マイコン坊主さんのレビュー一覧
投稿者:マイコン坊主
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2002/12/29 23:51
3人のやさしさのハーモニー
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金子みすゞの詩が優しいのは、読む人の優しさを引き出すから。彼女の優しさに触発されたやさしい二人の心が、読む人にさらに大きな温かさを灯してくれる本。
上山大峻は、京都の龍谷大学の学長であり、中央アジア・敦煌の研究で世界的に知られている。片や、外松太恵子はさまざまな問題を抱える青少年のカウンセラーとして、知る人ぞ知る超有名人である。
上山は、金子みすゞの生い立ちと、その詩の背後にある浄土真宗の生活と考え方を紹介しながら、金子みすゞの詩に脈々と流れている「救われていることの強さ」を私たちに教えてくれている。外松は、逆に金子みすゞの詩を通して、自らと悩みを抱える子供たちの心に潜んでいる優しさを引き出していこうとしている。
二人の優しい心に出会って、金子みすゞの詩に流れている優しさは、さらに輝きを増し、単なる金子みすゞの詩の紹介文ではなく、大きな優しさのハーモニーに包み込まれることだろう。
紙の本飛雲閣ものがたり
2005/07/03 23:19
これほど美しい飛雲閣は初めてだ
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
京都下京区の西本願寺は、国宝が多いのに拝観料が要らないので、じつは逆に観たくても入りにくい。事実、飛雲閣の拝観はしばしば断られるようだ。
マ、さまざまな事情で、よく中に入り込むことができるが、いつも美しいわけではない。季節が合わなかったり、他の拝観者が邪魔になったりと、ユックリ拝観できないのが現状だ。
ところが、アラーキーはかなり自由に‥‥もちろん、本願寺からの依頼だろうから、自由なんだろうけど‥‥実に的確な季節に、自由に撮影している。いままで我々が観られなかった飛雲閣がここにある。
金閣・銀閣のように拝観料をとる寺の場合は、みんなもかなり知っているだろうけど、茶室としての飛雲閣は、単に名所というだけではなく、見事な建築センスを感じることができる。
金閣の見事なばかりの華麗さ、銀閣の渋さとその中に秘めている豪奢さ‥‥そのような美しさではなく、ドッシリと、しかも華奢な中にもユッタリとした時間の流れをたたえた飛雲閣が、この本によってようやく陽の目を見た感じである。
単なる観光写真集ではなく、日本建築と庭園の美しさ、茶道のもとめるワビの真髄を見るためにも、アラーキーのショットは的確であったと思う。
「これほど通ったことはない」とアラーキーが言ってるが、四季の姿を写し撮るためには、きっと苦労があったことと思う。
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