ハンニバルさんのレビュー一覧
投稿者:ハンニバル
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2001/05/31 01:32
up-to-datemostsophisticatedcomedy!
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ソフィスティケイトされた…なんて使いなれない形容を思わずしてみたくなるのが、『Wings』に好評連載中のこの作品。待ちに待った第2巻がついに発売された。
同誌は女子中高生向けのコミック誌だが、洗練された(そして異様に長い)ダイアローグ、潔いまでにシンプルな画面構成から、むしろこの作品は都市型スノッブ層にしっくりくる。映画でいうとウッディ・アレンあたり(?)が好きな人にお薦め。「マンガなんて」とふだんは敬遠している人にこそ読んでほしい。同じジャンルだと佐々木倫子『HEAVEN』が思い当たる。コメディなのに涙あり、というところもなんだか似ている。『HEAVEN?』を読んで気に入った人は、この作品もきっと楽しめるだろう。
作品の舞台は住宅地にたたずむ小さなケーキ屋『アンティーク』。ケーキ屋なのに午前2時LO、2時半閉店。おすすめは一流パティシエの手による季節の旬のケーキ、例えば春なら「苺とホワイトチョコレートのムース。中に入ったとろとろの苺のコンポートとライムのシロップをたっぷりにじませたジェノワーズ、そしてミルク風味のホワイトチョコレートのムースが絶妙のハーモニー」。そしてこれをアンティークの食器に贅沢に盛りつけてイートインでゆったりと味わう…。こんなお店が近所にあったらどんなにいいか! 理想のケーキ屋という現実的なコンセプトを提案しているだけでも、作品の価値はある。
もちろん中身だって面白い。店長の橘は財閥一家の孫で東大卒、一流商社に勤めながらある日とつぜんケーキ屋を開業することを決意した。理由は「客が女ばかりだから」。そこで出会ったのがちょっと気弱で女の子が苦手な天才パティシエの小野。その夜の顔はなんと『魔性のゲイ』(!)。そしてパティシエ見習いの神田は元ボクサー。2巻ではさらに、橘の幼ななじみで橘家「家政夫」のダメダメ男・千影が加わる。店を訪ねる常連客はどれも個性的な顔ぶれ。うまいケーキに美男ぞろいときては、当然ながら流行りまくりなのである(最近の連載ではついにTV取材まできている)。次々と起こるハプニング。そのなかで、互いに理解しあい、またそれぞれの過去と向かい合う…。
作者のよしながふみは、ボーイズ系出身。同人誌はネットオークションで最高額をつけるというからその世界ではすでにトップクラスの人気だろう。この作品で一般(?)向けデビュー。最近たてつづけに新聞や雑誌で紹介されているから要チェック。近々大ブレイクの予感だ!!
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