河原 浮さんのレビュー一覧
投稿者:河原 浮
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知事のセクハラ私の闘い
2001/06/25 02:36
性暴力被害者の置かれる困難な状況、生々しく描く
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この手記を読むと、被害者の彼女がどれほど心身ともに傷つきながら闘っていたのかよくわかる。特に、告発後の周囲の人々からの攻撃的反応や、マスメディアを通じたバッシングはあまりに生々しく、痛々しい。
ときに支援者や弁護士とのあたたかい交流が描かれ、ほっとさせられる部分もあるのだが、やはり全体を貫くトーンは、この社会において性暴力被害者の置かれる困難な状況をリアルに認識させるのだ。
何よりも一番被害者を傷つけるのは、周囲の人々の無理解、認識のギャップである。家族や親しい友人にさえ受け入れられない痛みは、どれほどのものであったろうか。
私たちの現在の社会では、多くの被害者が彼女と同様の状況に置かれるのである。この状況の変わることを心から望みたい。
民事・刑事裁判の手続きの流れに関しても、被害当事者の目から具体的に記述されており、様々な面であとに続く人々への大きな参考になるだろう。
もっとも、被害者にとって裁判を起こすことが唯一の解決ではないことについての配慮もある。
一人でも多くの人に読んで、性暴力をめぐる困難、被害者の置かれる状況について深く考えてもらいたい。
関心のある方は、性暴力被害者(サバイバー)の立場から「被害者よ、勇気を出すな」と発言を続ける、高橋りりす『サバイバー・フェミニズム』(インパクト出版会)との併読をすすめたい。
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