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梶原那穂子さんのレビュー一覧

投稿者:梶原那穂子

7 件中 1 件~ 7 件を表示

紙の本

紙の本マレー鉄道の謎

2002/06/14 00:19

本格ミステリマンセー!

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 私の足元は私の目から落ちた鱗でいっぱいです。

 推理作家・有栖川有栖と犯罪社会学者・火村英生がマレーシアを訪れたのは、学生時代に同じ大学で留学生だった友人・衛大龍に会うためだった。キャメロン・ハイランドにある彼の経営する宿を根城にのんびりと観光する二人は、街で日本人の若者とマレーシアの青年とが言い争いをしているところに出くわす。争いの原因は、マレーシア人青年の妹に日本人の若者がちょっかいを出したことだったらしい。ともかく二人はその場を抑える。その翌日、観光して宿に戻ろうとする途中、路上で立ち往生している車を助ける。乗っていたのは、このあたりでは有名な日本人実業家の妻と、そのメイド。彼女らのはからいで、実業家の家のお茶に招かれるが、その庭で事件は発覚する。用途もなく放置されていたトレーラーハウスの中で、昨日喧嘩をしていたマレーシア青年が死んでいた。メイドが泣き崩れる。死んだのは彼女の兄だったのだ。状況は自殺とも他殺とも断定できない。最も不可思議なのは、トレーラーハウスの窓やドアが、粘着テープで内側から目張りされていたこと。つまり、現場は密室だった。

 タイトルだけ決まっていてなかなか世に出なかった、火村シリーズの長編。約4年間の待ちぼうけは無駄ではありませんでした。文句無しで面白い本格ミステリです。真っ向勝負、純度100%の本格です。美しいロジックというのはこういうのを言うんですね。しかもお膳立てされた密室はご丁寧に目張り密室。全編を通してみても、帰国のタイムリミットに追い詰められながらどんどんと深まる謎に足を取られっぱなしという緊迫感、登場人物に与えられた属性という布石、あるいはその駒の動かし方とそれに伴う不在証明、そしてロジックの展開とその先のカタルシス。どれをとっても緻密に検証されていて、溜め息が出ます。いやほんと、最後の駄目押しで参りました。『双頭の悪魔』以来ですよ、ぐうの音も出ないほどの有栖川作品は。
 ま、4年という月日の対価としてはこのくらいやってもらわないと。

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紙の本

紙の本新宿二丁目のほがらかな人々

2004/02/01 01:23

性別を超越する「カッコいい生き方」

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 おしゃれとセンスはゲイに学べということで、この本に書いてあることを実行すれば、間違いなく本物のセレブだし、なおかつ、本当の意味で精神的に豊かな人生というのを満喫できると思う。しかし、しかしだよ、まずは金が要る…。金がなくてもできることもあったりするけど、その代わりに時間が必要だったり、実現はなかなか難しい。でも、よく考えてみると、やろうと思えばできることばかり。最後の方の章で語られているように、実現のために具体的に予算なり計画なりを考えて、そのために努力(たとえば貯蓄)を怠らなければ、目標は必ず実現する。いずれにせよ、老後は生きていれば誰もが直面する現実問題だし…貯蓄しないといけないなぁ。

 実現可能だと思えるから、他のセレブ指南書のようなものよりもずっと近しく感じられる良書。カッコいい生き方には、ゲイもノンケも関係ないですね。性別を超えるってこういうことか。読んでいると、そのうち、この人たちがゲイであることを忘れそうになります。

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紙の本

紙の本邪馬台国はどこですか?

