橋本公太郎さんのレビュー一覧
投稿者:橋本公太郎
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紙の本市民科学者として生きる
2001/03/01 15:44
科学者・技術者にとっては重い自伝
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この本は、核化学者であり、原子力企業→大学教官の道から一転して反原子力運動家となった高木氏の自伝である。この本は大変読みやすい。そして、重い。特に、科学者、技術者にとっては。
私にとって、特に共感できたのは、彼が会社で研究をしていて、会社のシステムに疑問を持ったところである。彼は、日本の会社では「個」が見えないと言っている。このような日本型企業の問題点は、今でも残っている。
この本は、大学助教授の地位を捨てるところまでは、しっかりと書かれているが、その後の反原発運動の部分、市民科学者としての活動の部分は意外とあっさりと書かれている。おそらく、この部分は、別の本を読めということであろう。
科学者、技術者が読めば、考えされられることが多い本である。ぜひ、一読を勧めるが、この本を読んで、自分の生き方に悩みすぎないようにしてもらいたい。
インチキ化学者の独り言より
紙の本自動車の社会的費用
2001/03/01 10:42
今でも内容が陳腐化していない名著
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この本は、1974年に書かれた本であるが、今でも内容が陳腐していない名著である。この本の内容は、自動車が広く使われるようになり、公害や交通事故などの社会に対する悪影響があるが、自動車所有者はこの社会的費用を払わないでいる。自動車の社会的費用については算出方法がいろいろあるが、宇沢は市民の基本的権利を守ったままで現在(1974年)における台数の車が走行できるようにするには、車1台あたり1200万円の投資で道を拡張する必要があると計算しているのである。
この本の考え方である、「市民の基本的権利を守ること」が最近になってやっと日本でも当然と思われてきたが、当時としては大変斬新な考え方であったに違いない。そして、環境学の基本も「市民の基本的権利を守ること」であり、この本は環境学の入門書として役に立つ。
環境学・この本を読めより
紙の本「共生」とは何か 搾取と競争をこえた生物どうしの第三の関係
2001/07/04 19:12
共生を「ゲームの理論」の視点で捉えた良著
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この本は、前半は、生物の相互依存関係の原理は、「利己的な遺伝子」で書かれているような、自分の子孫を増やすい方向に進化するとの見地から、「共生」を捉えている。後半は、人間と魚との共生関係である、漁業について述べている。漁業で魚を収穫するとき、多く取りすぎると魚が減ってしまうので、魚が後々まで取れる最大の漁獲量だけ獲れば持続可能な共生ができると書いている。また、「共生」を考える上で一番重要なことは「ゲームの理論」であり、ゲームの理論をもとに少し政策を考えれば、例えば魚の乱獲が防げる例を示している。非常におもしろい本である。同じ著者の「環境生態学序説」(共立出版、2000年)とともにお勧めである。
環境学・この本を読め
紙の本ディーゼル車公害
2001/04/27 16:28
ディーゼル車からの排ガスの問題を丁寧に解説した良書
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著者は、元・毎日新聞の記者で、今は環境ジャーナリストをしている。この本は、まず、ディーゼル車からの排ガス中の粒子状物質が、肺ガンや喘息を引き起こすとのデータを紹介し、ディーゼル排ガス中の粒子状物質の危険性を指摘している。次に、このようなディーゼル排ガス粒子状物質の有害性データが前から示されているにも関わらず、ディーゼル車公害が改善されなかった理由を、自動車排ガス規制を窒素酸化物中心にして粒子状物質の規制が甘いことと、税金が軽油に対して優遇されており、商業車がディーゼル車にシフトし、ディーゼル車が増加したことと指摘し、行政の汚染の放置を批判している。このようなディーゼル車公害の放置に待ったをかけたのが、尼崎の公害訴訟と、石原東京都知事による「ディーゼルNO作戦」である。特に、尼崎公害訴訟では、ディーゼル車からの粒子状物質排出差し止めを命じた画期的な判決であり、大きな影響を与えた。この判決以降、行政や自動車会社、石油会社は方針の転換をし、ディーゼル排ガスの規制の前倒しや軽油中の硫黄分を10分の1に削減するなどの取り組みをすることになったのである。この本は、ディーゼル車からの排ガスの問題について、調査したデータをもとに詳しく書かれており、良い本である。技術的な話しについては、少し異論もあるが、それについては、自動車業界や石油業界の人がもっと正しくインフォームすべきなのである。
