べあとりーちぇさんのレビュー一覧
投稿者:べあとりーちぇ
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秘密 トップ・シークレット 2
2003/07/16 10:37
清水玲子の真骨頂
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
精密で優美な絵と骨太なストーリー、それが清水玲子の持ち味であるが、忘れてはならないのが細やかな細やかな心情表現であろう。誰にでもある喜怒哀楽を、時にはストレートに、時には思いもかけないところからまるで手品のように取り出して見せ、読者の涙腺を弛ませるのである。
得意のSF分野、しかもかなりハードな設定にうっかりするとグロくなってしまう題材(それが美しく見えるのだからさすがとしか言いようがない)を扱ったこのシリーズ、第1巻も大変読み応えのある素晴らしい出来であったが、どこかに実験作的な印象も残っていた。第2巻はさらに清水玲子らしさを増して、より完成された作品になっている。
主に犯罪者の今わの際の映像を見つづけなければならない第9の人々にとって、異色新人捜査官天地のおとぼけ、コミカルなズレ具合は、もしかすると時に鬱陶しいものだったかもしれない。その彼女が誘拐され、とんでもない脅迫状が届けられる。唯一の手がかりである天地の「夢」を追ううち、主人公は窮地に踏み込んで行くのだが…。
人の幸せとは何なのか。メーテルリンクの「青い鳥」のように、幸せは日常のなんでもないところに潜んでいるのかも知れない。みんな気が付かないだけなのだ。天地の夢の中にいた「青い鳥」はそのことを思い出させてくれる。第9の人々には遅すぎる苦い後悔を伴って。
思わず泣いてしまったとしても、それはあなたが悪いのではない。
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