くろこさんのレビュー一覧
投稿者:くろこ
空の食欲魔人
2002/07/29 23:02
お腹すくなぁ・・・
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
表題作を始め、「食べ物」に関係する物語が多く収録されている短編集。川原さん独特のほんわかのほほん加減が気持ちよく、登場人物たちの食いっぷりも素晴らしい(笑)
私的に好きなのは「不思議なマリナー」で、お嬢様学校の女学生でありながら釣りが趣味という地味ーな女の子と、同じく釣り人でおっそろしく童顔で高校生のような男の人との、ちょっとずれたのんびりした会話が楽しいです。
この本を読むとものすごくご飯が食べたくなります。元・釣り人(すっかり時間がなっくなっていけない)としては、楽しそうな釣りの風景にうらやましくってウズウズです。
デミアン
2002/02/11 12:55
少年像がナイーブ
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
なんと言うか、ミステリアスなお話です。主人公の少年・シンクレールに近づいてくるデミアンという謎の少年。物語はシンクレールの視点で描かれます。
少年が抱いている、思春期独特の正体不明の不安、漠然とした恐れや悩みがストレートに表現されていて、人の思考や内面が鋭く書かれていると思います。ヨーロッパ的なのかどうかはわかりませんが、描写がすっきりしていて綺麗です。
道徳的というか、教養的な小説だなと思いました。
半神
2002/02/12 11:46
16Pのドラマ
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
いろんなお話の入った短編集です。表題作の「半神」。凄いです。鳥肌モノです!! たった16Pだけなのにこの中にはたくさんの事が織り込められていて、読んでいる最中も、読み終わった後も考えさせられるお話です。決してオーバーな表現ではなく、この萩尾望都さんは天才なんじゃないかしらと思ってしまいます。人の心の暗い部分を描いているところでは、自分の心の中を見透かされているようでドキドキします。
双頭の悪魔
2002/02/11 12:44
様々な孤立
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傷ついたまま大学を去った有馬麻里亜。心の傷を癒すために一人旅に出たマリアは、四国の奥地へとたどり着く。山の奥深くにあるそこは、芸術家たちが集まる孤立した村だった。
英都大学推理小説研究会(EMC)のメンバー・有栖川有栖ら4人は、彼女を連れ戻すために四国の村へと赴く。しかし村の芸術家たちは嫌悪感をあらわにして彼らを拒絶し、マリアを見ることも声を聞くこともできない。豪雨にまぎれてやっと村に侵入できたのは江神部長だけで、アリスらは二手に分かれてしまった。その後、雨で橋と電線が使用不能になり、互いに連絡が取れない状態になってしまう。江神・マリアらの村で殺人事件が発生し、またアリスらの待つ村でも殺人事件がおきる。
決して行きかえない二つの村で連続しておきた事件には、どんなつながりがあるのか?
前作の「孤島パズル」をうけた、江神・アリスのコンビ・シリーズ第三作目。いつもはアリスの一人称で語られる物語が、この本では舞台が二つに分かれるため、語り手もアリスとマリアに分かれ、二人の一人称が交互に現れる。
前作をうけているというのは、マリアが旅に出るきっかけになっているのが前作での事件だからなのだけれど、この本だけで十分に楽しめるし、前作を読まないと犯人が解らないということは絶対にありません。
「読者への挑戦」が3つも入っている超大作。すごいです。創り込んであるなぁと思う作品です。二つの舞台で二つの物語が同時に進行していくサスペンス感が!! おもしろいです。
ステップファザー・ステップ
2002/01/03 22:52
双子がめっちゃカワイイ!!
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プロの泥棒が仕事中、落雷に打たれて転落した。気絶していた彼を介抱してくれたのは、忍び込もうとしていた家の…隣に住む中学生の双子の兄弟、哲と直だった。仕事をドジったうえに、子供に助けられてしまった泥棒。二人の子供は心やさしき天使か、それとも?
半年前に出て行ったきりだという彼らの両親の代わりに、渋々「お父さん」をやるはめになった男だったが、双子と一緒に暮らすうちに、だんだん情が移っていく。
テンポのよい会話の中に、笑いも涙も愛情も詰まっている、コメディタッチのミステリー短編連作集。最初は嫌がって「お父さんなんて呼ぶな!」とか言ってるけど、双子に「お父さん!」って呼ばれるとちゃんと反応して、あれこれ心配しているあたり、「お父さん」の愛を感じます。
家族って血の繋がりだけじゃないんだなぁと思う、読むと幸せになれる、あったかい本です。
今夜は眠れない
2002/01/03 22:45
たくましく生きようぜ!少年
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僕(緒方雅男)は平凡な中学一年生で、平凡な日常を送っていたが、ある日、とある男がお母さんに5億円を遺贈したことがきっかけで、僕のそれまでの日常はガラガラと崩れ去ってしまった。マスコミに追いかけまわされたり、嫌がらせをうけたりで散々な目にあってしまう。その上お父さんは家出していまい、ごく普通だった僕の家庭は、今や家族崩壊一歩手前!!
