松尾雍正さんのレビュー一覧
投稿者:松尾雍正
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紙の本斬首の美学 ギロチン処刑史「クビを斬る人、斬られる人」
2001/12/11 12:38
職業哲学をときに美学という
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この書籍はサドマゾ趣味を持つギロチン=マニアにはつまらないかもしれない書籍である。というのは、この書で取り扱っているのは快楽としての斬首の美学ではなく、ムッシュウ=ド=パリなどとよばれる首切り職人達の社会史だからである。タイトルにだまされてはならない。この本を読み進めていくと、各種各様なる差別と劣悪なる待遇に戸惑うかもしれないが、なにもこれは首切り職人に限らない。新世紀を生きる僕達の身回りにも「おぞましい」とされる職業が存在するはずだ。しかし僕達が僕達の哲学を持っているのと同様、彼らも彼らの哲学をもって日々生きているのだ。この哲学をときに美学という。目を見開け、見開け。
紙の本謎の大王継体天皇
2001/11/20 11:54
学者の視点による小説とは異なる興奮
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継体天皇に関するこの著作は、考古学と文献考証学、すなわち遺跡文物の検討と記紀・中国史書や過去の古代史論文との徹底的な比較という、まったく気の遠くなる作業をわかりやすいかたちで説明したものである。読書のポイントは王族や中央・地方豪族の位置付けを踏まえることと、継体天皇が越前から樟葉、そして奈良に至る経路を検討することの2点。古代史に興味のない方は無理をして読まなくてもよいと思うが、興味ある方には価値があるだろう。学者の視点による小説とは異なる興奮を味わうことだと思う。
2001/11/20 11:58
新書ながらも小説のごときテンポのよい展開
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日出処天子・聖徳太子(厩戸皇子)に関するこの著作は、作家という自由な視点から、聖徳プリンスの生きた時代を東洋史の一部という視点から説明したものである。この時代の視点・蘇我稲目の娘である小姉君に置いてみれば、彼女の一族が悲惨な生涯を終えていることに気づくだろう。母方に小姉君の血を引く聖徳太子はいかに? 当時の高句麗や隋といった国際情勢をふまえた情報劇、新書ながらも小説のごときテンポのよい展開が目を引く。
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