2001/10/03 18:05

敵にまわしたくない説得力

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 松永がバーテンダーをつとめるバーには3人の固定客がいる。大学教授の三谷、世界史のスペシャリストの静香、素性はよくわからないが、在野の歴史研究家と思しき宮田。松永が楽しみにしているのは、宮田VS静香の歴史バトルだ。何しろこの宮田という男、「邪馬台国は東北にあった」だの「明治維新の黒幕は勝海舟」だの、教科書にない突飛な自説を平気な顔で言い放つものだから、歴史研究で才媛ぶりを発揮している静香は、強気の性格も手伝い、黙っていることができない。ところが、一見デタラメに聞こえる宮田の説はきちんとした根拠に基づいており、彼のディベート能力がそれを強く後押しし、痛快なまでに静香の信じてきた定説を捻じ伏せてしまう。
 私はそもそも歴史ミステリというものにハードルの高さを感じていて、それはつまり、読む以前に求められる予備知識に他ならず、したがってすすんで読もうという気すらなかったし、これからもそうだろう。けれども、この本はこれまで持っていたそういうイメージを覆す歴史ミステリで、この本ほど気軽に、そして惹きつけられながら読める歴史ミステリ(おそらく)は他に存在しないのでは、とさえ思った。
 論法が理路整然とスマートで、しかもユーモアがそこかしこに仕掛けられているのでぐいぐい惹きつけられる。毎回毎回、気が強く自信家でしかも美人の静香が、ぐうの音も出ないほどに説き伏せられるというパターンがこれまた痛快。そして、なんと言ってもその内容。信じる信じないは読者に委ねられてはいるが、これはもしかするともしかするかもしれない。作者の説得力には感心するばかりだ。

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紙の本

紙の本堕天使殺人事件

2001/10/22 12:18

リレーミステリの楽しみ方とは何ぞや

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 やはり、作家の立場になって読むのが面白い、と言ったら作品を執筆陣の諸先生方に失礼かもしれない。だが、自分の次以降の作家を困らせてやろうと言う意図や、収拾のつかなくなりつつある物語をどのように結末へと導けばよいのかと言う苦悩が、ストーリーの波乱振りに見て取れる。それにしても、リレー小説と言う一種のお祭りみたいな雰囲気だから許される程のすごい波乱模様。
 北海道の小さな新聞社に送りつけられたビデオテープ。写っていたのは、作業台の上でバラバラに解体される女性の死体と、ヒグマのような容姿の男と、性別不明の長髪の人物。差出人は…《堕天使》と名乗った…。その後、複数の女性のバラバラ死体のパーツを組み合わせて作られた合成死体は、ウエディングドレスを着せられて発見される。そのウエディングドレスのデザイナーは、過去に「フォーリングエンジェル」と言うシリーズのドレスをデザインしていた。そのデザイナーも密室状況で殺害される。一方、北海道の原野の真ん中、迷い道に止まったままの一台のバスの中で、男性ばかり8体の死体が発見された…。
 さてどうだろう。ここまでだけでも本格ミステリのお約束が一通り揃えられている。バラバラ死体、血染めのウエディングドレス、連続殺人、密室…。ところが、書きつながれるうちに、不可能犯罪が次々と起き、整合性の確立など出来ないとしか思えない状況が雪だるま式に増える。読んでる読者は「どうすんの、これ…」と狼狽するか、「いいぞ、もっとやれ! 」と快哉の声をあげるかのどちらかだろう。これぞ、リレー小説の醍醐味、と私は考えている。最終的には、覆さなければならない推理や、否定しなければならないシチュエーションという事になったものも多いが、それでもついた決着にはある程度満足できたと思う。
 これはイヴェントなのだ。リレー小説と言う。だから、あまりつっこんだ事は考えないで楽しむ事にした。

