紅衛兵さんのレビュー一覧
投稿者:紅衛兵
| 1 件中 1 件~ 1 件を表示 |
失われた記憶を求めて 狂気の時代を考える
2005/09/18 10:12
日本の社会運動への問いかけとして
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
韓国で民主化という「成功した」闘争を闘った立場からの、「切れば血の滲み出るような」(訳者・板垣竜太さんの評)内省の書。
軍事独裁に抗した民主化闘争——韓国社会を覆ったさまざまな暴力の生々しい記憶はどこへ消え去ったのか。82年の釜山アメリカ文化院放火事件の「首謀者」として逮捕,投獄された著者・文富軾はこの問いを直視し,自省を重ねる——。
「成功した」運動の聖化と闘う文富軾の闘いは,同時にまた,全共闘運動やプロレタリア文化大革命に触発されて,大学へ行かずに下放(肉体労働)についた私の胸にささった。あの時代の熱い運動や闘いはどこへ行ってしまったのだろうか? せめて学問のあり方をめぐって体制にに異議申し立てをしたのならば,思想に生き死にを賭けるとまでは言わずとも,思想の論理と倫理でもってふりかえるべきではないか——文富軾の声は私にはそう聞こえた。
本書は、海の向こうの「革命」は礼賛しても、足元の、自分自身が関わる出来事には傍観者を決め込む——そのような似非革新派、似非進歩派への批判でもあろう。著者の真摯な観点は,文学なき政治は人々の魂にふれえないということを教えている。ある新左翼組織が武装闘争放棄にあたって言明した「日本人民は武装闘争を望んでいなかった」との総括にはどのような内省があったというのだろうか。
「ある時代は,それを記憶する人たちがいる限り,ただあっけなく消え去ることはない」(文富軾)
| 1 件中 1 件~ 1 件を表示 |
