ソトネコさんのレビュー一覧
投稿者:ソトネコ
紙の本別れてから好きな人
2002/07/16 23:00
密度の高い短編たち
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大人向きでHを充実させてかつ良心的に作品を創ればこんな感じになるのかなと思った。
描写が濃厚な割りにちょっとこりすぎていてあまりイヤラシイ感じがしないのをどうとるかで
BLに対するその人の姿勢が試される作品と言える。私自身はこの作家さんの他の作品に
比べてやや落ち着いた趣のこれらの作品たちが好きである。過去の恋をひきずっている
テーマが2作品、互いに好きあっているのをわかりつつ攻め氏のこだわりで策を弄する
作品と熱々カップルの日常といった作品の計4作品がこの1冊で読める。
紙の本夜の目眩
2002/07/14 00:46
体も心も開かれて〜愛は克つ
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「極上の体」を持つとうわさの製薬会社営業の月村はそのうわさを逆手にとって仕事
をしている。そんなある日新任医師北澤の登場で月村の生活は一変する。
最初は主に体が、そして後半になるにしたがって心も北澤に惹かれていく。
過激な挿絵とあいまって月村におこっていることどもをつぶさに見ている感覚に
なる。H表現も濃いので刺激を求めている人にオススメします。
紙の本ゴージャスに愛して!
2002/07/13 23:39
愛と友情…2人が幸せにたどりつくために
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叔父の遺産を相続し、プチ金持ちになった雪彦が惚れぬいたのは本物の金持ち遠野だった。
彼によく思われたい一心でとことんやりぬき最後は遺産を使い果たしてしまう。
ストーリーだけを追うとありきたりなハッピーエンドな話なのだが、この作品の魅力は
遠野と雪彦、雪彦の友人である比沙志、遠野の友人である佐伯そして執事である金森氏、
この5人の人物が、実在していてもおかしくないような現実感を持って描き分けられて
いることだ。特に雪彦の一途さ健気さはもう可愛くて、そばで見守る比沙志とともに
はらはらしてしまうのである。キレた遠野もそんな幸彦の相手にふさわしく最後には
もう「あなたたちは勝手にヤってれば!!」と思わせるベタ甘かつキビシイ恋人に
成り果てるのであった。骨まで愛されたいと思っている人にどうぞ。
紙の本エゴイスティック・ラブ
2002/07/01 08:15
JUNEファンタジー☆究極の愛
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読者は全てを知っているからこそ、互いに愛し合いながらも傷つけ合う2人にもどかしさを感じながらもつい応援してしまう。囲われた美少年のトラウマがキーワードであるが、「これでもか」と柾臣・雪弥の2人は互いの恋心に振り回される。行き着くところまで行き着いてやっと解決するのだが、周囲の人々が忍耐強く2人の恋の成就を見守っている。
そんな2人の対極として、雪弥の秘書亮と柾臣の恋人浩がバランスをとっている。この作品のような恋愛至上主義でかつファンタジックひとことで言えば恋愛幻想小説(イコールJUNE?)は、かって多く読んだような気がする。おまけの短編の亮と柾臣の話から多分まったく雰囲気のちがうBLに移行する作品になっていくと思うので、この小説は混在小説と言ってよく昔を知っている人にぜひ一読をおすすめしたい。
紙の本危険な残業手当
2002/06/29 22:39
恋から始まるレイプもある?
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派閥争いゆえに産業スパイのようなまねを上司命令でさせられている御厨。ある夜、何者かに
レイプされる。その後、初めの派閥に寝返り敵に回るが、その間副社長とも懇意になる。
なにごともわけのわからないまま展開していくが、謎がいろいろあきらかになり、最後は敵方以外
皆幸せになっていく。副社長が文句なしに面白いキャラで大好きになってしまった。主人公たち
そこのけで思い入れていたので、おまけの短編には堪能した。ありがとう、剛先生!!
紙の本働く大人の恋愛事情
2002/06/29 22:25
仕事は大切・恋はもっと大切
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会社員もので仕事の中身も含めてきちんと読ませてくれる秀作である。美人がゆえに上司からセクハラされつつも仕事に頑張る津山忍と、偶然知り合い結果的には忍の恋人になる、できる男藤堂との純愛ものである。忍が、仕事にも恋愛にも生真面目でとても好青年に描かれている。二人が抱き合う場面はかなり刺激的だが、真剣に恋しているので迫力さえある。ハッピーエンドにいたるまではある誤解もあり、胸がせつなくなるような忍の恋心ゆえのとまどい・苦しみがあるのがこの作品に奥行きを与えている。
紙の本溺れる体温
2002/06/24 08:07
3度おいしい!!
