quizhunterさんのレビュー一覧
投稿者:quizhunter
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紙の本怪感旅行
2002/02/01 17:51
正直言って「焼き直し」の感は否めません
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お、水木先生の新しい本が出てると思ったら、初出は78年のものなんですね。で、中身はっていうと、お化け話、幼少の頃、戦争体験なんてかんじです。後ろの二つは自伝『ねぼけ人生』、戦争体験記『ラバウル戦記』とそれぞれ良い本が出ているので、そちらをおすすめしたい。
さらりと読めるという点と、ところどころに渋いイラストがあるのはちょっとうれしいかもね。ちょっとだけだけどね。
2002/02/01 18:01
悪かない。でも、荒俣ファンにはちょっと物足りないかも
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日本の妖怪、荒俣宏を団長とした新日本妖怪巡礼団による日本の怪奇スポット探訪記。巡礼団は江戸時代の怪人物平田篤胤氏に触発され、ちかごろ人気の阿倍清明、熊本のトンカラリン遺跡など、様々な謎のスポットを訪れる。個人的にヒットだったのは、人魚ミイラの正体を次々に暴く、はく製オヤジのすさまじさ。
若者をターゲットにしたメジャー誌である「週刊プレイボーイ」の連載を纏めたものなので、氏の他の著作に比べると読み味、切り口ともにやや甘め。
団長自らが写り込んだ心霊写真が多く載っているので、ビジュアル的にも荒俣氏の大ファンなんて不思議っ娘にはいいかもね。
2002/02/01 17:42
まあ、悪かないんですが
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『田中宇の国際ニュース解説』は最高だ。これこそネットジャーナリズムじゃないですか。てなわけで、この本も買ってみたんですが、どうもなんつーか。まあ、さわやかな二人のさわやかなレポートってかんじ。ええもちろん、本書の目的がそうですから、文句つけてもしょうがないんですが。
とりあえずジャーナリスト志望の若き学生がちらっと読んだりするにはいいかもね。あと、無料のメルマガへの謝礼の意味で買っておくてのも上品かもね。
おまけ--田中宇氏のインタビュー(by HOT WIRED)はこちら。
紙の本果しなき流れの果に
2002/01/12 04:49
え?ご健在?それは失礼いたしました。
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bk1のサイトにある山形浩生氏のレビューを読んで、こりゃ気になるぞと手を伸ばしました。私ぐらいの年(日本が沈没したころ)だと小松左京っていまいち馴染みないもんね。右京だっけ?なんて迷ったりもするし。
幾分飛躍があったり小難しかったりして、読み口は固めだけど、読後の感想は…面白かった! じつに濃かった!! SFうんぬんだけでなく、とにかく読み物としての馬力があるんですよ。日本語のうまさとくささ全開で、読む者をグワーっともっていってしまう。久々に頑固爺さん(昭和ヒトケタっての?)の頭突きを喰らったみたいで、しびれてしまいました。
滅亡を逃れるために全人類が叡智を結集してロケットを飛ばしたところに、宇宙人みたいなのがやってきて「君たちのやってること全部ムダ!」って言うシーン、個人的に大好きです。
あ、こんなのやってるんですね。
紙の本結晶世界
2001/11/29 21:03
本屋で買える美術品!得をするのは俺達だ!
