ふこをさんさんのレビュー一覧
投稿者:ふこをさん
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ディズニーとライバルたち アメリカのカートゥン・メディア史
2004/07/22 01:05
誤植・間違い・でたらめを抜きにして、評してみる。
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本書はアニメーションの巨人、ウォルト・ディズニーの人生を中心に、彼と同時代に生きたもしくは彼の先輩に当たるアニメーション作家(もしくは製作者)とその活動を記したアニメーションの歴史である。
しかし作者の目はほぼウォルト・ディズニーその人のみに向けられており、他のアニメーション作家はつけたしレベルの記述にとどめられている。加えてウォルトの死後はディズニー・プロの事柄すらろくに描かれていない。その為本書は単なるウォルト・ディズニーの非公式な伝記にすぎないという印象が強い。
また、本書はカートゥーンに影響を与え続けた映画というメディアの設立や、アメリカの初期カートゥーン初期に多大な影響を与えた新聞漫画やフランスのエミール・コールの作品等、アメリカのカートゥーンの成立と成長に寄与した周辺史に対するアプローチが全くない。著者は本書序文で、それらを意識して除外していると主張している。もちろん除外すること自体はかまわない。しかし著者は本に書かない事は調査しなくてもいい、という誤った考えをもってこの本を執筆しており、書かなくてもいいことを書き、書かなければならないことを抜かしている様に思う。第一、書かない事にしていようが周辺史を全く調べずに歴史が書ける物だろうか。本書を読むと著者のそれらに対する不勉強(周辺だけでなくアニメーション自体さえもだ!)が透けて見えてしまうのだ。著者は早稲田の教授だそうだが、できれば学生達にはそんな思想を教えないで欲しいものだ。
本書についての研究ページ
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