まるごさんのレビュー一覧
投稿者:まるご
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ハッピーロンリーウォーリーソング
2001/08/15 01:09
ハッピーバースデイプレゼント
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誕生日はいつのころからかハッピーなだけではなくなった。きっと、それが大人になったということなのかもしれないね。
あなたの誕生日の3日前に、こんな本がでたんだ。最近、私が気に入っている枡野浩一という人の短歌集。短歌って言っても、多分あなたのイメージするものとはちがうと思うな。
もっと、言葉が今生きてるって感じなんだよ。言葉が放置されていない分、言葉がこっちによってくる感じなんだ。あるあるって共感したり、隠していたものを暴かれてどきっとしたり、おっとそうくるか、やられたなと思ったり。
ハッピーな歌ばかりじゃないけど、ロンリーの力もすごいんだよ。ハッピー・ロンリー・ウォーリーソング。これが、今年のプレゼント。ハッピーなだけではないけどさ、でもハッピーにはちがいない。
ハッピーバースデイトゥユー!!
君の鳥は歌を歌える
2002/03/09 23:37
三十一文字の着地
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ひとりで見た映画がすごくよかったと思った映画だったとき、なんだか淋しくなる。その見たばっかりの高揚感、今感じていること、なにがそんなによかったのかということ、それを話す相手がいないからだ。もちろん自分一人で噛み締めてもいいのだけれど、気に入れば気に入るほど、誰かに話をしたくなる。
その晩友人に電話をして、その映画の話をした。友人は普通に聞いていた。特に関心がありそうでもなく、なさそうでもなく。私はものたりなさともどかしさを感じて電話を切った。でも、その後に思った。私は友人にどんな反応をしてもらいたかったのだろう。どうしてもらえれば、私はうれしかったのだろう。それは私の感じたことに共感してもらえることだ。そのよさを理解してもらえることだ。関心をもってもらうことだ。つまるところ、私のこの映画への思いが伝わることだ。
私がしたかったことをやっていて、友人にしてもらいたかった反応を私がしてしまったのが、「君の鳥は歌を歌える」である。実際、ここで紹介されている本については何冊か読んだり、読み方も何者かもわからなかったけれど、やたら文庫本は出ている銀色夏生について理由のなかった拒否反応が消えたり、「大人計画」の芝居を強烈に見てみたくなったり、リリーフランキーという名前に立ち止まり、「おでんくん」を立ち読みすることになったりした。
要するに枡野浩一氏の術中に見事はまってしまったわけなのだが、納得してはまっているので私としても気分がよい。素直に「枡野さん、教えてくれてありがとう」という気持ちだ。そして、思いを伝えることって、その術が大事なのだということをつくづく思い知らされた。
本書はひとさまの作品を短歌化するという趣旨のものらしい。つまり、ここでの文章は短歌へつなぐ序文みたいな役割なんだろう。でも私には、文章がメインで短歌は着地のひとつのありかたみたいに思えた。だから極端に言ってしまえば、短歌はなくても枡野さんの思いは十分伝わってくるし、本書は成立すると思う。
でも、短歌化するという発想はステキだし、それに枡野浩一だからできる着地のかたちであることは間違いない。そしてこの着地は、時には普遍的な余韻を残すという効果もあった。
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