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まるで絵画を見ているような気分にさせる濃厚な風景描写がバラード作品の面白さのひとつだと思うんですが、この「結晶世界」は、結晶化していくきらめきの世界と、反対にどんよりした町の風景の上に、その対比をなぞるような主人公たちをのせてきたりして、どえらく奥行きを感じさせてくれます。
普通、その奥行きはスムーズで現実的な遠近法で書かれているのに、バラードの場合はオブジェの上を這うような奇妙なデコボコ感を付けてくれているから、それが妙にワイルドな読み心地を与えてくれるんですな。
たしかバラードはシュールリアリズムの手法とか言っていたと思うんですが、文章でこんな世界が表現できるのかと感嘆せざるを得ません。めくりめく風景のなかで、主人公が十字架背負っちゃったりするシーンとかは、もうキマりすぎで、歌舞伎かっつーの!と突っ込みを入れたくなります。
この頃のSFシーンってよっぽど盛り上がっていたんでしょうか? 個人的な好みかもしれませんが、バラードの作品はどれも近年のメタフィクションと謳われるものよりよっぽど美しいところに到達している気がします。
とにもかくにも、こんな美術品が文庫本で数百円で読めるなんて、まじで幸せかと思われます。読書好きで良かったワン! ワンワン! と、ひとりさみしく大興奮の一冊です。
紙の本だれが「本」を殺すのか
2001/08/09 13:48
どうせあたしをだますなら死ぬまでだましてほしかった
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こないだの「東電OL」からたいして経っていないのに、もうこんな分厚い本出すなんて、佐野眞一はよく働いていて偉いなあ。内容は構造的に破綻をきたしている出版業界の問題点を探らんと言ういう視点から始まって、出版社から取次、大型書店、街の書店と書籍流通の川上から川下まで、おまけに地方出版、図書館、電子出版、書籍のネット販売など、本に関わるもの全て調べちゃえという意欲作です。
前作に引き続き、いい意味で著者の子供ぽい情熱が出ていて、出版なんて興味がない人にも楽しめるいい本だと思います。紀伊国屋商店のやけにかっこいい総帥や、アカデミー出版のへんてこ社長など、怪人物が登場するくだりが個人的には大好きです。
ただ、欲を言えば、電子化に対するぼやけた期待ではたりと物語を終えてしまっているのが残念です。著者自身が感じている書物の本質的な魅力というのは、むしろ過去に目を向けたほうがうまく見つかるような気がするのです。時間の経過や物流の問題によって隠されがちなものがふいに偏在してしまったりするようなのがデジタルの妙味であって、その辺をついて欲しかった。
勝手にエピソード作るのはなんですが、例えば、著者自身が長年捜していたいい匂いのする稀覯本がネット検索であっさり見つかったとか、まずは著者が捕らわれている「本の魅力」とはなんだったのかを見定めて、デジタル化の未来にはその「本の魅力」を解放する世界があり得るのか? とスポットを当てていけば、より面白くなったような気がします。まあ、そうなるとタイトルの「殺すのか」とはずれてきてしまうのかもしれませんが、少なくとも著者の考える「本の魅力」については、もう少し踏み込んでほしかったなと思うわけです。
余談ですが、私もこの本でbk1のサイトを知ったクチです。そういう情報量と言う意味では、ほんといい本ですよねー。リスペクト!
紙の本温泉教授の温泉ゼミナール
2002/01/16 09:48
21世紀の「危険な話」。タイトルがぬるすぎるぜ!
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最高に面白い本だった。もともと温泉地でもないところに公共の温泉施設が次々にできたり、夢の跡とでも言うような巨大観光温泉地の衰退の風景に、不自然さというか、軽い不安すら感じていたところに、思いがけずズバリと応えてくれるものに出会えた。
温泉というのは、僕らが求めているところも明確なせいか、とても感じやすい。週に一度しか掃除しない循環風呂に温泉という名が使われているとしたら、水道水より塩素が強い風呂が温泉として客を集めているとしたら。ちょっとそりゃないよ! と言いたくなるでしょう。環境問題てどうも話が大きくて困ってしまうけど、温泉問題のとっかかりやすさってのは発見だなあ。
まあ、環境に興味ない人も、きっと「なんて温泉のことを知らなかったんだ」ってビックリできるだろうし、「温泉力」なんて言い切ってしまう筆者の情熱が、幾分の立証的危うさも吹き飛ばしてくれています(この辺は好みがあるかも)。
もちろん筆者おすすめの温泉情報もあるし、ベテランジャーナリストらしい、色気あふれる表現力や文章技術もにくい。とにかくホットで読ませる&ためになる新書です!!
