高千穂 望さんのレビュー一覧
投稿者:高千穂 望
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紙の本終の神話・天泣の章
2003/09/24 21:28
シリーズ最終章
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封殺鬼シリーズの「ラゴウ」(漢字が出ない)編も佳境の一冊である。
平安の世より安倍晴明に連なる家系「本家」に使えてきた鬼。雷電こと志島弓生と酒呑童子こと戸倉聖。
千年以上を生きてきた彼らが、今、その生きる意味と向き合う。そして本家の若き次期当主達も、自らの進むべき道を歩き出した。
ボーイズラブ小説のように思われがちだが、霜島ケイには、このくくりは当てはまらないであろう。
デビュー当時よりユーモアのある掛け合いで読み手を引っ張っていく作風は、読者の性別を問わない。若者よりも、いわゆるおじさんやお年寄りの、人生を積んだ故の逞しさを持つキャラクターを作り上げ、淡々としながらも美しい情景描写が作品の奥行きを広げている。
今年はシリーズ開始から十周年となる節目の年となり、新書で選集も出版された。はやりの陰陽師ものの中で、古株であるが、ブームに左右されず、丁寧に積み重ねられてきた小説である。
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