名無しさんのレビュー一覧
投稿者:名無し
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四十回のまばたき
2001/03/22 03:57
あたたかく、やさしく、どこかいやされる。
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売れない翻訳家である主人公の心が、冬になると“冬眠”する義妹との生活や、彼が翻訳をてがけた乱暴であるが温かいアメリカ人との出会いによって解き放たれていく、という話である。
心の奥の方の、うまくいえない、こう何か足りないような、小説の中では“穴ぼこ”といわれる、きっと誰でも感じたことがある、欠落感のようなものと、向き合うことができる本である。この本が、直接埋めてくれる、という感じではない。だから、すこししんどくもなったりもする。しかし、読めば、どこかいやされた気がする。べたべたした優しさは全くなく、ただそばにいてくれるような、素っ気ない、静かな、それでいてとっても誠実な優しさにあふれている。あたたかい、霧のような雨の中を、傘も差さずにゆっくりと歩いていく、そんな感じがした。
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