nakurumiさんのレビュー一覧
投稿者:nakurumi
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天空の蜂
2000/08/10 02:42
天空の蜂
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東野圭吾の『天空の蜂』(講談社文庫)は骨太の男性的な小説だと言っていい。
物語はいきなり展開する。開発中の超大型特殊ヘリコプターが何者かの手によって奪われた。そのヘリコプターの行き先は……高速増殖原型炉『新陽』。その稼働中の原発の真上でホバリングを続けるヘリコプター。ヘリコプターを奪った犯人は、日本政府に対して飛んでもない要求を突きつけてくる。要求をのまなければ、爆弾を積
んだヘリコプターを原発の上に落とす……
ヘリコプターの中には、運悪く関係者の子供が乗っていた。子供は助けられるのか? 犯人は誰なのか? 犯人の究極の目的とは?圧倒的なスピード感と緊張感が作中を貫いている。たった十時間ほ
どの時間が作品の中にぎゅっと押し込められているのだ。読者はその濃密な時間を共有することになる。
犯人探しは、この物語の肝心な部分ではない。早い段階、作中で犯人は明かされてしまう。そういう意味ではミステリ色は薄い作品と言える。しかし、そこからが面白いのだ。一体、犯人はなぜこんなことをしたのか? 作中で犯人自身が饒舌に語ることはない。作者は今の日本の原発の現状を語ることで犯人の動機や目的を徐々に明らかにしていく。
そして、明らかになる犯人の目的……これを読んだ人の多くはどう思うのだろうか? この物語は単なる荒唐無稽な娯楽作品では終わっていない。多くの日本人に関係があり、考えなければいけないこと
が提示されている。無関心ではいられない物語だ。無関心であれば、本当にこんな事件が起こってしまうかも知れないと思う。なぜなら、私は犯人の行為を心から『否定』することができないからだ。
犯人が最後に呟く言葉が胸に染みる。
終業式
2001/01/21 01:02
あなたは誰に自分の影を重ねるでしょう……
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姫野カオルコの『終業式』が、いい。
文庫一冊の中身は全部、手紙やメモやファックスで構成されている。高校時代から物語は始まる。女ふたり、男ふたりの四人の手紙やメモが中心になっている。年代は私より少し上、三十歳代の人には郷愁を誘うアイテムが沢山登場する。赤い疑惑、セイヤング、ツェッペリン、サボ・サン……
四人はついたり離れたりしながら、年を重ねていく。思いを伝え切れないもどかしい手紙、愛に溢れた手紙、投函されなかった手紙、怒りの手紙、せつない別れの手紙、疑惑に紛れた手紙、年賀状や結婚報告の葉書……エトセトラエトセトラ。
物語自体はとてもオーソドックス。そこには、奇抜な展開はほとんどない。そのオーソドックスさが、またいいのだ。四人に向けられた筆者の暖かな眼差しだけが感じられる。
人はこうやって、シアワセとフシアワセを繰り返しながら生きて行くのだなぁ。良くも悪くも、それが生きるということなのだなぁ。そんなことを考えさせられた。
私は泣いてしまった。作品の中の2通のある手紙を読んでいたとき。あまりにも切なかった。忍ぶ思いというのは、なによりも切ない。他の人が読めば、私とは違った部分に心を動かされるかも知れない。
きっと、多くの人がこの四人の中に、自分の影を見るはずだ。この作品に、自分の過去を重ね合わせたり、自分の未来に思いを馳せたりするのは、面白いだろう。切ないけれど、なぜか励まされる一冊なのだ。
般若心経占い みるみる幸せになれる
2001/01/15 02:39
あなたは、お釈迦様の弟子に当てはめると、どのキャラクターでしょう?
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般若心経……お釈迦様の尊いお言葉を綴ったものなんて言われても、ピンとこない人の方が多いのではないでしょうか。もちろん、お葬式などの儀式で「まかはんにゃーはーらーみーたーじ……」で始まるお経に耳覚えはあると思いますけど。
この本は、そんなお釈迦様の教えを占いにしたものです。と言っても、般若心経をそのまま占いにしたわけではなく、お釈迦様から教えを賜った12の弟子たちのキャラクターによって、あなたの性格や運勢が占われます。弟子の多聞第一のアーナンダを元にしたのが、『アンナ』。天眼第一のアヌルッダが『アル』。持律第一のウパーリが『パリ』といった具合です。
占いとしても非常に楽しいのですが、仏教なぞを全然知らない人にとって格好の入門書となっています。弟子たちの解説もコンパクトにまとまっていて、「お釈迦様にはこんな弟子たちがいたのか」と分かりますし、般若心経についての平易な意訳文もあってお得です。
序文に、般若心経は「現代風に言うと心のマニュアル」だとありました。現代は心の時代と言われて久しく、様々なアプローチが試みられていますが、般若心経もまた、時代を超えて、現代にも通じる心のマニュアルの一つだろうと思います。
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