたい短編集。『道化者』に登場する主人公や『小フリイデマン氏』に登場するフリイデマン氏。彼らの中に自分の一面を見つける人も多いのではないだろうか。また、彼らの心の痛みを感じることができる社会であれば昨今の痛々しい、いじめ問題などはありえないはず。
