樟 さんのレビュー一覧
投稿者:樟
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小説新潮 2002年3月号
2002/03/16 12:19
二人のアイドル
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いつもは画家の方のイラストの表紙が、三月号は江國香織さんと川上弘美さんの写真になっています。それまではごくふつうに、「江國香織さんが好き」と言えたのですが、写真を持って「江國さんが好き」とか「川上さんが好き」と言うと、なんだか「アイドルが好き」と言っているみたいで、すこし照れくさくなってしまいました。きれいなひとの写真を指して「好き」と言えば、「小説が」ではなく「ご本人が」と思われるのは当然のことなのかもしれません。
もちろん著者も小説も好きなのですが、個人的には普段は手の出しにくい、詩や俳句にいちばん惹かれました。折りしも『ダ・ヴィンチ』三月号で、江國さん「おっぱい」を題材にした投稿イラストを目にしたばかり。川上さんを初めて知ったのが何年か前の『小説新潮』新春句会だったというのも、俳句に惹かれる理由のひとつでしょうか。二人の魅力がいっぱいつまった雑誌です。
奇商クラブ
2001/12/14 16:34
表題作よりもむしろ併録の二作が大傑作
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奇商クラブ——その会員は、既存の商売の応用や変形ではない、完全に新しい商売を発明しなければならない。
しかし著者自身が定義したこのクラブの条件が、作品上で厳密に守られているとはいえない。多くの商売は、詐欺、周旋業、大学教授、裁判官、と、既存の商売名で説明できるものの応用なのだ。
だから作品自体の興味も、どんな奇商なのか、にはない。奇妙な出来事が、珍妙な新商売とどう結びついているのか、それをチェスタトン一流の逆説とユーモアで解き明かしてゆく、その過程にある。そしてそれは、一部の作品で見事に成功している。
併録の「背信の塔」や「驕りの樹」と併せて、結果だと思えたものが実は目的だったとわかる過程の、逆説に満ちたロジックは言いようもなく素晴らしい。
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