環境学・この本を読めより
紙の本博士号とる?とらない?徹底大検証! あなたが選ぶバイオ研究人生
2001/03/01 15:38
研究者志望の学生は必読
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バイオ系の学生向けに、大学の博士課程やその後の進路についてデータを交えて紹介している。そして、博士号を取るのが得かどうかを述べている。簡単にまとめると、「バイオ研究者になるなら博士号を取るべし」である。ただし、博士号を取っても、バラ色の未来が待っているわけではないのだ。この本は、日本の研究者の事情について丁寧に紹介しており、更に世の中をうまく渡っていく術も書いている。
この本は、研究者志望の学生(バイオ系でなくても)は必読である。自分の学生時代に、このような本が欲しかった。
インチキ化学者の独り言より
紙の本水の環境戦略
2001/03/01 10:38
水道水を中心とした、水環境のあり方について独自の考えを示す
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水道水を中心とした、水環境のあり方についての本。大変面白い。まず、日本は水は十分足りており、首都圏で水不足になるのは水利権が農業・工業用水のままで生活用水にフレキシブルに委譲されていないからと述べている。次に、水道水の環境リスクについて独自の考え方を示している。この考え方は、『環境リスク論』(中西準子、岩波新書、1994年) でさらに詳しく展開されている。最後に、水環境は水道水の安全だけでは不十分で、生態リスクも考えていかないといけないと述べている。これも、環境学専攻の必読書であろう。
環境学・この本を読めより
2001/03/01 10:35
化学物質のリスクを同一尺度で統一的に評価する手法の紹介
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この本は大変ユニークで、かつ面白い本である。この本では、彼女らが考案した、化学物質のリスクを「人の死」を尺度にして統一的に評価する手法について紹介してある。そして、環境政策に対しては、環境対策を行うことによるコストをその政策によって削減されたリスクの大きさで除した値を指標に用いるべきだと主張している。環境学専攻、環境に携わる人たちの必読書であろう。
環境学・この本を読めより
紙の本地球温暖化問題に答える
2001/02/28 17:10
化学工学の知識をベースに地球温暖化の解決策を示す
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著者は、東京大学工学部教授であり、2001年現在、東京大学工学部長である。この本は、彼の専門である化学工学の知識をベースに、地球温暖化問題の本質と解決案を記したものである。地球温暖化の原因である二酸化炭素の大気中の濃度をこれ以上増加させるのを防ぐための方法として、化石燃料に替わるエネルギー技術の開発、エネルギー消費量の削減、二酸化炭素固定を挙げ、それぞれの方法について彼の考えを述べている。そして、地球温暖化問題解決の答えとして「市場原理だけでは解決は無理なので、省エネルギー技術、代替エネルギー技術に優遇措置を」「地球温暖化問題が幻影であっても行うべきことから先に行おう」「温暖化防止に関わる技術の研究開発に支援を」「大発見を前提としない」を挙げて締めている。 熱力学をベースとして地球温暖化対策の諸技術を解説したり批判したりしており、面白く読める。
環境学・この本を読めより
紙の本環境アセスメント 新版
2001/02/28 17:04
環境アセスメントのあり方を論じる良著
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実際に環境アセスメントに関わってきた著者が、データや事例を紹介しながら、環境アセスメントのあり方を論じている。この本では、環境アセスメントの手法を学ぶ方法として、「現場に学び、過去に学べ」と説いている。その現場での学び方、過去の教訓がこの本に記載されているのだ。 大変面白く読める。
環境学・この本を読めより
2001/02/28 16:56
ここまでわかりやすく人工知能を説明できるとは!
