狩野如風さんのレビュー一覧
投稿者:狩野如風
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空賊
2001/08/22 17:43
【挿画装幀者コメント】挿画装幀者からみた「空賊」
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私は、「空賊」の挿画装幀を担当した狩野如風です。挿画装幀者からみた「空賊」の魅力について述べたいと思います。挿画装幀者として、「空賊」の原稿を読んだ時、私は非常なショックを受けました。
まず先に感じたことは、そこに並んでいるのはもちろん文字であり、文章であるはずなのに、読んでいるだけで、あたかもその場面が映像として目の前に見えてくるような錯角を覚えるほどの巧みな文章表現力…、いえ、文章表現力という以上のなにか…。うまく、表現できないのですが、私に言わせると、「読者にアートな絵を見せる文章」という感じでしょうか。
それは、挿画装幀者としての私には、重くのしかかるものであり、また、同時に、これを映像で表現したいという意欲を沸き立たせるものでした。読んだ時、誰もが頭の中にすぐ映像を思い浮かべる文章、これに挿絵を描く。これは、むしろ、挿画者であれば、たぶんどなたにとっても、やりにくい困難な挿画作業といえるのではないでしょうか。へたをすると挿絵が文章に消されてしまう。読者が挿絵を見ずに、文章だけを読んでしまう危険性をはらんでいることになるからです。
しかし、「空賊」には、挿画者にそんな危険性さえ忘れさせるほどの魅力があります。映像表現を志す者であれば誰でも、その映像化を試みたいと思うであろう場面が随所に出てきます。空飛ぶ帆船しかり、人の言葉を話すふくろうに茶目っ気たっぷりな船長さん、見た目は厳ついが子供たち思いの空賊たち、やさしい月うさぎ先生、バッタのような羽で空を飛ぶバイクで登場するスタイル抜群の大和なでしこ船長、ジャスティス船長率いるジャスティス船の空賊とオネス船長率いるオネス船の空賊たちのアクションシーン、流れ星のジェットコースター、夜空に浮かぶ夢の遊園地などなど取り上げればきりがありません。
そのすべてを映像として表現したい。だが、紙面は限られている。そこで、今回私がとった挿絵の表現方法が、アニメ調のコマでみせるという表現です。ごく限られた紙面でより多くの映像をみせる。なおかつ、「読者にアートな絵を見せる文章」にかき消されない挿絵。私には、この表現方法しか思いつきませんでした。
最後にひとことだけ付け加えます。「空賊」は、今の社会にとって必要です。空賊的なもののみかたといいますか、他人の痛みを我がこととして感じる。そしてなにより、実際に行動に移す。他人の痛みを我がこととして感じるなどと書きますと、大抵の方は、笑ってしまうのでしょうが、今の日本にこれが無くなってしまったからこそ、現在の状況の日本があるのではないでしょうか。いずれにせよ、「空賊」が今の社会にとって必要であるかどうかは、読者の皆様の御判断におまかせするしかありません。皆様が、「空賊」を御一読されることを心より願っております。
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