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紙の本

紙の本グッドモーニング・コール 1

2001/09/19 13:23

お約束と侮ることなかれ

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 吉川菜緒は、中学卒業までの約半年間、一人暮らしをする事になり、明日から夏休みというその日に新しいマンションへ引っ越した。ところが、インチキ不動産屋がその部屋を二重契約していた上、仲介料を持ってトンズラしてしまった。結果、同じ中学で「御三家」と呼ばれる超絶美形の上原久志と同居する事になってしまい…!?
 少女まんがのあらすじ紹介風に書いてみた。りぼんのまんがの何が良いか。それはもちろん、夢を見させてくれるところだ。アイドルの主人公や、変身モノ、他にもいろいろ。少女まんがの読者が見る夢には、いくつかの黄金パターンがある。今回の、超絶美形と同居するというパターンも、同じりぼんで遡っても容易に前例を上げられるが、「お約束」は「お約束」であるがために、より個性を求められる。この話の個性は…少女漫画の必須アイテム「ときめき」を伴った絶え間ないハプニングと、重すぎない不安の連続。ただ、全体のテンションがわりと高いので、「不安」が中途半端なときがある。この不安定さを狙っているのか、そうでないのかは分からない。
 絵柄はというと、描き慣れた安定感がありかなり巧いが、女の子は如何にもりぼんという感じ。りぼんで懸念すべきはこのワンパターンな絵柄だったりする。りぼんの作家の絵はどこか似通っているのだ。ところが、本作の男の子(特に上原)は、「美少年」とは表現しがたい雰囲気をまとっていて、全くもってりぼんらしくない。あかぬけている。便宜上「美形」と表現せざるをえないのが悔しいところだ。

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紙の本

紙の本ロミオとロミオは永遠に

2003/02/19 12:19

楽しめるかは読者次第

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 読み終わった瞬間、「え、これで終わり?」と思いました。話の本筋的にはきれいないい終わり方なので、続きが読みたくてそう思ったのではありません。説明が足りてないと感じたからなのです。
 これも恩田節といえないこともないのですが。やや苦笑。
 校長とかオサムとか、そのあたりにもっとエピソードがあってもいいと思うのですが、本筋を描くのに忙しくてストーリーの厚みがやや乏しいというか、うまく展開してたのに急に失速して視界から消えた感じです。
 設定のマニアックさから、作者が本当に楽しそうに書いている様子が伺えます。アリでしょう。一緒に楽しめるかどうか、読者は試されているのかもしれません。
 一応学園ものですね。恩田の学園物は面白いと定評がありますが、これも面白いといっていいと思います。おすすめするのであれば、相手を選びたいですが。

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紙の本

紙の本悪魔と詐欺師

2001/09/19 13:08

読者層が限定された気がする

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ターゲットとする読者層が限定された気がする、というのは穿った見方なのでこれ以上言及しないが、一部の読者が異常に喜んだのは事実。
 9月10日、刑事・高遠三次がお見合いの為にやってきた京都のホテルの喫茶室で、暇つぶしにコーヒーでも飲もうとした高遠の目の前で一人の男が毒死した。10月6日、大小寺の長男・高橋総和が海外旅行を前にいろいろ相談しようと、旅行代理店に就職した先輩・三木有介に会う為に彼のマンションを訪れた時、総和はマンションの屋上から落下する三木の姿を目撃する。10月24日、「妖怪雑事相談所」でもある深山木薬店に、サクバスのヘラが相談を持ち掛けてくる。彼女の現在のエサ場は相模原にある永康総合病院だが、先日、院長が亡くなってから、患者の眠りが深くなってしまい、夢を見なくなってしまった。11月28日、久我山で15年前の殺人事件と同じ手口で一人の女性が殺された。——一見無関係に見えるこれらの事件に、実は共通点があると警察にタレコミがあった。全て解決したはずの事件ばかりだが、それらの影にどんな意志が蠢いているのか。
 これまでの作品に比べ、ミステリ的にかなり面白かった。これなら、何処に出しても恥かしくないだろうし、こういうミステリがあっても良いと言わしめられよう。オチはある意味、二重の衝撃。伏線があった方が良かったのか、無くて良かったのかは、フェアでないかもしれないが、無くて良かったと思う。キャラの動かし方は相変わらず巧い。これからもどんどん掘り下げていって欲しい。

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