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【編集担当者コメント】ムルハウスさんのレビュー一覧

投稿者:【編集担当者コメント】ムルハウス

2 件中 1 件~ 2 件を表示

モウズイカのガーデニング狂時代 Essay collection

2001/05/02 06:49

一見、ガーデニングとんでも本、いえいえその実

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 奇妙なタイトルと著者名が暗示しているように、一風変わったガーデニング本である。その原因は、どうやら従来の掟や常識に反しているからのようだ。
●著者は園芸のプロにあらず この手の本の著者は園芸かガーデニングのプロが常識だが、本書の著者は立派な素人。しかし、その腕前はプロも太鼓判を押したほど。本書と同タイトルのホームページはインターネット園芸界一の人気を誇る。
●一つの庭をじっくり四季折々 この手の本では、四季折々の庭の美しい写真は欠かせないが、従来は全然別の庭の写真を並べてお茶を濁している例が少なくなかった。その点、本書は写真を撮ったのも著者自身。庭の移り変わりを、四季はもちろん過去4〜5年にわたって追える。努力と積み重ねが可能にした快挙だ。
●実用とエンターテイメントの両立 本書はガーデニングの楽しさ、面白さを伝えようと、ダジャレ、地口、秋田弁まで繰り出しての大サービス。読み物として無類に面白い。もちろん、実用性も怠りない。「秋田発イングリッシュガーデン」と評される美しい庭づくりの秘密も一挙公開。笑いと実用の両立は、掟破りというより前代未聞かも。
●舞台は北国そのくせ全国版 しかも舞台は、なんと北国・秋田。これも従来の常識から見ると変。しかしながら、北国限定ではなく全国版。なぜなら、本書の最大の眼目は、植物同士のコーディネイトや配色の組み合わせにあるからだ。本書に登場する草花の数350種弱、それを著者はいかにコーディネートしているか? 掲載写真を見れば一目瞭然。だから、植物を知っていればいるほど、得られるヒントやアイディアも多いはず。

 かくて、ガーデニングをお笑いエンターテイメントに昇華させた本書は、植物に無縁な読者の腹をも抱えさせ、同好の士なら膝たたきまくりは請け合い。この点こそ、本書最大の掟破りかもしれない。
(ムルハウス/編集担当者 2001.04.30)

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ちょっと道草緑の地図 Heartful collection

2001/05/02 08:11

大人のための道草読本

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 私たちの身のまわりから自然がどんどん遠ざかりつつある。「なんだか苦しい」、「緑はあっても人の手の入りすぎたたたずまいばかり……」。子どもの頃から木々や草々に包まれるように育ったイラストレーターの青柳さんは、いつ頃からかそんな思いを抱くようになった。
 バージニア・リー・バートンの絵本『ちいさいおうち』の主人家(?)は郊外への引っ越しでその息苦しさから逃れ得たわけだが、青柳さんは自然を生活の中にもっと取り入れることでかつての幸福を取りもどそうと考えた。
 本書は、そんな青柳さんが実践してきた自然と幸せを取りもどすための具体的かつ楽しいレシピ集だ。メニューも、たまたま通りかかった道ばたで見つけたヨメナをご飯に炊き込んでみたり、雨の日の公園に幽玄の桜を見に行ったり、近所の神社でひろったムクロジのタネを鉢で育てたり、室内に干し草の持ち込んでその香りに耳を傾けたり、マツボックリのタネを小さな鉢にまいて小さな松林を再現してみたり、秋の枯葉で自家製ポストカードをつくったり……四季折々、衣食住にわたって多彩だ。しかも、青柳さん自身の手によるおしゃれなイラスト入りでじつにおしゃれ。
 登場する植物はほとんどがいわゆる野草の類で、目をこらしさえすればまだまだ身近に発見できる。ともすると雑草とくくられがちな存在だが、知り合ってみればいずれもユニークな個性の持ち主ばかり、それに普段、意外なところでお世話になっていることも多い。 青柳さんはそんな彼らのそれぞれの個性を尊重し、相手によってそのつき合い方を自在に変えている。そのへんの呼吸はさすが子どもの頃からの「花愛でる姫君」の面目躍如、自然の中の生命を慕う気持ちが簡潔な文章やイラストからもにじみ出ている。
 まるで絵本のように本書全体にふんだんに配されたイラストは、タッチも変幻自在。なかでも、本書のタイトルにちなむ「私の散策マップ」などの絵地図が楽しい。建物ではなく植物が目印のイラストマップ。この角を曲がればあの花に会える、その先の神社ではもうタネがこぼれているかも……、青柳さんの頭の中にはそんな絵地図が何枚も何枚もあるようだ。
 忙しさに追われて、めったに道草をしなくなってしまった私たちに、本書は道草の楽しさや、自然を日常にスマートに取り入れる術を楽しく教えてくれる。お勉強モードの肩肘張った自然観察ではなく、これ見よがしなガーデニングでもなく、もっと自然でさりげない、身のまわりの身近な植物たちとの普段づきあい。こういうのが本当の贅沢というものかもしれない。
(ムルハウス/編集担当者 2001.04.30)

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