僕は、男がなぜお母さんにそんな大金を残したのか、その理由を探るべく、親友で将棋部のエース・島崎俊彦と一緒に調査を開始した。
本のページのはじっこに描いてあるパラパラまんががちょっとうれしい。ミステリーだけじゃなくて、少年たちの冒険モノとしても楽しめる、明るい青春小説。でもその一方で、彼らの目を通して見える世界に、家族のあり方や、友情、人の心といったものについても考えさせられる作品である。
冒険だし、友情だし、男の子っていいなーと、ほんとうにうらやましい気持ちになります。
実録・外道の条件
2001/07/15 18:02
闘え!!
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よく、人生を道に例えるけれど、その道には《外道》がいる。右へ行っても左へ行っても、電車に乗ってもサボって放浪の旅にでたとしても、《外道》に会ってしまう。いるところにはいるのだ。この本の著者は、さまざまな《外道》と闘い、叫び、理不尽な出来事に怒っている。詩人であり、ロッカーであり、俳優であり、作家である著者の闘いの記録を、腹をかかえて大笑いしよう! だが、くれぐれも、電車の中や病院の待合室や授業中の内職中や絶体絶命の状態などでは、読んではいけない。
ハサミ男
2001/05/23 19:04
不完全な殺人者と完全な犯罪
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連続美少女殺人事件。これまでに二人の犠牲者を出し、被害者の体にハサミを突き刺す、その犯行の残酷なスタイルから「ハサミ男」と名付けられた犯人は人々の記憶から消えようとしていた。しかし半年の空白を経て、再び少女が殺害される。過去の少女達とあまりに酷似した死体は「ハサミ男」の再来を示しているのか? この事件を追いつめていくのはいわゆる「名探偵」の、超人的な人物でも、一人で全てを解決してしまうヒーローでもない。事件にかかわる者たちがそれぞれに思い、行動し、様々な視点から事件は展開していく。交差する人物と思考。切りかわるスピード感。リアルタイムで心の中を覗く様な感覚に困惑し、引きずられながら迎えるシリアル・キラーな結末は……恐ろしくて、とても素敵。
古事記
2002/06/10 23:18
日本最古の歴史・文学書
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日本最古の歴史・文学書 ★★★
天皇の命により稗田阿礼が暗唱し、それを太安万侶が書き留めた、帝記と旧辞を合わせた日本最古の…といえば誰もが一度は覚えた記憶があるはず。神代からの皇族の流れを中心に、神話・伝説・歌謡を幅広く集めた有名な書物です。
イザナギ・イザナミの国生みやヤマタノオロチ、黄泉国の話などは文化の伝承性を感じさせ、また現在までに様々な作品に影響を与え、日本文化のルーツとなっていると思います。今なお不明な点もあり偽書説も唱えられていますが、本物であっても偽物であってもとても面白い文献であることに変わりはないでしょう。
存在を覚えるだけで、なかなか個人の読書対象になっていないと思いますが、授業を離れて読むと結構面白かったりします。
古事記の序文の中に稗田阿礼の紹介文として「…一度見たり読んだものはすぐ口にでき、聞いたものは暗唱した…」というような記述がありますが、ここを読むたびに「一体どうゆう頭の造りをしとるんだこの人は!」と思ってしまいます。
暗記の嫌いな人としては本当—に羨ましい!!
田辺聖子の小倉百人一首 カラー版 上
2002/05/15 22:32
古典現代風味
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百人一首と聞いて思い浮かべるのは、高校時代に『学年・クラス対抗! 大百人一首大会』のために無理やり暗記させられたことと、坊主めくりをした時に必ずといって良いほど誰かが蝉丸でもめるという、なんともレベルの低い思い出ばかりです。
学校の授業から逃れても、どうにもとっつきにくくてつまらないというイメージを持ってしまいがちな古典の世界ですが、この本では、古くから日本人に愛されてきた和歌を現代人にも分かり易く、共感できるように訳し、歌の魅力を教えてくれます。
特に恋歌には、人の気持ちは変わらないなーと思わされます。
全ページ・カラーのイラストが美しく、歌により一層の情感を与えています。
ゆったりとした気持ちで、言葉の面白さと雅の色香を楽しんでください。
NARUTO秘伝・臨の書 キャラクターオフィシャルデータBOOK
2002/07/30 00:55
設定細かいっスね・・
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NARUTOファンのための公式キャラBOOK。ファンにはたまらないであろう、あの人のあんな情報やそんな小ネタが満載です。
カラーページや読者投票、直筆設定画などなど盛りだくさんな豪華本。特別読み切りマンガ「木ノ葉外伝・一楽にて・・」も単行本初掲載されています。
甲子園の空に笑え!
