トーチエさんのレビュー一覧
投稿者:トーチエ
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82歳の日記
2005/01/30 23:49
82歳でこの書評を目にする方はいるだろうか
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たとえば小さいころには、24、5歳の女性ともなればそれは立派な大人であり「おばさん」だった。
だがその年齢になる頃には、自分が大人だとも「おばさん」だとも思えなかった。人生は何かとぐちゃぐちゃしていてまとまりがなく、いっそいろんなことをすっ飛ばして早く40歳ほどになってしまいたいと乱暴なことを考えた。
そして今、まだその年には至っていないが、勝手に想像していたほどに40代が落ち着いた安逸な時期でないことは見えてきた。では更に倍も年を取り、80代になったらどうだろうか。
「82歳の日記」の中でメイ・サートンは、自分の作品たちが正当に評価されないことを嘆き、生活を妨げる大雪や雨に心を曇らせ、愛猫の行動によってその日の気分を左右される。老いを迎え確実に衰えていく体に気を滅入らせ、うまくいかないことばかりと苛立つ。その姿は、結局のところいくつになっても悟りきり常に心平穏な時期などないのだと思わせる。
だが、そう思ったときに感じるのは失望ではない。むしろ人はどれほどの年月を経ようと人であって、それ以外の何かに変じることはないのだ、と感じて安心を覚えるのだ。勿論毎日が嫌な思いばかりではない、身近な人々の助けに素直に感謝し、花の美しさ、その香りを喜ぶ。愛猫ピエロの行動に一喜一憂する様も微笑ましい。
もし82歳の方がこの書評を読んだなら何を偉そうなことをと不愉快になるかもしれない。けれどまだその半ばにも満たない今に「82歳の日記」は、老いるということを嫌悪も恐怖もなく当たり前にいく道だと感じさせてくれる。
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