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いつもBLを読んでいる感じで読めなくて、最初はモタモタと読んでいた。ところが途中から俄然面白くなってきた。いろんな人々の設定とか、本当にていねいにしていると思う。そのため読み流せない感じで私は迫られていたんだな、と読後気がついた。Hシーンもとおりいっぺんでは無く、いろいろ工夫されていて2人の心の機微がよく伝わってくる。
3度おいしいについて。人物が良く描かれていてBLとして面白い。Hシーンが読み応えがあること。ミステリーな展開なので結末を知ったあと「シックスセンス」じゃないけど、お手並み拝見的にもう1度読みなおしてみたくなること。この3点がおいしい。
七飯とリョウで、またちがう事件をからめて連作しても充分やっていけると思う。というより、もっと2人の話が読みたいというのが本音である。
紙の本純愛コラボレーション
2002/06/22 20:42
仕事・恋愛・嫉妬・純粋
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私的に久々のクリーンヒットである。野心家の美容師である瑛は、文字通りからだを張って仕事をしている。何の疑問も持たずにアパレル社長に身をまかせ、代償にヘアメイクの仕事をさせてもらっている。そして前向きな彼は、それが自らの上昇していく過程のひとつと思っている。ところが、その会社より独立した陣野というデザイナーに、実は仕事上の感性も含めて惹かれていることに気づいてしまう。
ここからがありきたりではない展開になっていくのがとても読み応えがある。登場人物が(瑛が美人過ぎるのはともかく)等身大に悩む大人として描かれているのがよい。また、いい男2人に思われる贅沢も、瑛には許してあげようと思えるくらい、瑛は一生懸命で好感の持てる若者である。
2002/06/11 08:14
自覚な恋・無自覚な恋
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ある目撃がきっかけでひとり下宿することになった純介は、初対面から同じ下宿の根津に無自覚に惹かれていく。その後、根津の人探しにつきあいながらその恋心を自覚していく。その流れに4人の男性(2組のゲイカップル)と2人の女性(さばけたアイドルちかると聡明な従姉明実)がからみ、奥行きのある話になっている。残念なことは、最後は結ばれていくのだが、それまでの話が充実感をもって読めた分ちょっとつけたしな感じがすることである。BLの宿命?かもしれないが、この作品では有坂に下の部屋に行くよう頼んだところであっさり匂わせるぐらいにとどめたほうが良かった。そして、その後の二人のことや周りの人々のことをもっと読みたかったと思う。
紙の本誘惑の甘い吐息
2002/06/09 16:54
大人の恋愛
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いわゆる大人の恋愛をうたっていても、年齢と状況だけそれらしくしておいて中身は大人ではないというのもBLではありかもしれないし、読み手もチルディッシュなアダルトだったら、そういうのもごく自然に読めてしまうかもしれない。しかしこの作品はちがう。東郷・猛・貴志と年齢差を感じさせる描き方をしていて、しかもそれぞれが大人としての責任感や他に配慮する心を持っている。3人に対して悪役が情けなく描かれているが、これも現実の大人の一面を対比的に表すことで3人の素敵さがこれでもかと増している。結局は東郷がすべてをコントロールし、幸せな結末になるのだ。一番の読みどころは貴志がどれだけ2人に愛されているかである。いわゆる安定した愛がそこにあり、読者はおおいにいやされると思う。
紙の本恋する瞬間
2002/06/07 02:09
新鮮なホームドラマやや?コメディ
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冒頭の掟破りともいえる濃厚なHシーンに、これのどこが兄弟ものなのだと思っているうちに仕組みが明かされていく。会社の接待ではめられた瑞記をまだ見ぬ義弟将斗が救うのがきっかけだが、まるで「渇愛」を彷彿とさせるようでいてまったく違う味を出している。恋愛小説でありながら、登場人物全て(家族4人)が幸福になることに懸命なホームドラマともいえる。瑞記・将斗と2人の視点から書かれているのも変化があって面白い。ただ、突然目の幅涙というコミック的視点に訴える表現を出したり、ちょっとしたお遊び感覚で登場人物をちゃかしたりしているが、これ以上してもらうと読者を馬鹿にしてるのかなと私が感じてしまう限界ぎりぎりのユーモアラインである。
紙の本恋の微熱
2002/06/02 23:01
若気の至りが尾を引いて…
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高校時代駆け落ちというよりも現実からの逃避行を実行した2人。
結局晶人のほうが恭之を裏切った形になった。そして10年後
2人は再会し、恭之の強引とも言える提案で監禁同様に
過去の1週間をやりなおすことになる。当然体の関係も
入ってくるがなかなか最後までは行かない。もどかしくなにもかもが
はっきりしないままいったんは関係を断つが、何を過去に
置き忘れたままにしていたかに晶人が気づき、あることを実行
することで本来の想い人同志として愛に燃える。ハードではないが
抑えた想いがかえってエロチックである。
紙の本今夜はのるぜ!
2002/05/31 19:30
イイ男×2
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乱丸と菖蒲、普通ありそうにない名前のイイ男を2人そろえ、
ミステリーテイストを持たせながら軽いタッチでえがいてある
のでとても読みやすい。2人の家庭環境の差はベタであるが、
そのことで2人の人格に深みを持たせることができているので
上手な設定と思う。外見はともかく、育ちの良い乱丸が可愛くて
仕方がない。菖蒲の気持ちがよくわかる。攻め×攻めというが、
BLの世界では受けは女性の投影だけに包容力があり、結局は
弱さも人間的なところも備えた攻めを受け止めるという役割
分担なので、この作品の流れはとても自然である。
紙の本愛され過ぎて孤独
2002/05/29 20:29
ミステリアス&海の香り
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すごく大胆な人間関係の設定で、最後まで飽きさせない読み物。私が苦手とする年下攻めだが、攻められる方にきちっと1本筋が通っているので安心して読めた。これでもかと読者に提示してくる最後のオチに、現実の人のやさしさを感じて思わず感動した。この設定で不自然にならず、読み手の気持ちをグイグイひきつけていく筆力には脱帽する。