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著者はゲーム作者であり、人工知能を取り入れた作品も何本か制作している。この本は、人工知能の中でも特に「遺伝的アルゴリズム」と「ニューラルネットワーク」について大変わかりやすく説明している。これだけわかりやすく説明できるのは、森川氏が実際に人工知能をゲームに取り入れるためにいろいろ使ってみたからであろう。大変良い本である。
橋本公太郎
紙の本都市と車の共生
2001/07/02 14:11
車と共存できる都市づくり案を例示
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車と都市が共存するために、どのような都市づくりが必要か、いくつかの例を示している。一つは、車は必要不可欠な物と考え、それがもたらす問題を解決するために高速道路の都心部を地下に作ったり、都市の駐車場を増やす方策を示している。一方で、都市から車をなるべく排除する方策も示してある。あと、天然ガス自動車の導入にかかせないインフラ作りの提案をしている。これは、車庫や駐車場を天然ガス自動車のスタンドにすることである。結構面白かった。このような、自動車の環境問題を解決する「ストラテジー」を示していくことが重要であると思う。
インチキ化学者の独り言より
紙の本市民のための環境学入門
2001/03/01 10:50
環境問題の解決案を多面的に示した本
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この本は、環境問題としてどのようなことを考えるべきか、そしてその解決案としてはどのようなものがあるかを多面的に示した本である。三人の問答形式で書かれているが、簡潔に書かれているので大変読みやすい。なるべく中立的に書こうとしてあるが、所々出てくる安井教授の本音の部分も同感できる。
安井教授は、この本の続きとして、環境時事問題の解説のサイト「市民のための環境学ガイド時事編」を開いている。
環境学・この本を読めより
2001/03/01 10:31
地球温暖化問題とその解決法について、経済学者の立場からの意見
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この本は、地球温暖化問題について解説し、その解決法について経済学者の立場から意見を述べている。特におもしろかったのは、第3章「温暖化防止対策を考える」で、CO2排出権取引、炭素税について経済学的に解説し、炭素税を導入しても経済成長は鈍化しないことを指摘している。
この本は、1997年12月に開催されたCOP3京都会議の前に書かれているが、COP3の理解を深めるのに良い本だと思われる。経済学の考え方が出てくるが、経済学を知らなくても読める。
環境学・この本を読めより
紙の本タグチメソッドわが発想法 なぜ私がアメリカを蘇らせた男なのか
2001/03/01 10:26
タグチメソッドの根底の考え方がわかる、自叙伝
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田口氏は、品質工学と言う分野を作った人で、本田宗一郎、豊田英二に次いで日本人として三番目に米国の自動車殿堂入りした人である。田口氏が考案した品質工学を「タグチメソッド」と一般に呼ぶ。この本は、田口氏の自叙伝である。とても面白く読めた。
彼は、自分の業績を「実験計画法のために直交表を使いやすくしたこと」、「機能のばらつきを減らすためのデータの取り方と解析手法を実験計画法にプラスアルファしたこと」の二つと述べている。一つ目の「直交表を使いやすくしたこと」とは、例えば最適な反応条件を見つけるために、温度、圧力、時間などの条件を振って確認しようとする。その時、温度や圧力のような変数が8個あり、温度を2つ、他の7個の変数を3つ試したら、組み合わせは4374通りになってしまう。それを、直交表に条件を割り付ければ、18通りの実験で、4374通りの実験と同じ効果が得られるのである。
二つ目の「機能のばらつきを減らすためのデータの取り方と解析手法を実験計画法にプラスアルファしたこと」とは、まず、品質の分野に「SN比」の概念を導入したことである。何を信号とし、何をノイズ(誤差)とするかを考え、SN比を求める計算法を考えたのである。そして、品質とコストとのバランスを考えるために、損失関数と言うものを導入したのだ。損失関数の導入によって、品質を定量的に評価することができるようになったのだ。
この本を読めば、タグチメソッドの具体的なことは分からなくても、その根底の考え方は良く分かる。技術者は読むことをお勧めする。
インチキ化学者の独り言より
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