紙の本さらに、ああでもなくこうでもなく 1999/10−2001/1
2002/01/04 01:48
良書ですが、あまり書店で見かけません。人ごとながらちゃんと売れているのかどうか心配です。
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「広告批評」誌に連載されている橋本治のコラム、「あれ、結構面白いんだよなー」と思っていたら本になっていました。いわゆる時評なんですが、テレビを賑わすあれこれ、現代を生きるというなんやかんやを思わぬ方向から明晰に説いてくれます。いささか本気の冗談みたいな気が感じられてしまうのは、この人ならでは魅力というか、どっぷり&一気に楽しく読んでしまいました。
日経がすすめるビジネスなんとかとかいう特集にはまかり間違っても出ないでしょうが、「そもそも前提があやうくないですか」という橋本氏の問いかけは、そういった面々にも有用な気がしています。それはこの本だけというよりも、橋本治氏じたいがそんな問いかけを発している人だよな。とも思います。不安な時代に映える不安な存在。村上ショージみたいな風体でこんな鋭いこと書かれると…いや、それは余計な話ですか。
この人の歴史解説ってけっこう魅力的だなーって思ったら、そんな本出してますね。さっそく買ってみようかなあ。
2001/11/27 16:18
こりゃオモロい!イメージ連想がもたらす軽やかな知的探訪
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しし座流星群を見にいこうと泊まったホテルの売店で、手袋は置いてないかと尋ねたところ、「すいませんこれしかないんですが」と手の甲に大きくドクロ印のマークがプリントされた毛糸の手袋が出てきた。よりによってとも思ったが、必要に迫られていたのと、なんだかユニークな気もしたので購入した。数日後、本屋に立ち寄ると、同じマークが表紙になっている本があるではないか。中身も碌々確認せずに買ってしまったが、これが思いがけず面白い本だった。
『イメージ・シンボル辞典』『神話・伝承辞典』などの翻訳を手がけている作者によって、ドクロ印にはどんなシンボルが隠されているのか? なぜライオンの口から水が流れ出てくるの? と、ユニークな題材が取り扱われている。この手の話になると、アカデミックであったり、いささかオカルト色が強かったりして小難しくなることが多い。しかし、この本はイメージ連想という視点のもとに適度に実証主義からは離れているためか、いい読み物として楽しことができる。
私はあまり記憶力がないのか、その時は熱心に本を読んでも、1週間も経てば何が書いてあったか正確に言えない事が多い。ところが、キリストの意味やペストの流行の話など、この本に書いてあったエピソードやイメージはどれもすんなりと頭に入り、スラスラと人に説明することができる。そして、相手もたいがいなるほどなと感心をする。イメージ連想が人間のつくりだすものに与える影響の大きさという本書のテーマにも思わず賛同してしまうのだ。
この本がもたらした体験、イメージ連想という軽やかな知的探訪の感覚は非常に新鮮だったので、同筆者による他の本も注文してしまった。「陽気なロジャー」とも呼ばれるドクロ氏がつないでくれた思わぬ出会いである。
2001/08/09 13:23
むしろ若者向け!
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うがー、やばい。巽孝之がこんなにカッコいい書き手だとは知らなかった。話はクラークvs.キューブリックの映画「2001年宇宙の旅」から広がっていくのですが、文学としてのSF、映像/映画としてのSFの展開を両面からがっつりと書ききってくれています。68年の「2001年宇宙の旅」から99年の「マトリクス」までどういう系譜があったのか? なんて言われたら気になるでしょ?
おまけに、サイバーパンクよろしくオーバーグラウンドとアンダーグラウンドを横断するような、きな臭いネタも満載。80年代末期からのWAVE→GOLDなどが出していた雰囲気に憧れていた身としてはたまりません。
ええまあとにかく。21世紀をむかえて、次代のテクノロジーを包括するビジョンが渇望されているいま(まさに2001年!)、健康な若者は是非チェックすべき一冊です。
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