ヤスヨさんのレビュー一覧
投稿者:ヤスヨ
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紙の本リセット
2001/03/08 11:52
「小説」の存在理由のわかる小説
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「小説が書かれ読まれるのは、人生がただ一度であることへの抗議から」という北村薫さん。その「小説」への想いがストレートにストーリーにされた傑作です。戦争中の芦屋を舞台に、真澄と修一、二人の中学生の時空を越えた恋愛の哀しさ美しさがテーマ。時空を越えた設定だけに、多少無理のある展開があり受け入れにくい人もいるかもしれません。でも、必ず最後まで読んでください。最後の2行で全ての出来事が必然的なものと心の底から信じることができます。少なくとも、信じたいと思えるはずです。読み終わった後、大げさですが「生きていく勇気」をもらい、私はとても励まされました。
啄木を始め、物語の端々に出てくるたくさんの作家や本。そして獅子座流星群。それが物語のテーマである「時空を越えた出会い」にキラキラとした彩りを添えています。
私も小学生のころ、修一と同じように、夜、歯を磨きながら同じことを考えました。「毎日やって来る、こんな平凡な瞬間なんて、絶対に記憶に残らないなあ」と。こんな共感できる箇所がたくさん詰まった小説です。
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