maloさんのレビュー一覧
投稿者:malo
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2001/08/18 16:08
個人の時代の価値創造のために〜新約『生きるヒント』
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この本は、現在、各分野の第一線で活躍するアーティストやクリエイター達のインタビューで構成されている。その数なんと100人!
これだけの数が揃うと、読者が各々の好きなようなセレクト(有名人からとか、関心のある分野の人からとか)で気軽に読み始めることができるのがとてもうれしい。
どのクリエイターからも彼らの体験や夢、モチベーションが語られることで、100人100様の思考の引き出し、創造の秘密を垣間見ることができ、我々自身も非常にインスパイアされること受けあいである。
これだけのインタビューを敢行した編著者の七瀬氏の情熱にも感銘を受けるのだが、この本が単なるインタビュー集にとどまっていないのは、この本の通底に流れる七瀬氏の次世代を見通した社会、そして個人のあり方の哲学、思想を感じ取ることができるからではないだろうか。
「インターネットの普及は世界を変えた」とは、もはや言い古された感もあるが、確かに今ではどんな情報でもほしいものはパソコンがあれば一発で探し出すことができる。しかしこの利便さ、快適さそのものが「世界を変えた」ことの真意ではないと思う。
インターネット上はまさしく情報の洪水であり、そこは明らかに個人の情報の発信基地、つまり個人が1つのメディアになっているのだ。そう、まさしく私がこうやってレビューを書いているように。すなわち社会や企業といった「集合」の価値観から「個人」の価値観が重要視される時代、どんな個人も世界の主役になれる時代になったこと、これこそが「IT革命」の真髄なのだと思う。
今世紀 、「個人」の時代において創造性、独創性という言葉はもはやアーティストやクリエイターのためだけのものではなく、どんな「個人」も所有し発揮しなければいけない「技術」のカテゴリーになるであろう。それ故、この本は、21世紀の主役である私たち「個人」が各々の人生を創造するテクニック集であり、これからを生き抜くためのライフ・ナビゲーターになるはずである。
頁半ばにマイルス・デイビスの大きな写真がある。そこにはこう書いてある。
「“What is the creativity for you?"」と問われたデイビス。
彼はただ一言こう答えたという。
「Ego!!」
これはこの本の主旨の象徴といっても過言ではない。
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