piyotaさんのレビュー一覧
投稿者:piyota
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紙の本結界師のフーガ 1
2004/04/22 01:04
隻腕のクールな逃がし屋
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主人公の絵馬姐さんは、美人でクールで腕利きの、隻腕の結界師。
腕利きの結界師ということは、どこかに境界をつくって
なにかを閉じ込めることのエキスパートである、という
こと。
だが、閉じ込めることのエキスパートだからこそ、絵馬は腕利きの逃がし屋たりうるのである。今日も謎の逃がし屋の
依頼を受けて、怪しい相手は口先三寸でいいくるめ、
邪魔する奴は力づくで排除し、逃がし屋は行く!
クライアントの平穏を守るため…
今回の話は、ちょっと不思議系のメイドさんもでてきて、
全体的に萌え度高し、です。おたのしみください。
紙の本PINK
2003/11/17 00:34
リアルで生々しいからこそ目が離せない
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この小説は阪神大震災にまきこまれて大切な人を失い、そこから復興する過程でさまざまなものを背負い込んだ主人公の、魂の救済のものがたりである、かもしれない。
マンションのエレベータで、突如停電に襲われ、一瞬5年前の悪夢がよみがえる。その日から主人公の主婦メイをとりまく現実世界が微妙にずれはじめる。メイの親友で霊能力のある奈津美の思わせぶりな託宣、メイに届くなぞのメール、不審な夫の行動は殺人事件にまでつながっていく…
そして、自分でも行動を開始したメイは、復興した神戸の町々を歩きながら、震災の傷跡を再発見していく。
昔の神戸を知っている人、今の神戸が好きな人、震災のことをよく知らない人におすすめのミステリーです。
2003/11/01 21:43
そういうやさしいものでくるんであげたい
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私がずっと注目している作家・紺野キタさんの作品は今回も期待に
裏切られることなく 心にすっとしみこんでくるものでした。
帯にこう書いてあります。
『 たとえば
コットンのような
しろくて
肌ざわりのよいもの
そういう
やさしいもので
はだかんぼうで
ふるえてる
あの子を
くるんであげたい 』
それぞれの姉と兄が結婚したせいでうまれた、義妹どうし?の
友情…人と人はひょんなことでつながりができ、ひょんなこと
で理解し会える たとえけんかをしたりしても。
コットンの最後のフレーズが特別に印象的です
『私たちは白いコットンのハンカチ
汚れてくしゃくしゃになったら
また 洗えばいい』
そうだよ。また洗えばいいんだよ。そういうやさしさが必要なあなたに
この本をお薦めします。
紙の本月の裏側
2003/11/01 21:31
そしてみんなひとつになった
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この作品の舞台となる箭納倉の空は、いつもどんよりと曇っていて、
町を縦横に走る水郷から重苦しい湿気が立ち上り、そして
雨が降る。
恩田陸さんの軟らかい語り口は、その箭納倉の水路をしっとり
と描きながら、徐々に徐々に怪異と恐怖を浮かび上がらせて
くれる。だがその怪異にとりくむ4人の主人公たちのキャラクターと
感情の機微が、とても細やかに書き込まれている。海外のB級ホラー
映画にかならずでてくる、危機に巻き込まれてただただ騒ぐだけの
間抜け役は、誰も出てこない。そして謎を超人的に解き明かす
スーパーヒーローも出てこない。ありきたりの人々が、だがなぜか
底抜けにユーモラスな温かみのあるキャラクターが、直面している問題を
たんたんと記録していこうとする…その視点がすごく怖い。
ラストはとても切ないです。恋愛ホラー小説といってもいいでしょう。
とても控えめにしか表面に出てこないかもしれませんが、きっとこの
物語は恋愛小説なのです…
紙の本レッド
2003/10/12 15:37
心を熱くする男たちの物語
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東北地方のとある村には、村人たちからたたりがあると恐れられている
沼がある。しかし、その沼には、アメリカCIAと日本の与党政治家の
密約にかかわる秘密が隠されていた…
ある意味で仕事に熱心すぎたり優秀すぎたため左遷された元刑事と元
自衛官のコンビが、若手の新聞記者をまきこみながら、事件の真相解
明のために奔走する。
自衛官は言う「たとえどういう国であっても私はこの国の国民を守りたい」。
だが刑事は言いかえす。
「俺たち刑事が守ってるのは国なんてちっぽけなもんじゃねえ。正義を
守ってるんだ」。
いいじゃないか、信念のために組織からはみだしてしまったって。それぞれ
が自分の信念のために守りたいもののために、戦う。そんな物語です。
紙の本二度のお別れ
2003/10/12 15:22
黒まめコンビが文庫に登場!
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黒川氏のハードボイルドはかなり好きです。
産廃処理場建設にからむ暗部を描ききった「疫病神」ですっかり黒川氏
のファンになったPiyotaは、氏のデビュー作である警察小説コレクション
シリーズが文庫になって非常にうれしいです。黒川氏の小説は犯罪小説に近い
と思います。
銀行強盗→発砲事件→身代金誘拐事件と展開していくスピーティなストーリイを
靴をすり減らしながら追いかけるしかない、大阪府警の刑事「黒豆」コンビ。
本格推理といっても過言ではない、論理構成も事件の展開もおもしろい犯罪
小説があったら「誰かきっと真似するに違いない」と思うでしょうなあ。
事実、この小説は初版はグリコ森永事件当時に出版されており、作者黒川氏
は兵庫と大阪府警から事情をきかれたとのこと(と後書きにありました)。
それはある意味、警察界からのミステリに対する最大の賛辞かもしれません。
皆さんは決してまねしないように。
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