2002/07/29 23:23
良いですね、スポーツ。
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こんなにもゆるーい野球マンガがあったんですね・・と目からウロコ?の表題作を始め、フィギアスケート、ゲートボールなどのがメインとなったスポーツもの短編集。「甲子園に〜」は「メイプル戦記」読む前には必ず読んで欲しい!「メイプ〜」に辿り着く以前の、下地となる物語なので、読んでおいた方がより楽しめます。
のほほんとして全体的にゆるーい感じで、和みたいときに読むと効果絶大ですが、侮るなかれ。うっかりしていると、なまじ物語の雰囲気で和んでいるだけに、感動して泣いてしまいます。
私的に好きなのは「銀のロマンティック・・・わはは」で、すごくいい話です。タイトルに現れていると思われる作者の「テレ」も微笑ましいと思います。
妄想炸裂
2002/07/19 00:14
乙女と妄想の日々
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世の中にはこんな爆走全開な人がいるんだ…と、読み終わった後に何だか妙にしみじみとしてしまう、ある意味人生応援本(笑)な、エッセイ集。
もう笑えます。何考えてんだこの人は!! と本につっこみを入れたくなって、実際に入れてしまいました。
バイト先の人と、某「まんだ●け」で友情を確かめ合い、文部省推薦の児童文学を素晴らしい想像力と煩悩で解釈し(すでに別モノ)、クリスマスイブにバイトをしながら世界を呪い、一人コスプレしてみたり、著者的ステキな二人連れ(…あえて伏せます)を発見して胸をときめかせる。etc.etc.
目眩く三浦しをんワールドが展開されています。
著者の頭の中で繰り広げられることもすごいのですが、その読書量も半端ではないようで、なんでこんなこと知ってるんですか?!と思うようなことが書いてあります。
古本屋さんでバイトをしながらマンガと本を読み漁る日々…一体どれだけ読んでるんですか…。
そして三味線を習い、盆栽に心惹かれる2●歳。
……謎です。でもすんごい面白い。こんな人友達にいたら、さぞかし楽しい日々が送れることでしょう。
あたしってダメかもしれない…などと思っている方、ぜひ読んでみてください。きっと励まされると思います(かなり微妙ですけど…)。
舞姫 1 (MFコミックス)
2002/07/18 23:02
指先まで美しく
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本とコミックの情報マガジン「ダ・ヴィンチ」に連載されている長編バレエ漫画です。
描かれる絵はシンプルで繊細。しかし的確に人の体を表現し、ラインが美しい。
バレエシーンのポーズと、舞台空間の美しさに吸い込まれます。バレエの華やかな魅力が溢れていて、雰囲気抜群です。
ただ美しさを表現するのではなくて、登場人物も変わっていると思います。これまでのスポ根ヒロインではなく、ごく普通のバレエが好きな女の子が主役で、より日常的なバレエの世界が描かれているのではないでしょうか。
主人公の篠原六花と対称的ともいえる須藤空美という2人の少女が、物語の中でどうなっていくのかがとても気になります。
やっぱり、憧れの存在だなーバレリーナって!!
ダリの繭
2002/02/25 13:55
ダリの繭
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シュールレアリスムの巨匠、サルバドール・ダリの熱烈な支持者であった宝石チェーン店の社長が殺害された。被害者は経営する店の成長ぶりと、オーナーである彼自身のダリを真似たユニークなキャラクターで、マスコミにも取り上げられた事もある有名な人物だった。
現場となったのは神戸にある被害者の別宅。誰もいないひっそりとした家の中で、死体はフロートカプセルと呼ばれる、まるで巨大な繭のような装置の中に裸で浮かんでいた。そして不思議なことにその死体からは、生前、被害者のトレードマークであったダリを真似たヒゲが剃り取られ、なくなっていた。
この事件に勤め人時代の知人がかかわっていたアリスは、火村と共にフィールドワークとして事件の捜査に参加するが、その中で、事件の関係者たちがそれぞれに抱く逃避のための「繭」の存在を知り、アリス・火村らもまた、自分たちの持つ「繭」に向き合うことになる。
推理作家・有栖川有栖と犯罪社会学者・火村英生コンビのシリーズ作品。物語に登場する「フロートカプセル」とは、特殊な溶液を満たした蓋付きのタンクで、この中に裸で横たわり、胎児が母体にいる時のような状態を再現し、その無重力の闇の中で心と身体を癒す器具だそうです。このカプセルを使った死体の登場シーンが印象的だなと思いました。
物語ラストでの登場人物たちの心情や、セリフ一言一言に心を動かされます。
