鶴 さんのレビュー一覧
投稿者:鶴
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食物中毒と集団幻想
2004/07/15 16:47
魔女裁判と麦角中毒症との関係を探る
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★中世ヨーロッパにおいて、黒死病が異常なほどの高い死亡率を記録し、魔女裁判が頻発したのはなぜか。
★フランス革命時に多発した<大恐慌>という恐怖の実体は何か。
★十八世紀後半以降、ヨーロッパの人口が急速に増えはじめたのはなぜか。
★一六八九年、マサチューセッツ州のセイラムで、合衆国史上最悪の魔女裁判が突発したのはなぜか。
こうした無関係にみえる歴史上の背後に、知られざる麦角中毒症という病因のあったことを、本書は指摘する。穀物、とくにライ麦に付着するカビの毒素(マイコトキシン)が人間の免疫機能をそこない、中枢神経に作用して、ときにLSDと同様の効果を及ぼし、その結果、広範な集団幻覚、魔女迫害、恐慌を引き起こしたことを明らかにしてゆく。
この驚くべき新説を、気象条件、季節による死亡率や出生率、小麦の価格などのデータを用いた統計学的方法を援用しながら、著者はきわめて綿密に、慎重かつ客観的に論証を展開してゆく。歴史の解明に新たなる光を投じる一冊。
(パピルス 鶴ヶ谷真一)
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