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笹丸さんのレビュー一覧

投稿者:笹丸

3 件中 1 件~ 3 件を表示

紙の本魔法使いハウルと火の悪魔

2001/06/15 21:08

元気をだした女の子必見!!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 今夏『千と千尋の神隠し』が公開される宮崎駿が次回作の候補として考えているこの作品は、今もっともブレイクしそうな予感のする一冊です。

 主人公は、魔法の国インガリーで帽子屋を商う家の3人姉妹の長女ソフィー。後妻の母親と妹達と仲良く暮らしています。だけどある日お父さんが突然亡くなり状況は一変してしまいます。次々と奉公にだされる妹達とは反対に、ソフィーは長女だからという理由だけで好きでもない帽子屋の商売を継母から押し付けられてしまうのです。
 妹達がのびのびと奉公生活を送るのを横目にしながら毎日毎日狭い店で帽子づくりに追われる日々で性格もおどおどしがち。
 「私だって、帽子づくりなんかよりももっと面白いことがしてみたい!」。そう思いはするのに、肝心の何をしたいのかということが自分にははっきり分からないのです。そんな時、荒れ地の魔女に身に覚えのない誤解をうけて90歳の老婆になる魔法をかけられてしまってから、ソフィーの冒険が始まります。
 弱気な女の子が、突然90歳のおばあちゃんになったら自分を縛る足枷が急になくなったもんだから、暴れること暴れること。
 性格もまず自分第一、言いたいことを言うしやりたいことをやるしで、かつての妹達に対してとても面倒見のよかった優しい長女ソフィーの面影はどこへやら。読んでいてそんな彼女の変貌ぶりがめちゃくちゃ気持ちいい。
 女の子でしかも長女だからっていうだけで我慢を強制されてきた女の子が、本当の自分自身をみつける話は、いろんな意味で現代女性の心を勇気づけること請け合いです。
 この本は、心の優しさも大事だけどそれにも増して、自分が何をしたいのかを自覚し、それを守ることの大切さを、そして大人しくて優しいだけの女の子よりも、元気で物怖じしない女の子の方がずっと魅力的なんだということを読み手に教えてくれるすてきなお話です。近頃落ち込みがちなあなた、是非手にとって読んでみて下さい!

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リフォームした貴石の輝き

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 『万葉集の恋の歌をポップスの歌詞のような感覚で翻訳した現代語訳と「今」を切り取ったヴィヴィットな写真のコラボレーションによってリミックスした写真詩集』っていうコンセプトの文庫なんだけど、これが結構おもしろい。

 原歌よりも先に写真と現代風意訳がでてるのも、読み手の想像力を刺激してマル。

 内容はこんな感じです。

「身に起きることすべてを
 会えるシグナルと信じて
 あなたは待っててくれるかな?」

は、

「眉根掻き 鼻ひ紐解け 待つらむか 何時かも見むと 思へるわれを」

になります。

 うーん、削れる限り削り取って今風にリフォームした貴石って感じですね。形こそ違うけれど色は一緒っていうか。

でもね、万葉集の恋の歌ってエッチなんだよね。けっこう、現代語訳するとヤらしい…。きゃー。あんな訳やこんな訳があるう!

…どきどき。

 いにしえ人の熱い思いをリアルに現代に蘇えらせたらこんな風になっちゃったていう本です。

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切実な暴力表現

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 「ある悲しみの物語を語ろう」
 という言葉で始まる萩尾望都の『残酷な神が支配する』という作品が、最近10年近くかけた連載を終了させて完結しました。この作品は間違いなく30年まんが家をやっている萩尾望都にとって代表作となる傑作で、彼女が「愛と暴力」という重いテーマに真正面から取り組んだ本当に素晴らしいマンガです。
 この話の中では、目を背けたくなるほどの暴力行為(家庭内における性暴力)が的確にそして丹念に描かれているのだけど、その全ての表現は作品ラストまで通じる1本の確かな糸でつながっており、10年間それを途切れさせなかった作者の力量は計りしれないものがあります。これほど濃密で上質な作品を生み出せる才能って希有です。けっして刃こぼれしない剣といった感じで話に矛盾がなく完璧なのです。こうした作者のストーリーテ−リングの技術に裏打ちされて、作品冒頭の言葉はラストで実感をもって立ち上がり、大きな感動となって読む人を襲うことになります。

子供は親の人生にとっての「サクリファイス」だと、
世界がいまだ壊れないのはその存在のおかげだと、
「神」が供物をほしがるのは、
「神」の世界もまたこわれ続けているからだと、

 ラスト近くそう言い切ってしまう作者の過激さと潔さは、不幸の連鎖を断ち切ることよりもそれ自体からどう人間が立ち返ってくるかに目を向けていて、その真摯さにとても共感できます。
 ラストでようやくタイトルの「神」とは子供にとっての「親」の隠喩だと気付かされた私は相当迂闊だなーと反省しつつも、作者の深謀遠慮に感心してしまいました。
 けして、楽な読み物ではないけれどその分自分の中に確実に何かが残すことができます。気持ちの体力に自信のある方、挑戦してみて下さい。

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